東京電力エナジーパートナー株式会社様
分析や施策検証に加え、機械学習を効果的に活用できる環境を目的として、Googleアナリティクス4(以下、GA4)への移行と運用整備を支援

電気やガスの料金、使用量を確認する「くらしTEPCO web」を始め、各種電気・ガス関連の申込手続きも可能なサービスを提供しています。 今回、お客様が運営されている複数のWebサービスにおいて、ユニバーサルアナリティクス(以下、UA)からGA4への移行支援のご依頼をいただきました。

ご依頼された経緯とお客様の要望

GA4のリリースに伴い、既存のUAでの計測をGA4でも実施できるように、お客様からの依頼を受けてプロジェクトを進めました。この計測環境の移行に際しては、以下の3点のご相談を頂きました。

  1. 計測内容の最適化
    a. 命名規則や標準化を推奨する計測要素の整理
    b. 計測設計を文書化
    c. 要件定義からリリースまでの計測運用フレームワークの構築
  2. BigQueryの活用によるダッシュボードの構築準備
  3. マーケティング活用のための準備
    a. GA4の計測データを広告やMA(マーケティングオートメーション)と連携

施策のポイントと内容

ポイント1
複数ドメインとログインステータスに関する計測

お客様が運用する多くのサービス(ドメイン)に対して、効果的なユーザー追跡のための計測設定が必要とされています。UAでは、Googleタグマネージャ(以下、GTM)を使ってサービスごとに個別の計測設定が必要でした。しかし、GA4では、管理画面からクロスドメイントラッキング(複数ドメインに跨るセッション管理)が簡単に設定できます。

さらに、User-ID機能を活用することで、複数プラットフォームに跨いだユーザーのログイン状態に応じたユーザー数の計測も適切に行えるようになりました。

※参考グラフ
※User-ID は Google アナリティクス用に構築された機能です。この機能を実装する場合は、必ずアナリティクス SDK と User-ID 機能に関するポリシーに準拠する必要があります。

ポイント2
段階的なリリース戦略

高い優先度を持つ情報から計測仕様を決定し、GA4の導入を段階的に実施しました。
UAの計測が2023年6月末に終了するというスケジュールを考慮し、サイトの大規模な改修を避けつつGA4への移行を進めました。 既にGTMを使用していたことから、現在のGTM設定にGA4の計測要件を追加する形で、ウェブサイトの改修なしにGA4の計測を実施できました。

ポイント3
現状調査と要件定義

UAおよびGTMの設定とレポートから、現状の計測状況とコンバージョン設定を詳細に調査しました。設定に不備がある点や、期待通りに動作していない設定も洗い出されました。これらの調査結果を基に、ご担当者様と協議を重ね、改善すべき点を考慮した上で、最適な計測要件を定義しました。

UAに設定されているコンバージョン設定状況調査

ポイント4
推奨計測、設計書、および運用フローの構築

UAにおいては計測が煩雑であった部分がありましたが、GA4への移行を機にこれを整理しました。GA4では、自動収集イベント、拡張計測イベント、推奨イベント、カスタムイベントといった4種類のイベントが存在します。
計測移行の目的は、UAと同一の計測を行うのではなく、GA4のデータ収集モデルを充分に理解し、適切なイベント設計、命名規則、そして計測粒度を確立することです。これにより、計測情報を効率的に集約する設計書を作成し、二重計測、プライバシーポリシーに反する不要な計測、計測ロスを防ぐ目的が達成されました。

調査結果を元に、GA4計測移行の提案

イベント名、パラメータ名の命名規則の必要性について

ポイント5
トレーニングの実施(GA4概要理解編、レポート活用編)

GA4の計測が完了し、レポートが利用可能となった段階で、データ利用部署の関係者に対してトレーニング(勉強会)を実施しました。 トレーニングの内容は、①GA4概念理解編と②レポート活用編の2つです。計測設計書も手元に用意し、参加者がどのような計測が行われているのかを容易に理解できるようにしました。

UAからGA4への移行に伴い、新たに生じる違いとそれに基づいた最適な活用方法について詳細に説明を行いました。具体的には、GA4で実際に得られたデータを基に、レポートの設定およびその活用手法について深く解説しました。

トレーニング資料例

施策後の成果

現状調査から設計にかけて、システム仕様や設計の確認をスピーディにお客様社内にていろいろと手配頂きました。
優先順位を付けながら、スケジュール通り段階的に計測リリースが完了致しました。
GA4の特徴を踏まえ、UA計測から見直しする点も考慮頂き、とてもシンプルでレポート作成が行いやすい環境を作ることができました。
計測完了後、直ぐにトレーニングを実施したことにより、ご担当者を含めデータ活用担当者様にも直ぐにGA4の利活用を業務に取り組んでいただきました。
今後、GA4で計測を行ったコンバージョンやオーディエンスを利用して広告やMA、レポート作成、分析に活用する準備は整いました。

お客様の声

ご担当の中村様、春山様にはUAの利用状況の整理から伴走してくださり、改めて感謝申し上げます。また、機械学習機能の活用といった弊社の要望も汲んだうえで、GA4での最適な設定をご提案いただき大変助かりました。UAの設定を分かりやすくまとめた資料がない中でしたが、根気強くサポートしてくださったおかげで、無事スケジュール通りに完了することができました。

導入完了後にはGA4勉強会も実施いただき、特にレポート活用編を受講することで、仕様が大きく変わったGA4による分析のハードルが下がったと弊社社員から好評でした。勉強会の動画はアーカイブし、今後も社員研修に利用させていただこうと思っております。GA4設定にとどまらず、弊社社員のGA利用促進にもご助力いただきありがとうございました。

GA4本格利用により広告配信の高度化、弊社サービスを利用するお客さまの利便性の向上や、社内オペレーションコストの低減など、様々な効果を得られると見込んでいます。

お客さま営業部デジタル分析グループ
山内健太

東京電力エナジーパートナー様を支える担当スタッフ

担当スタッフからのコメント

ご担当の山内様と綿密なコミュニケーションを交わし、サービスのビジョンやKPIについて詳細な説明をいただきました。弊社からの提案や質問に対する適切な対応だけでなく、山内様からも積極的に多くの質問をいただいたことで、疑問点や方向性を明確にすることができました。 昨今重視されているデータガバナンスにも配慮し、実装から活用方法までを総合的に考慮してプロジェクトを進めることができました。GA4に対する深い理解と社内での調整をいただき、大変感謝しております。
GA4トレーニング時に撮影したビデオを活用していただき、社内でのデータ活用啓蒙が進んでおります。その結果、基礎的なレポートの解釈に関する質問が少なくなっていることが特筆すべき点です。
今後も、頻繁にアップデートされるGA4を用いたレポート作成、分析、施策評価、さらには機械学習の活用など、お客様のデータ分析環境を多角的にサポートしてまいります。

シニアデータソリューションコンサルタント:中村 晃

ご利用いただいたサービスとプラン

「東京電力エナジーパートナー」さまのリニューアルでご利用いただいたサービスおよびプランは以下の通りです。

Google アナリティクス 360

ご利用いただいたプラン名

  1. Google アナリティクス 360 サービス

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