株式会社富士フイルムヘルスケアラボラトリー様事例②
サーバーサイドGTM導入による、Google アナリティクス4 プロパティと広告計測の最適化

株式会社富士フイルムヘルスケアラボラトリー様は、写真フィルムなどで培ってきた先進・独自技術や知見を応用・活用し、「アスタリフト」シリーズなど、サイエンスに裏付けられた新発想のヘルスケア製品の開発から販売まで取り組まれています。
昨今のデータの取り扱いや規制に対応すべく、サーバーサイドGTMの導入をご依頼いただきました。

ご依頼された経緯とお客様の要望

株式会社富士フイルムヘルスケアラボラトリー様では、広告を含めた流入の評価にアトリビューションを利用しています。
しかし、ITP(Intelligent Tracking Prevention)が施行されてから、cookieの有効期限に制限が設けられました。
また、ITPは一部のブラウザが対象となるため、ウェブサイトに訪れるユーザーのブラウザ環境によってcookieの有効期限が変わってしまいます。
それにより、本来のタッチポイントが不透明になり評価しにくくなっていました。

サーバーサイドGTM(以下sGTM)を利用することで、ITPによるcookieの制限を緩和することができると考えたため、導入をご依頼いただきました。

施策のポイントと内容

実施した施策の中から特徴的なものについてポイントを紹介します。

ポイント1
cookieの制限緩和(有効期限の調整)

ITPは2017年に誕生しバージョンアップを重ね、最新バージョンであるITP 2.3ではファーストパーティcookieの有効期限が7日または24時間と制限が設けられています。
Google アナリティクス4(以下GA4)が発行するcookieの有効期限は通常2年ですがITPにより7日または24時間となってしまいます。

クライアントサイドで発行されたcookieがこの制限を受けますが、サーバーサイドで発行されたcookieは制限を受けません。
GA4のcookieはクライアントサイドで発行されますが、sGTMを利用することによってサーバーサイドで発行することができます。
これにより、ITPの制限を緩和することが可能になります。

※上記は概念図となりますので、実際の技術的な仕様と多少異なります。

なお、この機能を使うにはcookieを発行するためのドメインが必要となります。
そのため、お客様には導入作業までに利用するドメインの決定と取得をしていただきました。

ポイント2
お客様のタスク(作業)を伴走しサポート

sGTMは文字通りサーバー上で動くGTMです。そのためサーバーの設定を行わなくてはなりません。
これはGCP(Google Cloud Platform)のプロジェクト内にあるApp Engineの設定になり、GTMとApp Engineを連携する処理です。
この設定はコマンドシェル(いわゆる黒い画面)上でコマンドを入力する必要があり、非エンジニアにとってはハードルが高いものと思われます。

そのため弊社エンジニアが代行作業をすることを考えましたが、以下の理由によりお客様に作業いただく方針としました。

  • お客様のセキュリティポリシーとオペレーション上、外部業者にGCPの権限を付与することが簡単ではない
  • 1度設定すればその後は特に変更などない限りは触ることはない
  • 設定の時間はかからない

お客様はエンジニアではないため、操作する設定画面を共有しながら弊社エンジニアが随時フォローしつつ作業することで無事にお客様側にて完了することができました。

オンラインでお客様の画面を共有してもらいながら、弊社エンジニアがサポート

ポイント3
導入までの入念な検証

sGTMは通常のGA4とは違う経路でデータを送信します。
App Engine経由でデータ送信を行うため、App Engineにかかる負荷が増大するとデータ送信に影響が出る可能性があります。

そこで、検証用のGA4プロパティを作成してそこにsGTM経由でデータを送信しフィジビリティを取ることから始めました。
稼働中のGA4プロパティのPVやUU、収益データと比較した結果、誤差とよべる範囲の数値差異であったため、稼働中のGA4プロパティに移行し日々の運用に影響がない状態で本番化することができました。

施策後の成果

sGTM導入後はユーザー数が減少している傾向がみられました。これはITPの影響が軽減できたと言えるのではないかと感じています。
これにより、アトリビューションをはじめ流入とコンバージョンのより正確な評価ができるようになったのではと思います。

今後はGoogle広告をはじめとするFloodlightの設定などもsGTM化していくことで広告施策にも活用していけるものと考えています。

お客様の声

今回、sGTMの導入に当たって、当社が行ったことがないGCP設定がありましたが、アユダンテ様と画面を共有しながら、設定内容を丁寧に教えて頂きましたので、安心して進めることができました。sGTMについて分からないことについても細かく説明いただき、知見も広められ大変助かりました。
また、「GTMからsGTMへ移行するにあたり確認するポイント/観点」を考慮して、「入念な検証作業」を実施してくださったことが、品質の向上につながったと感じており、大変感謝しております。
sGTMを熟知していらっしゃるアユダンテ様の支援なしでは、これほど早く正確にsGTM化を進められなかったと思います。本当にありがとうございました。

ご依頼いただいたサイトURL:https://h-jp.fujifilm.com/

担当スタッフ

担当スタッフからのコメント

sGTMは今回のcookieの制限緩和だけではなく、送信データの秘匿化による訪問者データの保護やデータ送信処理をサーバーサイドで行うことによるサイトのパフォーマンス向上にも活用できます。
sGTMはますます機能拡張が行われていくと思われ、それにより上述した恩恵を受けやすくなります。
株式会社富士フイルムヘルスケアラボラトリー様は早期にsGTMを導入したことで、今後の様々なデータの取り扱いに柔軟に対応していけるのではないかと感じています。

シニアデータソリューションコンサルタント:藤田 佳浩

ご利用いただいたサービスとプラン

「株式会社富士フイルムヘルスケアラボラトリー」さまの施策でご利用いただいたサービスおよびプランは以下の通りです。

Google アナリティクス 導入・設定支援/データ活用支援

ご利用いただいたプラン名

  1. Google アナリティクス 導入・設定支援/データ活用支援

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