6月・7月のMicrosoft 広告では、コンバージョンへの貢献度を広告接点ごとに評価するデータドリブンアトリビューションをはじめ、LinkedInの職位レベルを活用したターゲティングや、PMAX・AI Maxの制御機能など、運用実務に直結するアップデートがありました。
なお、一部はオープンベータ版・クローズドベータ版として先行提供されている段階の機能で、正式リリース前のものも含まれます。
本記事では、各アップデートの概要だけでなく、広告運用への影響や、実際に確認しておきたい設定について解説します。ベータ版の機能についても、今後の展開を見据えて早めに把握しておく価値があるのであわせて紹介します。
- コンバージョン属性モデルにデータドリブンアトリビューションが追加
- 広告グループごとに使用できる表示ドメインが1つに
- LinkedInのJob Seniorityターゲティングが追加
- PMAX・AI Maxの制御機能が強化
- PMAXの配信先を「Microsoft sites and select traffic」に限定可能に
- まとめ
コンバージョン属性モデルにデータドリブンアトリビューションが追加
データドリブンアトリビューションは、6月3日に正式リリースされました。
コンバージョン目標>任意のコンバージョン目標の詳細画面内>「コンバージョン属性モデル」から選択できます。

今までのコンバージョン属性モデルとの違い
現在選択できるコンバージョン属性モデルは3種類です。それぞれの違いも含めてご確認ください。
■最後のクリック(Last Click)
最後にクリックされた広告に100%の成果を付与する方式。
コンバージョンの直前にクリックされた広告へ成果がまとめて割り当てられます。
■最後のタッチ(Last Touch)
コンバージョン前の最後の広告接触(クリックまたはインプレッション)に成果を付与する方式。
ビュースルーコンバージョンも「Conversions」列に含まれる仕様のため、最後の接触が表示だけだった場合でも、その広告に成果が付きます。
■データドリブン(DDA)※6/3リリース
コンバージョンに至るまでの広告接点を分析し、それぞれの貢献度に応じて成果を配分する方式。
各広告のインタラクションが、経路全体でどれだけCVに影響したかを計算した上で割り当てる、という点が従来のモデルとの大きな違いです。新規でDDAのコンバージョン目標を作ることも、既存の目標をDDAに切り替えることもできます。
データドリブンアトリビューション(DDA)が利用できるコンバージョン目標と入札戦略
■対象のコンバージョン目標
・オンラインUETベースのコンバージョン
・オフラインコンバージョン
・店舗販売
・アプリインストール
※モデル精度を高めるには、同一CID内でコンバージョンが30日間で200件以上あることが推奨。
■対象の入札戦略
・コンバージョン最大化(tCPA含む)
・コンバージョン値の最大化(tROAS含む)
・拡張CPC
運用者が検討したいこと
これまでPMAXのようなクロスチャネル型の自動入札でも、ラストクリックかラストタッチを使わざるを得ず、「上流施策の貢献が過小評価される」という課題がありました。
DDAが利用できるようになったことで、PMAXが学習するコンバージョン情報も、見えにくかった広告接点の貢献度を評価しやすくなるので、PMAXの精度を上げていく上で大きな一歩といえそうです。
ただし、PMAXへのDDA適用はリリース直後で実績がまだ少なく、Microsoft 広告からも現時点で明確な推奨コメントは出ていません。
すぐに切り替えるのではなく、十分なコンバージョン量とUET実装が整っているかを確認した上で、まずは既存モデルとDDAを比較しながらベンチマークを取り、段階的に移行していくのが現実的な進め方です。
今後、実績や公式のガイダンスが増えてくれば、より積極的に活用していける機能だと思います。
広告グループごとに使用できる表示ドメインが1つに
1つの広告グループには、1つのルートドメインしか使用できないルールに変わります。
気を付けたいのが、あくまでルートドメイン単位で揃っていればよい、というルールなので、同じルートドメインであれば、サブドメインやディレクトリが違っていても原則問題ありません。
たとえば、以下のサブドメインは、ルートドメインが同一(ayudante.com)なので、同じ広告グループ内で使用できます。
・service.ayudante.com
・column.ayudante.com
しかし、次のようなケースは同じ広告グループ内で使用できません。
・ayudante.com
・ayudante.jp
不承認になるケース
最初に追加されたドメインが広告グループの基準ドメインとなります。
新規作成・編集する広告やキーワードは、すべて基準ドメインに一致させる必要があり、一致しなければ不承認になります。
なお、停止中の広告やキーワードも対象です。基準ドメインは、後から広告グループの設定画面から変更することもできます。
この取り組みは、[広告の関連性およびランディングページ品質ポリシー]の遵守を強化し、ユーザーに誤解を与える広告体験を防ぐことが目的とのことです。
基準に満たしていない場合は?
正式リリースのタイミングで基準を満たしていないアカウントは、配信に影響が生じないように一時的に例外リストに含められますが、審査の結果例外リストから外れる可能性もあります。
その場合は事前の通知(90日前など)が行われる予定とのことなので、Microsoft 広告からの通知を見落としていないか確認し、届いていればルールに沿って修正しておきましょう。
LinkedInのJob Seniorityターゲティングが追加
LinkedInターゲティングでは、これまでの「会社名」「業界」「職種」の3つに加えて、新たに「職位(管理画面上では「職務年功序列」)」の切り口でもターゲティングできるようになりました。
キャンペーン単位と広告グループ単位で設定可能です。

現在の役職における地位・影響力を表す、以下10項目から選択できます。
・所有者
・パートナー
・CXO
・VP
・ディレクター
・マネージャー
・シニア
・エントリ
・トレーニング
・ボランティア
なお、モニタリングとしての設定や入札調整のみの設定が可能かどうかは、現時点で公式ヘルプに明記がなく未確定です。LinkedInのユーザー母数が小さい日本のような市場では、ターゲティングとして絞り込むと配信が出ないケースが少なくありません。
モニタリング設定や入札調整のみの設定ができるようになれば、まずモニタリングで様子を見てから効果のあるセグメントに入札調整をかける、という段階運用ができるようになります。対応状況は継続してウォッチしておきたいポイントです。
PMAX・AI Maxの制御機能が強化
今後は、テキストガイドラインによって、AI生成広告の表現を制御できるようになる見通しです(現時点はクローズドベータ版)。
テキストガイドラインとは
AIが生成・提案する広告文に使用してほしくない言葉やフレーズをあらかじめ登録することで使用されないようにする機能です。
キャンペーン設定内で設定でき、1キャンペーンにつき最大25個の除外語句を設定できます。

どのような表現を登録するか
以下は、筆者が考えた一例です。自社の広告表現ルールに基づいて登録しましょう。
・自社のブランドガイドラインに合わない表現
・法務確認が必要な表現
・自社では使用しない略称
・競合の社名、他社サービス名
・価格の見え方に誤解を与えかねない表現
・社内で使用基準が定められている、優劣を強調する表現(例:「業界No.1」「最高級」) etc…
除外キーワード・コンテンツ除外・テキストガイドラインの違い
似た名前の機能が並ぶので、役割を整理しておきます。
除外キーワード:どの検索語句に広告を表示しないか(検索語句の制御)
コンテンツ除外:どの文脈・ページに広告を掲載しないか(掲載面の制御)
テキストガイドライン:AIが生成する広告文にどの言葉を使用しないか(広告文の表現の制御)
テキストガイドラインはあくまで表現をコントロールする機能で、設定した語句に関連する検索への配信自体が止まるわけではない点には注意してください。
PMAXの配信先を「Microsoft sites and select traffic」に限定可能に
PMAXの配信において、キャンペーン設定で配信先を、BingやEdge、MSN、Outlook、Microsoft Casual GamesなどのMicrosoftが保有する面に限定できるようになる見通しです(現時点はオープンベータ版)。

PMAXのコンセプト自体が、AIがMicrosoftの様々な配信面を横断して最適化することにあったため、基本的にMicrosoft Advertisingネットワーク全体が配信の対象となっていました。
今後は、Microsoftが保有する面だけに絞ることも可能になり、Microsoft Advertisingネットワーク全体でのパフォーマンスが振るわない場合に、配信先を絞り込むという選択肢もとれるようになります。
ただし、絞り込むことで配信量が減ったり、通常の検索キャンペーンとの重複が増えたりする可能性もあります。WebサイトURL(パブリッシャー)レポートで、現在の配信構成と成果を確認しながら調整することをおすすめします。
まとめ
6月・7月に発表されたアップデート情報は、4月・5月のアップデートの内容と方針は変わらず、AIによる自動化をさらに進めながら、計測方法の精度を上げたり、配信対象や生成される広告文を運用者がコントロールできるようにしたりする流れが続いています。
特にPMAX関連のアップデートは動きが活発で、Microsoft 広告が力を入れているプロダクトの一つであることがうかがえます。オープンベータ版・クローズドベータ版の機能についても、動きがあればまた紹介していきます。






