Sydney SEO Conference 2026セッションまとめ – 海外カンファレンス参加レポート
2026年04月14日

2026年3月20日オーストラリアのシドニーで行われたSydney SEO ConferenceにSEOコンサルタントのコガンポリーナが参加してきました。

Sydney SEO Conference 2026の看板

過去に参加してきたSEOカンファレンスと比較するとそこまで規模が大きくなく、参加人数は200~300人程度でしたが、どのセッションも面白く新しい学びがありました。

1日で9つのトークと2つのパネルディスカッションが行われましたが、このコラムでは特に共有したいと思ったセッションのポイントや感想をまとめます。

  1. ビジビリティと信頼を得るためには
  2. GEOのためになるデジタルPR
  3. E-E-A-Tより「有名になること」
  4. LLMの仕組みのコンテンツ戦略への影響
  5. 検索で成功するローカルブランド作り
  6. EコマースのためのGEO
  7. チャリティーイベントのSydney SEO Conference
  8. まとめ

はじめはSEOやAI関連の一般的なセッション、最後はローカルとECの事例のセッションをご紹介します。

ビジビリティと信頼を得るためには

カンファレンスの最初のセッションでは、Kevin Indig氏がゼロクリック時代にユーザーに見てもらうためには、また信頼してもらうためには何をやるべきかについて話しました。

大事なポイントは、「クリック」より「影響」に意識をシフトさせることだと感じました。

セッションの中でAIOとAIモードのユーザーテストが紹介され、ユーザーが検索結果でUGCを好む傾向の中で、特にAIOが表示される際にUGCがそのAIOに表示された内容を再確認するために使われていた点が興味深かったです。

また、AIモードのテストではユーザーの18%がAIモードから直接サイトに遷移するのではなく、別タブでサイトに直接アクセスしていたことが見受けられ、データ上ゼロクリックに見えても実はAIモードに取り上げられたことによって発生したダイレクト流入があることが分かりました。

ユーザーテストでないとわからない非常に面白い気づきです。

Kevinさんは様々な面でのビジビリティを得るためにやるべきこと、また信頼されて選ばれるためにやるべきことを以下のようにまとめました。

GEOのためになるデジタルPR

次はSydney SEO Conferenceの主催者であるProsperity MediaのJames Norquay氏によるGEOに役立つデジタルPRのお話でした。

まとめ系記事がLLMに取り上げられやすいという話はよく聞きますが、それらは誰でも作れて、LLM内での入れ替わりも激しいので、より安定してビジビリティを得るためには本格的でよりハイレベルのPRが必要です。

従来のSEOでも評価される、一般的に話題になりやすいデータを元にしたようなコンテンツが有効とのことで、Jamesさんが自身の顧客で成功した事例をいくつか紹介しました。

  • オーストラリアで起業するのに向いている都市ランキング
オーストラリアで起業するのに向いている都市ランキング記事紹介スライド
オーストラリアで起業するのに向いている都市ランキングのChatGPTの結果
  • オーストラリアでカビが生えやすい都市ランキング
オーストラリアでカビが生えやすい都市ランキング記事の紹介スライド
オーストラリアでカビが多い都市に関するGoogle AI Modeの結果
  • オーストラリアのドライビングレッスンの相場
オーストラリアのドライビングレッスンの相場記事の紹介スライド
ドライビングレッスンの相場に関するChatGPTの結果

上記の例はどれも様々なデータを元にしたコンテンツであり、更に地域を比較していることもあって拡散されやすいのが特徴です。外部リンクを得ており、ウェブ上でのブランドメンションにもつながる高品質なオリジナルコンテンツであって、安定してLLMに取り上げられているようです。

PRの話の中で「偽の専門家は使わないでね」という話があり、2025年のbrightonSEOにて悪い意味で話題になったE-E-A-T偽装の話を思い出させられました。イギリスでは、偽の専門家を使っているサイトのブラックリストが存在するようです。

イギリスの偽の専門家をブラックリストするウェブサイト、記事の紹介

Jamesさんのセッションの他にもデジタルPRについてのパネルディスカッションがあり、やはり最近はサイト内部の施策だけでは不十分、PRの取り組みが非常に重要だと再認識しました。

E-E-A-Tより「有名になること」

Jes Scholz氏が短期戦略である最終クリックに集中するより、長期戦略である最終クリックになりえるユーザーの母数を増やす顧客囲い込みと、知名度作りの重要性について話しました。

短期戦略はGoogle検索、ショッピング枠、ChatGPT等
長期戦略はDiscover, Reddit, SNS、動画やポッドキャスト等

結論から言うと、有名になることを目指せばよいのですが、有名になるためにはショーマンシップ、独自性、デジタル可用性が大事、とのことでした。

LLMの仕組みのコンテンツ戦略への影響

Frank Duignan氏がLLMの仕組みでコンテンツ戦略に影響するものについて話しました。

  • コンテンツチャンキング

LLMはコンテンツを「チャンク」レベルで解析していますので、コンテンツを作る際にその特性を意識すると良いです。評価されやすくなるためには、チャンクが自己完結型であって、網羅性があると良いです。

自己完結型であって、網羅性があるチャンクの例

ページレベルの文脈も引き続き大事ですが、その中ではチャンクレベルでも細かいユーザーニーズに対応して最適化を行っていくと良いとのことで、FrankさんがSEOについてのまとめ記事を作った際の計画例を紹介しました。

SEOに関する記事のチャンク戦略の事例
  • クエリファンアウト

LLMは1つのクエリに対して同時にクエリファンアウトという関連する複数クエリでも検索する仕組みがあって、非常に詳細な回答、時にはかなりパーソナライズされた回答を返しています。

クエリファンアウトのイメージ

クエリファンアウトという特異性に応えるためには、自社のユーザーをなるべく良く理解し、1つのプロンプトではなくユーザーがそれと関連して気になると考えられるあらゆるクエリを意識したコンテンツ戦略が効果的です。

ユーザーを理解するためのポイント
クエリファンアウトの例

検索で成功するローカルブランド作り

事例のセッションに移って、オーストラリア全国を対象とする家事代行サービスMaid2MatchのLauren Schwartz氏がローカルレベルで成功した戦略を紹介しました。

家事代行サイトはストック画像が使われることが多く、全国のユーザーに対して同じコンテンツを提供する、ローカルレベルでの対策ができていない業界の一つです。

ただし、地域名での検索が多く、近くでサービスを探しているユーザーがほとんどです。

Maid2Matchは地域名の検索に対して、本格的に取り組んで、良く検索される地域名ごとにユニークなコンテンツを用意したことによって流入増、指名検索増に成功しました。

家事代行に関するChatGPTの結果例

非常に大変な取り組みですが、地域別にページを用意しただけではなく、その地域のスタッフさんのプロフィール、掃除している際の写真、その地域の口コミコンテンツを掲載しています。正にJesさんのセッションで紹介された競合に真似ができない「ショーマンシップ」に該当すると思いました。

ローカル対策のスタッフプロフィール、口コミの例

ローカライズの施策でありながら、ユーザーに家事スタッフさんを知ってもらい、そのスタッフの名前が入っている口コミを読むことで信頼性向上にもつながりやすく、スタッフを覚えてもらうことでリピートにもつながりやすそうだなと思いました。

「競合がそのままページをコピーして自サイトに載せても違和感がないコンテンツは間違っている」という発言が印象的でした。

EコマースのためのGEO

ファッション通販サイトPrincess PollyのDestiny Flaherty氏よりEコマースサイトのGEOについての話の中で、ユーザーの検索が変わってきており、よりロングテール化して、より細かいニーズでの検索がされるようになっていると述べられました。

クエリがショートテールからロングテール化している
猫用ハーネスの検索が変わっている例
猫用ハーネスに関するAI回答の例

また、LLM内でショッピング結果が出るようになっています。出現率は低いですが、CVRがマーケティングチャネルの中で一番高いというデータも出ていて、ECサイトは対策する価値はあります。

LLM内ショッピング結果のポイント

GEOはSEOの延長線上にありますが、以下のポイントを意識する必要があります。

  • 大前提としては、コンテンツがLLMにアクセス・認識できるようにする必要がある
  • 商品関連のロングテールクエリにコンテンツで対応する
  • デジタルPRと外部サイテーションでブランドシグナルを強化する

ECサイトの具体的な施策の例:

  • GoogleやChatGPT向けのフィード最適化
  • 構造化データマークアップの最大化
  • よりパーソナライズされて細かいクエリの答えとなるユーザー口コミがJavaScriptに依存せず認識できる形で存在すること

3点目は多くのサイトで自社口コミがLLMに認識されていないケースがあり、例えばよりネガティブに偏りやすい掲示板等の口コミのみが参照されてしまうと機会損失となることもあるでしょう。自社の口コミをしっかりLLMに認識させることで、より細かい検索ニーズに応えることができ、外部プラットフォームの影響を抑えられて、自サイトへの流入を促せます。

自社口コミがLLMに認識できない場合の例
自社口コミがLLMに認識できる場合の例
口コミをLLMに認識させるメリット

チャリティーイベントのSydney SEO Conference

主催者Prosperity MediaのJamesさんは、この2年の間に病気のため数週間病院で過ごしていたようです。そのときの対応に感謝を込めて今年から3年分のカンファレンスの売り上げをお世話になったChris O’brien Lifehouse 病院に寄付することを決めたそうです。

参加者のみんなも、社会にどう貢献できるか考えてほしい、例えばチャリティーサイトのSEOや、最近また増えてきている怪しい代理店に被害を受けたSMBのSEOをするなど、いくつかのアイデアがシェアされ、考えさせられるイベントでした。

SEO専門家が社会に貢献できるヒント

まとめ

やはり現在のSEO、「GEO」ともにクリックではなく「ビジビリティ」や「影響」、「信頼」等、よりマーケティング全般の概念の重要性がより一層高まっていると感じた話が多かったです。

とは言え、やはり前提として技術的な要件やコンテンツの最適化の重要性が変わらないことも実感しました。

この記事では一部のセッションのみまとめていますが、面白いと感じた他のセッションの気づきをコガンのXで投稿していますので、良かったら併せてご確認ください。

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