インプレッションベースのリマーケティングリストは、サイト訪問者だけでなく、広告が表示されたユーザーにも再アプローチできる点が大きな特徴です。
認知施策から比較検討施策への連携、シーケンシャル広告、ブランド検索の後押しなど、フルファネルでの広告運用を実現できるため、従来のリマーケティングでは届かなかったユーザーにも、継続的に広告を届けられるようになります。
このコラムでは、インプレッションベースのリマーケティングリストがどのようなものか、実際の設定方法、活用例などをご紹介します。
インプレッションベースのリマーケティングリストとは
概要と従来リマーケティングとの違い
インプレッションベースのリマーケティングリストとは、広告が表示されたユーザーを対象に作成できるリマーケティングリストです。
従来のリマーケティングリストでは、「サイトを訪問した」「特定のページを閲覧した」などのサイト内行動を条件にリストを作成するため、サイトへ到達したユーザーが対象となります。
一方、インプレッションベースのリマーケティングリストでは、広告が表示された時点でユーザーがリストに追加されます。そのため、広告は表示されたがサイトへ訪問していないユーザーも含めてアプローチすることができます。
ここで1点、押さえておきたい仕様があります。
インプレッションベースのリマーケティングリストには、サイト訪問の有無にかかわらず、広告が表示されたすべてのユーザーが含まれます。
そのため、「広告は表示されたものの、サイト訪問には至らなかったユーザー」に近いオーディエンスを作成したい場合は、オーディエンス組み合わせリストを活用しましょう。具体的には、インプレッションベースのリマーケティングリストを母集団とし、Webサイト訪問者リストを除外した組み合わせリストを作成します。
また、組み合わせリストを作成せず、配信設定で次のように設定することでも同様の配信が可能です。
ターゲティング:インプレッションベースのリマーケティングリスト
除外:Webサイト訪問者のリマーケティングリスト
ただし、この場合は「広告は表示されたものの、サイト訪問には至らなかったユーザー」がどの程度存在するのかを事前に把握しにくくなります。
対象ユーザー数を確認しながら運用したい場合や、複数のキャンペーンで再利用する可能性がある場合は、オーディエンス組み合わせリストとして作成しておくことをおすすめします。
主な仕様
設定前に押さえておきたい主な仕様は以下の表でご確認ください。

特に重要なポイントは、次の3点です。
1.検索キャンペーンで使うなら、オーディエンスキャンペーンをソースに含める
1つのリストにつき、最大20個までキャンペーンまたは広告グループをソースとして指定できます。
このとき、ソースに1つでもオーディエンスキャンペーンが含まれていれば、作成したリストを検索キャンペーンを含む他のキャンペーンタイプでも利用できます。
含まれていない場合、そのリストはオーディエンスキャンペーン(ネイティブ広告、ディスプレイ広告、動画広告)でのみ利用可能です。
検索キャンペーンでの活用を想定しているなら、リスト作成の時点でオーディエンスキャンペーンを最低1つ含めておきましょう。
2.メンバーシップ期間は1〜30日
メンバーシップ期間で指定した期間内の広告インプレッションを基に、オーディエンスが生成され、期間は1~30日で設定できます。
Webサイト訪問者リストと比較すると保持期間が短いため、長期間の追客というよりも、広告接触後の比較的短期間に再接触を行う用途に向いた機能といえます。
3.リストサイズは少なくとも300ユーザー
作成したリストは、ユーザー数が300に達するまではターゲティングや入札調整に利用できません。また、リストは自動的に更新されますが、ユーザー数の反映には一定の時間を要する場合があります。
ソースとなるキャンペーンのインプレッション数が少ない場合は、複数のキャンペーンや広告グループをまとめてソースに指定したり、メンバーシップ期間を長めに設定したりすることで、十分なリストサイズを確保します。
マーケティングファネルの中での役割
従来のリマーケティングは、サイト訪問や広告クリックといった顕在化した行動を起点とするため、認知段階で広告を見ただけのユーザーは、次の施策の対象になりませんでした。
インプレッションベースのリマーケティングリストを使うと、この層がそのまま次の配信対象になります。
最初にブランドやサービスを認知したユーザーへ段階的に情報を届け、理解を深めながらコンバージョンへ導く「認知 → 再接触 → 比較検討 → コンバージョン」という一連の流れを設計できるようになります。
そのため、認知施策を重視するBtoB商材や、ブランド訴求を目的とした広告運用において相性のよい機能と言えるでしょう。
リストは除外にも使えるため、「認知施策で既に接触した層を除外して新規リーチだけを広げる」といった配信コントロールにも応用できます。
インプレッションベースのリマーケティングリストの設定手順
基本的な設定手順は以下の通りです。
1.オーディエンスリストを作成する
管理画面のメニューから「ツール」>「オーディエンス」を選択し、新しいリマーケティングリストを作成する画面に移動します。

オーディエンスの作成画面で、「インプレッションベースのリマーケティングリスト」を選択します。

2.リストの条件を設定する
ソースとして利用したいキャンペーンや広告グループ、メンバーシップ期間などを設定します。

3.キャンペーンもしくは広告グループにリストを設定する
作成したリストをターゲティング対象として設定します。
キャンペーンもしくは広告グループを選択>左側メニューのオーディエンスをクリック>関連付けの作成

入札単価の調整のみであれば、「入札単価のみ」を選択し、ターゲットとして絞り込む場合は「ターゲットと入札単価」を選択します。(入札調整は -90%〜+900%の幅で可能)

インプレッションベースのリマーケティングリストの活用方法
シーケンシャル広告による段階的訴求
インプレッションベースのリマーケティングリストは、シーケンシャル広告と組み合わせることで効果を発揮しやすくなります。シーケンシャル広告とは、ユーザーの接触履歴に応じて、異なるメッセージを段階的に届ける広告手法です。
例えば、次のような流れで広告を配信することで、ユーザーの理解を深めながらコンバージョンにつなげやすくなります。
第1段階:ブランドの認知・興味喚起
第2段階:商品の特徴・メリットの訴求
第3段階:利用シーン・口コミによる安心感の醸成
第4段階:購入・申し込みの後押し
広告が表示されたユーザーを次の施策につなげられるため、従来のサイト訪問ベースのリマーケティングよりも広いユーザー層に対して、段階的なコミュニケーション設計が可能になります。
BtoCにおける活用
BtoC商材では、期間限定キャンペーンのリマインド施策に活用しやすいでしょう。
例えば、セールやイベントの告知広告に接触したユーザーに対して、後日「まもなく終了」「残りわずか」といったメッセージを配信することで、購入や申し込みを後押しできます。
広告を見たものの、その場ではサイト訪問や購入に至らなかったユーザーでも、商品やサービスに関心を持っているケースは少なくありません。こうしたユーザーに改めてアプローチすることで、検討中だったユーザーの行動を促せる場合があります。
また、検討期間の短い商材では、メンバーシップ期間も実際の購買サイクルに合わせて設定することが重要です。例えば7日前後を目安に設定し、リストサイズや配信実績を確認しながら調整するとよいでしょう。
BtoBにおける活用
BtoB商材は検討期間が長く、広告を見た直後に問い合わせや資料請求につながるケースはそれほど多くありません。
そのため、まずは認知施策でサービスやブランドを知ってもらい、その後の広告配信を通じて理解や関心を高めていくリードナーチャリングが重要になります。
例えば、ユーザーの検討段階に合わせて次のように情報を届けることで、自然な流れで商材への理解を深めてもらうことができます。
第1段階:課題の認識・解決策の認知
第2段階:サービス内容・導入メリットの理解
第3段階:導入事例や実績による比較検討・信頼形成
第4段階:資料請求・問い合わせの促進
ここで気を付けたいのが、メンバーシップ期間の上限が30日であることです。たとえば検討期間が3カ月ほどある商材でも、リストとして保持できるのは直近30日間のみです。そのため、認知施策を短期間だけ集中的に配信すると、配信停止から1カ月後にはリストがほぼ枯渇してしまいます。
BtoB商材でこの機能を活用するのであれば、短期的に予算を投下するよりも、認知キャンペーンを継続的に運用し、リストが常に更新される状態を維持することが重要です。見込み顧客の母数を途切れさせないという意味でも、有効な運用方法といえるでしょう。
継続運用を前提とする場合は、リストの元となるキャンペーンの配信状況や、リストサイズの推移を定期的にチェックしておくことをおすすめします。
また、広告に接触したユーザーは一般的なユーザーよりも商品やサービスへの関心が高いと考えられます。そのため、こうしたユーザーリストに対して入札を強化する運用も有効です。
特に問い合わせ獲得単価が高くなりやすいBtoB商材では、広告接触済みユーザーに予算を厚めに配分することで、より効率的なリード獲得につながる可能性があります。
クリック単価の高い商材での活用
不動産や金融、人材、BtoB SaaSなどの市場では、検索広告のクリック単価が数千円に達するケースも珍しくありません。こうした商材では、インプレッションベースのリマーケティングリストが広告予算の効率化に役立つことがあります。
クリック単価の高い商材では、競合の多さから十分な掲載順位を確保できないこともあれば、上位に表示されていても他社広告にユーザーの関心が向くことがあります。その結果、広告は表示されているものの、サイト訪問につながらないユーザーが一定数発生します。
そこで、「広告は見たがサイトには訪問していない」ユーザーをリスト化し、オーディエンスキャンペーンで再度アプローチすることで、検索広告で入札単価をさらに引き上げるよりも低コストで、該当キーワードに関心を持つユーザーとの接点を増やせる場合があります。
まとめ
今回ご紹介したインプレッションベースのリマーケティングリストは、「広告が表示された」という接点を起点に活用できるため、認知施策の強化やシーケンシャル広告の展開など、従来のリマーケティングとは異なるアプローチが可能です。
自社の商品・サービスの特性や検討期間、広告施策に応じてどのような活用方法が適しているかを検討し、新たな広告接点として活用してみてはいかがでしょうか。







