AIが発展し、Google 広告では機械学習を活かした広告運用で効果を上げられるケースが劇的に増えてきました。入札単価の調整だけでなく、広告文の作成、画像や動画の生成、ランディングページの選択など、自動化される範囲は広がっています。
こうした自動化によって、運用者が手動ですべてを設定しなくても、コンバージョン数を増やしたり、新しいユーザーへ広告を届けたりできるようになりました。
一方で、Google 広告には、広告主が設定した内容をそのまま利用するだけでなく、「成果を上げるため」に配信対象や広告内容を自動的に拡張・変更する機能がいくつか存在します。
そうした機能は基本的には「拡張」のためにワークしますが、「効率化」の観点から見ると、むしろ悪化してしまうケースもあります。また、意図しないユーザーやページへの配信につながる可能性もあります。
機能を有効活用できれば問題ありませんが、設定内容を把握していなければリスクにもなります。今回は、Google 広告で気をつけておきたい自動化機能をご紹介します。
※Google 広告の仕様や設定画面は変更される可能性があります。本記事は執筆時点の情報をもとにしています。
自動化機能は悪いものではない
本題へ入る前にお伝えしたいのは、今回紹介する機能は、決して利用しないほうがよい機能ではないということです。
自動適用・自動拡張の機能は「成果を上げること」や「広告運用が楽になること」を前提に設計されている仕様なのだとは思います。しかし、Googleが提示する「成果を上げること」「広告運用が楽になること」が、すべての広告主にとって適切であるとは言えず、リスクをはらんだ機能となっているのです。
自動適用・自動拡張機能を利用する際には、「どのような条件で自動化されるのか」「どこまで配信が拡張されるのか」を把握し、適切に利用することが重要です。
1. 最適化案の自動適用
Google 広告の管理画面には、「最適化案」という項目があります。
最適化案は、お客様との関連性が高い新機能を示します。入札、キーワード、広告を改善するためのカスタマイズされた提案により、予算をさらに効果的に活用し、キャンペーンの全体的なパフォーマンスと効率の向上を図ることができます。
参考:最適化案について|Google 広告 ヘルプ
https://support.google.com/google-ads/answer/3448398?hl=ja
そのうち広告主が選択した最適化案を、自動的にアカウントへ適用するのが「最適化案の自動適用」です。
[最適化案を自動的に適用] をオンにすると、最適化案が定期的に適用されます。メインの [最適化案] ページでは、キューから特定の日に適用される最適化案を確認することで、ユーザー自身で管理可能です。
参考:最適化案の自動適用について|Google 広告 ヘルプ
https://support.google.com/google-ads/answer/10279006?hl=ja
起こるかもしれないリスク
意図しない設定が反映される
自動適用を有効にしていると、運用者が一つひとつ確認しなくても変更が反映されます。設定している項目によっては、「キーワード」「広告」「入札戦略」など、広告配信へ大きな影響を与える変更が行われる可能性があります。
対策
影響が大きい項目の自動適用は避ける / 自動適用は利用しない
まずは、どの最適化案が自動適用の対象になっているか確認しましょう。
特に、「キーワード」「広告」「入札戦略」のように広告の結果に対し、影響が大きい項目は慎重に判断する必要があります。
以下のような手順で設定が確認できます。
① キャンペーンメニューにある[最適化案]を選択
② [自動適用の設定]を選択
③ 設定状況を確認し必要に応じてチェックを外す

また自動適用を無効にしても、すでに適用された変更が自動的に元へ戻るわけではありません。自動適用の設定だけでなく、「履歴」とアカウントの「変更履歴」を確認し、過去にどのような変更が行われたかも確認したほうがよいでしょう。
2. 最適化されたターゲティング
「最適化されたターゲティング」は、コンバージョンにつながる可能性が高いユーザーにアプローチする機能です。ディスプレイキャンペーンやデマンドジェネレーションキャンペーンで利用できます。
最適化されたターゲティングを使用すると、キャンペーンの目標に基づいて、コンバージョンに至る可能性が高く、関連性の高い新規のユーザーにリーチできます。
最適化されたターゲティングについて|Google 広告 ヘルプ
https://support.google.com/google-ads/answer/10537509?hl=ja
起こるかもしれないリスク
意図しないオーディエンスへの配信
配信対象が拡張されるため、意図しないユーザーへ配信されてしまうことがあります。
「過去30日以内にサイトを訪問したユーザー」を対象としても、最適化されたターゲティングが有効であれば、そのリストに含まれていないユーザーへ広告が表示される可能性があります。その場合リマーケティングのつもりであっても、実際には新規ユーザーへの配信が含まれているケースが考えられます。
ターゲットユーザーを明確にしたいのか、コンバージョン数を増やしたいのか、目標によりますがデフォルトで最適化されたターゲティングは有効となっているため入稿時に注意が必要です。
コンバージョンデータが少ない場合が不安定
コンバージョンデータをもとに拡張される仕様上、コンバージョンデータが少ない場合では、成果につながりづらいユーザーにリーチしてしまうケースが見受けられます。
特にリストが小さいオーディエンスでのリマーケティングなど、配信対象のユーザー数が少ない場合は配信を伸ばすために拡張しすぎてしまうケースもあります。
リアルタイムのコンバージョン データに基づき、コンバージョンに至ったユーザーに類似したプロファイルを作成することで、コンバージョンに至る可能性の高いユーザーにリーチを拡張します。
最適化されたターゲティングについて|Google 広告 ヘルプ
https://support.google.com/google-ads/answer/10537509?hl=ja
ユーザー属性も拡張される(デマンド ジェネレーション)
デマンド ジェネレーション キャンペーンでは、最適化されたターゲティングを有効にすると、ユーザー属性のターゲットも拡張されます。
「45歳以上の女性ユーザーに配信する」と設定していても、「指定した年齢と性別に該当するユーザーのみに広告を表示する」が選択されていないと、コンバージョンにつながると判断された場合は設定範囲外のユーザーへ広告が表示される可能性があります。

対策
実行目的の明確化とコンバージョン数の確認
最適化されたターゲティングは広告グループ単位での設定が可能です。最適化されたターゲティングを利用するには少なくとも以下のような点に注意が必要です。
- 何のために広告を配信するのか
コンバージョン数を増やしたい、明確な配信対象のユーザーがいる…など。 - 最適化されたターゲティングを有効活用できるほどのコンバージョン数があるか
筆者の経験上では、月間のコンバージョン数が20件を下回ると成功しづらいです。100件以上のコンバージョン数があれば効果的に機能しやすいです。
「コンバージョン数の増加」という点で効果的な機能であると思うのですが、仕様を理解して利用することをオススメします。
3. アカウント単位の自動生成アセット
Google 広告には、広告主が手動で登録したアセットとは別に、Googleが自動的に作成する「アカウント単位の自動生成アセット」があります。
アカウント単位の自動生成アセットを使用すると、広告のパフォーマンスを向上させつつ時間を節約できます。
Google 広告では、成果の向上が見込まれる場合に、これらのアセットを自動的に作成して広告の下に表示します。
アカウント単位の自動生成アセットについて|Google 広告 ヘルプ
https://support.google.com/google-ads/answer/7175034?hl=ja
自動生成アセットには、以下のようなものがあります。
- 動的サイトリンク
- 動的構造化スニペット
- 自動生成住所アセット
- 販売者評価
- 動的コールアウト
- ビジネス情報の動的アセット
- 動的画像アセット
- サイトアクセス数
これらはパフォーマンスの向上が見込まれる場合に、表示される可能性があります。
起こるかもしれないリスク
意図しないサイトリンクが表示される
自動生成されたサイトリンクによって、以下のような広告主が積極的に案内したくないページへのリンクが表示される可能性があります。
- 採用ページ
- 法人・個人など対象者が異なるページ
リンク先の内容自体は間違っていなくても、広告キャンペーンの目的とは合っていないページに遷移する導線ができてしまうかもしれません。
意図しない画像が広告に使われる
意図しない画像が利用されてしまうことがあります。ページ内では問題がなくても、小さな広告枠で表示すると内容が伝わらなかったり、ブランドイメージと合わなかったりする可能性があります。
古い情報が利用される
ウェブサイトに古い価格、キャンペーン、サービス情報が残っている場合、その情報をもとにアセットが作成される可能性があります。ウェブサイトは広告配信のための情報源にもなるため、「ページに残っているだけ」の情報が広告へ影響することがあります。
対策
不要な自動生成アセットはオフにする
アカウント単位の自動生成アセットは、設定を無効にすることができます。必要な設定なのか広告の状況を踏まえて確認しましょう。
アカウント単位の自動生成アセットを無効にする手順は次のとおりです。
① キャンペーンメニューにある[アセット]を選択
② 右側のその他メニュー[︙]を選択し、[アカウント単位の自動生成アセット]を選択

③ 右側のその他メニュー[︙]を選択し、[詳細設定]を選択
④ アセットのオンとオフを切り替える

表示されたくない表現やリンク先、画像がある場合には念のため該当の項目はオフにしておくと良いかもしれません。
4. テキストのカスタマイズ
検索キャンペーン向けのAI最大化設定には、「テキストのカスタマイズ」という機能があります。ドメイン、ランディングページ、既存広告、キーワード、検索語句などをもとに、広告見出しや説明文を自動的に作成します。
起こるかもしれないリスク
意図しない広告文が配信される
「テキストのカスタマイズ」によって作られた広告見出しや説明文は、配信のために自動生成されます。そのため、意図しない表現が表示される可能性があります。
生成するための情報源としてウェブサイトのコンテンツにも依存しています。そのため、ページタイトル、説明、メタタグなど、ページの情報によって表示される広告文が変化します。
対策
テキストのガイドラインを追加する
ブランド イメージに合った関連性の高い広告見出しと説明文を生成するために、Google AI が従うべきルールを指定できます。
テキストに関するガイドラインは、テキストのカスタマイズのみで作成されたアセットのブランド メッセージを調整できる、キャンペーン単位の機能です。ガイドラインを設定することで、ビジネスとブランドの要件を満たせるだけでなく、テキストのカスタマイズが「オン」の場合に Google AI で自動作成されるアセットの出力を制御することもできます。
P-MAX キャンペーンと検索キャンペーンでテキストに関するガイドラインを使用する(ベータ版)|Google 広告 ヘルプ
https://support.google.com/google-ads/answer/16489313?hl=ja

※現状はベータ版機能です
ページの情報にも注意する
テキストのカスタマイズを利用する場合は、広告管理画面だけでなく、ウェブサイトの内容も広告アセットの一部として管理する必要があります。以下のような情報にも注意しましょう。
- ページタイトル
- メタディスクリプション
- 商品名、サービス名
- 料金、割引、キャンペーン期間
- 対象者、対象地域
- 注釈や適用条件
5. 最終ページURLの拡張
P-MAXや検索キャンペーン向けの AI 最大化設定などには、設定した最終ページURLとは別のページを、Googleがランディングページとして選択する「最終ページURLの拡張」があります。ユーザーの検索内容に対して、同一ドメイン内により関連性が高いページがあると判断された場合、そのページへ遷移先が変更されます。
関連性の高いページへユーザーを案内できるため、ウェブサイト内に多くの商品ページがある場合などには有効です。一方で、指定したページ以外へユーザーが遷移する点には注意が必要です。
起こるかもしれないリスク
想定していないページへ遷移する
たとえば、問い合わせ獲得用のLPを設定していても、以下のページへ遷移する可能性があります。
- サービス紹介ページ
- コラム
- FAQ
- 会社情報
- 過去のキャンペーンページ
ユーザーの検索内容との関連性は高くても、コンバージョン導線が弱いページへ遷移してしまうかもしれません。
対策
URLの除外設定
最終ページURLの拡張を利用する場合は、URL除外を設定することをオススメします。たとえば、以下のページは除外候補になります。
- 会社情報
- 採用情報
- ニュース
- プライバシーポリシー
- フォーム完了ページ
- ログインページ

また、特定の1ページだけを広告の遷移先とする場合は、最終ページURLの拡張はオフにして、機能を利用しないほうがよいです。
6. P-MAXの動画自動生成
P-MAXでは、動画を入稿していない場合、画像やテキストなどをもとに動画が自動生成されます。動画を制作するリソースがなくても、YouTubeを含む動画広告枠へ配信できる点はメリットですが、表現のコントロールが難しくなる可能性があります。
自動生成動画広告は、P-MAX のアセット グループに有効な動画がアップロードされていない場合に、Google AI によって自動的に作成されます。Google 広告では、既存の画像アセットとテキスト アセットを使って動画が作成されます。広告を自動生成するタイミングは、資格要件に基づいて判断されます。独自の動画をアップロードすると、自動生成動画広告は無効になります。
P-MAX の動画の自動化について|Google 広告 ヘルプ
https://support.google.com/google-ads/answer/16048023?hl=ja
起こるかもしれないリスク
ブランドイメージと合わない
静止画を切り替えるテンポ、音楽、テキストの見せ方などが、ブランドのイメージと合わない可能性があります。高級感を重視する商品で、動きの速い動画が作られるなど、期待した表現にならないことが考えられます。
対策
動画クリエイティブの準備
自動生成に完全に任せるのではなく、広告主側で主要な比率の動画を用意することが理想です。必要な比率ごとにクリエイティブを準備することが理想ですが、自動生成を避けるためには少なくとも1つは準備する必要はあります。
・横長:16:9
・正方形:1:1
・縦型:9:16
自動化機能を利用するときに考えたいこと
ここまで複数の機能を取り上げましたが、共通しているのは、Google 広告が「成果を上げるため」に、広告主が設定した範囲を広げる機能であることです。
- キーワードや設定を追加する
- 指定オーディエンスの外側へ配信する
- 広告文を作成する
- 画像や動画を生成する
- 別のランディングページを選ぶ
こうした拡張によってコンバージョン数が増える可能性はあります。しかし、それは必ずしも広告主にとっての成果ではないことがあります。そのため自動化機能を利用することで何が起こるのかを正しく理解することが重要です。
自動化された内容を確認できる状態にする
自動化機能は、一度設定したら放置してよいものではありません。少なくとも以下は定期的に確認しましょう。
- 変更履歴
- 自動適用の履歴
- 自動生成された広告文
- 自動生成された画像や動画
- 実際のランディングページ
- オーディエンスの拡張状況
- 問い合わせ後の商談率や成約率
CPAが改善していても、成約率が低下しているのであれば、自動化の方向性が事業目標と合っていない可能性があります。
「オンかオフか」だけで考えない
自動化機能については、「オンにすべき」「オフにすべき」という二択で語られやすいように感じます。
しかし実際には、機能ごとに以下のような調整ができます。
- 自動適用する最適化案を限定する
- 除外オーディエンスを設定する
- URL除外を設定する
- ページフィードを利用する
- 手動アセットを十分に用意する
- コンバージョン目標を見直す
すべてをGoogleへ任せるのでも、すべての自動化を停止するのでもなく、Googleが自由に動ける範囲を広告主側で設計することが重要ではないでしょうか。
まとめ
Google 広告では、自動入札だけでなく、ターゲティング、広告文、画像、動画、ランディングページなど、さまざまな領域で自動化が進んでいます。こうした機能によって、これまで人間が見つけられなかったユーザーや配信機会を発見できるようになりました。
一方で、意図していないユーザーへ配信されたり、想定していない広告表現やページが利用されたりする可能性もあります。重要なのは、自動化機能を一律に停止することではありませんが、目的のない自動化機能は大きなリスクをはらんでいます。
だからこそ、自社の目的に合う範囲で利用することが重要です。
Google 広告の自動化が進むほど、運用者が一つひとつ手動で操作する機会は減っていくかもしれません。しかし、自動化へ任せる範囲を決め、結果が事業目標と合っているか判断することは、今後も重要になるのではないでしょうか。





