【セミナー所感】日本における「Cookie同意」の動向と「Googleコンセント(同意)モード」

2021年12月23日
ライター:山浦 直宏

~2021年12月13日(月)開催:「改正個人情報保護法とGoogle・Facebookの広告、アナリティクスでやるべき「実務対応」」に登壇して~

去る12月13日(月)に、アユダンテ株式会社・TMI総合法律事務所・Option合同会社の三社共催で、表題のセミナーが開催されました(以下:本セミナー)。

※セミナー概要はコチラを参照。

日頃、デジタルマーケティング(ネット広告、ウェブ運用、マーケティングデータ分析、等)に関わる人にとっては所謂「ユーザーデータ(潜在顧客、サイト訪問ユーザー、既存顧客、等)」(※個人情報云々・・・と、安易に書けないので本稿では丸めて「ユーザーデータ」と表記します。)にまつわる様々な規制の話がちらほら聞こえてくるものの、今一つ掴みどころのない感じを持たれている人が多いのではないでしょうか?例えば「GDPR」「CCPA」「ITP・・(えっと、今いくつだっけ?・・みないな)」。どれも、もちろん耳にしたことはあるけれど、自分の業務との関連や対応方法などきちんと言える人は(私も含めて)少ないのではないでしょうか。
先日のセミナーでは、まさにそのあたりの疑問に応えるべく法律の専門家と実務の専門家が共同で開催した有意義なセミナーであったと思います。残念ながら本稿では、その内容を解説することは叶いませんが、この手のセミナーは今後も継続して企画されるようですので次の機会をお待ちいただければと思います。

私は日頃Google アナリティクスを専門的にコンサルティングさせていただいている立場から「Googleコンセント(同意)モード(以下Google同意モード)」についてコメントさせていただく機会を得ました。本稿では、その際に感じたことをあくまで私個人の「所感」として書かせていただきたいと思います。

■日本国内法とCookieの同意取得

本セミナーは、2022年4月1日に施行開始となる「改正個人情報保護法」に関連して、そのポイントとデジマ関連の人には欠かせない「Cookie」の対応について弁護士先生の解説講義とQAセッションを中心に行われました。その中で、昨今ウェブサイトを訪問した際に表示される事が多くなった「Cookie同意」の表示(以下、Cookieポップアップ)について、現状の個人情報保護法においては「Cookie同意」の取得は義務付けられているものではない、と理解できました。(※但し、GDPRの適用のない日本のウェブサイトの場合。一方で、ユーザーのプライバシー保護の観点から任意にCookieポップアップによる表示を行う企業は増加している模様。)

■電気通信事業法とCookieの対応

しかし、「電気通信事業法」という個人情報保護法とは別の法律の中で「ネット閲覧者の閲覧履歴のデータが第三者に提供される状況を利用者が止める仕組みをサイト運用者に義務付ける(日経新聞2021年11月30日掲載記事より)」という方針が出され、この法律や指針の改正を視野に具体策の検討に入る(つまり、まだ検討開始する段階であって法律改正も施行も決まっていない状態)というお話も伺いました。
もちろん、現段階で確定的なことは何ひとつ言えない状況ですが「もし」この報道のような方向で法改正が進むと考えた場合、ウェブサイトを運営する事業社は、閲覧履歴データの第三者提供がある場合に「Cookieの事前同意取得」が法的に義務付けられるという状況も想定できることになります。

■「Cookie同意」と「Google 同意モード」

さて、前置きが長くなりましたが前述のように「近い将来、ひょっとすると日本国内の法律でもCookie 
事前同意が義務付けられるかもしれない(あくまで、閲覧履歴データの第三者提供を行う場合を想定)とした時に、我々デジマの現場人間としては「同意されなかった時」って「ユーザーデータ」計測ってどうなるん?ということは、考えておく必要があると思い簡単に整理をしてみました。現状、法律の義務ではない状況においてもプライバシー保護の観点から任意でCookieポップアップを表示する企業も増えているという状況もありますので、この影響についてはそろそろ知っておく必要があると思います。

>CMP(コンテンツ・マネジメント・プラットフォーム)とは
Cookieポップアップは、通常CMPによって表示されます。CMPはCookieの事前同意を取得できる仕組みですが、Cookieとひと言で言ってもウェブサイトには様々なCookieが付与されているわけなのでその目的や種類によって個別に「同意/拒否」(もしくは通知のみ)を得ることもできます。
Cookie同意取得に関連して、ウェブサイトのデータ計測がどうなるのか? を簡単に整理すると以下図のようになります。ウェブサイト訪問ユーザーがCookieの取得について同意した場合は、何も変わらずユーザーのデータは計測されます。本稿では技術的解説は割愛しますが、サイトに実装されている各種計測タグ(広告計測やアクセス解析のタグなど)は通常通り起動し、計測されます。

知っておきたいのは、では「Cookie同意」をしなかった場合にどうなるのか?ということです。Cookieポップアップに対しユーザーが「拒否」をすると、その拒否をしたCookieを計測するタグはCMPによって制御され起動しません。つまり、計測そのものが行われなくなります。ユーザーは計測を拒否しているわけなので、これは当然想定できることと言えます。この場合、デジマの現場運用目線で何が想定されるか?というと、広告業務においては「サイト上のコンバージョンが計測されない」また、ウェブ業務においては「PV数やユーザー数が計測されない」ということになります。前述のように、近い将来起こりうる法改正によってCookie同意が義務付けられる方向になるとすれば、デジマ現場としては日常活用している計測データにこのような影響がでることはあらかじめ知っておいた方がいいでしょう。また、義務ではないがプライバシー保護観点からCMPによるCookieポップアップを導入する場合も同様にこの状況を知っておく必要があるでしょう。

>「Google同意モード」とは
このような状況の中でGoogleは「Google同意モード」を提供しています。Google同意モードについては既にヘルプサイトで詳細な情報が公開されているので、詳しくはそちらをご覧ください。

ひと言でいうと、Google同意モードを使うとユーザーがCookieを拒否した場合でも「Cookieの無いpingデータ」が送信されるとうことです。Google同意モードは「gtag.js」「タグマネージャ」で設定可能ですが、これらは各CMPツールと連携可能となっており、シンプルに言えば、CMPによってCookieを拒否された場合であってもGoogle製品のタグは起動され「Cookieの無いpingデータ」が送信されるようになる、という仕組みであると言えます。
デジマ現場の皆さんであれば「Cookieの無いデータ」が計測上どうなるのか?は、容易に想定可能と思いますのでここでの詳細解説は省きますが、当然「ユーザー」を特定できない「ただのヒットデータ」ということになりますが、このようなデータが実際にどこまでのデータを送信できるのか?については、今後の検証を待ちたいと思います。

Googleは一体何の目的で「Google同意モード」を用意したのか? ヘルプサイトでの情報で明らかなのは「コンバージョンモデリング」への活用です。GoogleはCookie拒否によって(従来の計測に比べると)欠損するコンバージョンデータを、この「Cookieの無いpingデータ」と機械学習による予測数値によって補完(という表現が的を得ているか?わかりませんが)する目的があると考えられます。広告経由でのサイト訪問ユーザーのコンバージョン数が「Cookie同意」の義務化の流れの中で影響を受けるのであれば、Google広告を利用する広告主、運用現場の目線からは注目したい仕組み、と言えると思います。

では、Google アナリティクスを利用しているデジマ担当者からすると「Cookieのないpingデータ」がどのような影響をもたらすのか?何に活用できるのか?は気になるところですが、その点については近々また別の記事にて解説する予定です。

今後もこのような状況をしっかりと理解した上で、計測データの現場運用への影響という視点を持ちつつ引き続き国内法の動きにも注目していく必要があると思います。

参考:アユダンテ(英語版ブログ)>Googleの同意モードの基本:内容と方法
※英語のみですので、ページ翻訳等利用してご覧ください。
<お問い合わせ>
https://ayudante.jp/contact-jp.htm

採用情報はこちら

この記事を書いた人
山浦 直宏
山浦 直宏
デジタルソリューション事業部
COO
チーフ エグゼクティブ コンサルタント

Google アナリティクス 360、Google マーケティングプラットフォーム活用を中心としたデジタルマーケティングコンサルタント。ネット広告の黎明期より一貫して、ネット広告、デジタルマーケティング畑を歩む。講師を務める「Google アナリティクスIQ講座」では資格取得者900名余を育成する一方で、立教大学(元非常勤講師)など複数の大学にて人材育成にも取り組む。講座・講演、業界誌やネットメディアなどでの執筆・寄稿多数。

最近書いた記事
著書