1904年創業、東京青山にある老舗生花店 青山花茂のコンテンツマーケティングのSEO事例をご紹介します。宮内庁御用達の最上質の商品を取り扱われていることもあり、数が勝負となるECではなく、ブログを使った丁寧なコンテンツの発信で新規ユーザーにリーチする手法をとりました。わずか10本ほどの記事でブログの流入は17倍、サイト全体としても4.8倍、売上1.5倍となりました。
ご依頼された経緯とお客様の要望
青山花茂 5代目となる北野社長の知人の方が昔弊社のお客様だったこともあり、ご紹介いただきました。
SEOはほとんどやっていなかった、そして怪しいといいますか…あまりいい印象を持たれていなかったようです(笑)。
過去には広告も出稿されていたようですが、プッシュすることでブランドイメージへの懸念もあり、現在は特にやられていませんでした。
ただ、実店舗に加えてWebでの注文が増加していることや、花茂さんの強みを使ってもっと発信し、新たなユーザーにもリーチできるポテンシャルがあるのではないかとのことからご依頼いただきました。
お客様の課題
ある程度の年齢層(50代以上)には知名度もあり、ファンも多いが、今後を考えて若い顧客にリーチし取り込んでいきたい。主要商品の1つ、胡蝶蘭を考えると企業担当者にも接触していきたい。
との課題をうかがいました。
施策のポイントと内容
実施した施策の中から特徴的なものについてポイントを紹介します。
ポイント1
サイト全体の評価チェック
メインの施策はコンテンツマーケティングですが、サイトに課題がある場合には効果が出にくいので、ブログだけでなくECサイトも含めてサイト全体のSEOチェックを最初に行いました。そしてECサイトのほうもHTML関連や内部リンク周り、技術面などをご対応いただきました。
ポイント2
検索シーンの想定と検索ニーズ調査
ニーズ調査のためにまず、潜在顧客をとらえるためのペルソナの作成をしました。どういった場面でブログに訪れる必要が出るのかペルソナごとに検索シーンを想像しましたが、お花という商材においては一つのニーズに対して複数のペルソナがいることが考えられました。そのため、5つの検索シーンにグルーピングして検索ニーズ調査を行いました。
検索ニーズ調査ではユーザーがどんなニーズを持って検索するかをまず考え、実際にツールでキーとなるワードを調べ、リスト化しました。「ニーズが同じ」と思われるワード群はまとめて、1つのニーズとしてとらえています。
結果、50程度のニーズをリストアップし、その中から12記事を作成することに決めていきました。
ポイント3
画面の最適化
SEO観点と、そしてユーザーの使い勝手を意識して画面指示書を作成しました。
動的配信のサイトなので、スマホサイトをメインに、PCサイトもチェックしました。
スマホで重要な点は主に「ナビゲーション設計」=内部リンクです。
例えば以下のようなポイントを提示しました。
- ブログ記事ページに関連リンクの設置(主に商材関連)
- ブログ記事ページに監修者の設置
- ブログ全体のサブコンテンツの割合見直し
- ECカテゴリページに関連したブログ記事へのリンクを設置
- ブログタグページに関連したECカテゴリへのリンクを設置
ポイント4
ヒートマップを活用した効果検証
記事コンテンツにおいて、ページ内でのユーザー行動は非常に重要と考え、今回の施策対象の記事全てをヒートマップ(ミエルカ)で計測しました。結果、SEO的に良好な記事はヒートマップ上のユーザー行動が良い傾向にあることが分かりました。
特に人気だった「花を長持ちさせる」ハウツー記事では熟読されているブロックが上部にあります。
(下図ヒートマップキャプチャの赤い部分が特にユーザーに読まれている箇所)
また熟読率とスクロール率の相関図も良好な結果でした。
ユーザーが求める情報をページ上部に設置し、すぐに取得できるようにしていることが評価された理由の1つと考えています。
もう1つ、今回のコンテンツマーケティングでは北野社長自ら原稿のレビューなどを行ってくださり、それが記事の質の高さにつながったと感じています。例えばお悔みの記事において、とても複雑な各お悔みのシーンとお花のスタイル、意味合い、立札を一覧表にまとめてくださり、その表は実際ヒートマップで高い熟読率となっていました。これはまさに知見がないと作成できないコンテンツだと思います。
そして、SEO効果が芳しくない記事に関してはヒートマップ上で課題が発見できています。そこは今後花茂さんにてリライト等ブラッシュアップしていただくことを提案しています。記事は作って終わりではなく、公開後の検証をしっかり行い、リライトやチューニングを行い、1記事あたりの貢献効果を最大限に高めることが重要とアユダンテでは考えます。
実施した施策一覧
- 現状把握・サイト診断
- テンプレートレビュー
- 検索ニーズ調査
- 記事構成案/ライティング
- 効果検証
施策後の成果
オーガニック流入セッション昨対(2020年1月 / 2021年1月)
- サイト全体 4.8倍
- 青山花茂BLOG 17倍
コンバージョンの昨対(2020年1月 / 2021年1月)
- 購入件数 1.5倍
電話コンバージョンの増加
- 施策記事を閲覧したユーザーから記事にある花束などの商材について電話での注文が発生した。
ブログ以外の順位上昇
- 表参道 花屋、胡蝶蘭ギフトなど
お客様の声
- 弊社にお声掛け頂いた経緯と、ご発注いただいた決め手をお聞かせください。
- 高校時代の友人が以前、アユダンテ様にお世話になっており、ご紹介いただいたのがきっかけです。外部リンクの大量増設や、強めのプッシュ型のSEOがブランドイメージに合わないと思っていたこと、広告出稿の費用対効果にも不安があった中で、弊社の生真面目なブランドイメージに合うSEOの手法を取れないかと悩んでいました。これまでもたくさんのSEOマーケティング会社さんの営業を受けてもあまりピンとこなかったのですが、内部コンテンツの強化に定評のあるアユダンテさんを紹介いただき、江沢様の誠実な人柄とよどみのない説明にこの人なら任せたいと判断した次第です。
- 施策内容やプロジェクト中のサポートの感想や評価をお聞かせください
- 専門家でない私たちにも、施策内容をわかりやすく説明してくださり、自信を持って進めることができました。内部コンテンツの増産にあたっては、アユダンテさん側が文中に含めたいキーワードやSEO的に望ましいとされる構成に対して、ブランドイメージとの整合性の観点や、読み物としての魅力の観点で私が抵抗する場面も多くあったと思いますが、譲るべきところは譲る、主張すべきところは主張する、というフェアでリーズナブルな対応をしてくれたことが非常に嬉しかったです。一般にコンサルタント側は、クライアントの抵抗に遭うとクライアント側の要望に合わせすぎて、本来なすべきことができないことも多々あると思いますが、信念を通して提案してくれたことが、効果につながったと思います。
- リニューアル後の効果についての感想や評価をお聞かせください。
- 結果として、内部コンテンツ全体の魅力を大きく向上させることができ、それは数字にも現れており、費用以上の効果があったと非常に満足しています。何より、サポート頂いていた期間を終えた今、残された実務者側にとって「こうすれば流入が上がる」というパターンがクリアに見えていることが、このサポート期間が遺してくれた最大の財産だったと思います。とても感謝しています。ありがとうございました。
ご依頼いただいたサイトURL:
オンラインショップ:https://www.aoyamahanamohonten.jp/
BLOG:https://www.aoyamahanamohonten.jp/blog/
担当スタッフ
担当スタッフからのコメント
ご依頼いただいた当初は失礼ながら私自身、青山花茂様を知りませんでした。素晴らしい商材を扱われているのにWeb上での認知度があまり高くないように思いました。お客様も以前からのコアなファンに加えて若い層へのリーチ、認知向上を課題と感じておられ、今回のコンテンツマーケティングによって、そこが実現できるようになったことを実感いただき、大変ありがたく思いました。
また、代表の北野様とは記事構成案のレビュー含め直接やり取りをさせていただきましたが、生花に対する非常に熱い思いをお持ちで、北野様の持つ知見から充実した解説、そして美しい写真など質の高い記事を作りあげることができ、それが良い結果につながったのだと考えております。
そして記事は直接の購入につながらないことが多く、成果をご報告してもご満足いただけないことがあります。ただユーザーと接点を作ることによる長期スパンでの購入増は考えられ、実際昨年に比べて売り上げが上がっていることを北野様にご実感いただけていることがありがたかったです。ブログを見て電話で注文される方がいるというのも、お花という商材ならではで、Web上のCVデータとして現れないけれども大事な部分だなと気づきました。
SEOを通じて青山花茂本店様のお手伝いをさせていただけたことをうれしく思います。
SEOコンサルタント:宮下 真菜