最近のWEB広告は「自動化」の波に押され、2~3年前と比べても大きく変化をしていて、アカウントの構成や設定するキーワードなど、「ついこの前までの常識」が通用しなくなっている現実があります。
もちろん、広告文も大きく変化を遂げていることは、以前のコラム「Google AdWordsで、拡張テキスト広告が始まった! どうなるの? こう書くの!?」で書かせていただいた通り。
ただし、広告文を含む広告クリエイティブは、常にターゲット・ユーザーに対して、何かしらのアプローチとなり、ユーザーの行動を促す役割であることに変わりありません。
しかしながら、この広告文、長いものが主流となったり、例えば、サイトリンクの説明文(Adwords)やコールアウト表示&テキスト補足といった、オプション機能が充実してきたりしたことで、書くことが苦手と思っている人には、荷の重い作業になりつつあるのではないでしょうか。
広告の運用をしている人は、書くこと が得意であっても、苦手であっても、広告文を作成しなければならない場面が少なからずあるかと思います。
そこで今回は、広告文のテクニック論ではなく、どのように考え、組み立てていくと広告文が書けるか、その考え方、取り組み方について、書いてみようと思います。
つい先日、SEMカフェと弊社の合同セミナーでも、広告文を書くことの重要性が語られていました。また、推奨されるクリエイティブ本数が3から5本などといわれる昨今、広告が書けないとお悩みの方は、参考にしていただけると幸いです。
広告文の役割
まず、広告ってどんな目的で出稿しますか?
例えば、「自社を知ってもらいたい」とか「サイトへの流入数を増やしたい」とか「商品を売りたい」とか「会員になってもらいたい」とか、様々な思いがあるでしょう。
ですが、広告出稿の一番の目的は「サイトでの(自社の)収益拡大」ではないでしょうか。その目的を達成するための手段として、広告を出稿するのだと思います。
広告を出稿する際、広告文は、端的に言えば「広告主様のサイトと、ターゲットにマッチしている見込み顧客とを結ぶ架け橋」という最も重要な役割を担います。
もちろん、アカウント構成、設定KW、ランディングページなど、全て重要な要素ではあるのですが、ユーザーに直接接触し、行動を起こさせることができるのは、広告文(クリエイティブ)しかありません。
裏を返せば、広告クリエイティブがなければサイトに誘導することができないのです。
もちろん、なければ広告は出稿できませんが、ないに等しいものであれば、広告からのサイト誘導は見込めず、出す意味がない広告になってしまうので、筆者の中では、最も重要な役割だと位置づけています。
クリエイティブひとつで、広告出稿の意味合いすら変えかねない為、「広告文を作る」ということは、慎重かつ丁寧に進めていきたいですね。
リスティングとディスプレイの広告文の構成
このコラムは「書けないあなたへ」というタイトルですので、今回、画像まわりのお話は割愛させていただきますが、ディスプレイネットワークに出稿するクリエイティブにも長めの説明文が必要です。
広告文が長くなったり、表示オプションが充実したり(増えたり)、いろいろと様変わりしていますが、広告文の構成をしっかり把握し、それをひも解いていくと、広告文が作りやすくなりますので、ここで、リスティング広告とディスプレイ広告の広告文構成をおさらいしてみましょう。
リスティング広告の構成
リスティング広告は、検索結果画面に表示される、テキストのみで構成される広告のこと。設定したキーワードをきっかけに、そのテーマ(趣旨)に沿った広告文が表示されます。
現在は、以下のような構成になっています。
必須と考える記載するべき項目は、
- タイトル:全角15文字×2
- 説明文:全角40文字
- サイトリンク(タイトル):全角12文字※クリックしたときに飛ぶページURLが必要
- コールアウト(テキスト補足):全角12文字
必須ではないけれど、記載した方が良い項目は、
- 表示用URLのパス:全角7文字
- サイトリンク(説明文)※Googleのみ:全角17文字×2
一つひとつは少ない文字数になっていますが、組み合わされることで、相当な文字数になることがわかります。
ここでしっかり把握しておきたいところは1パーツの文字数です。
ザッとみると、必須項目の最小文字数である「全角12文字」がポイントになりそうですね。
ディスプレイ広告の構成
ディスプレイ広告は、GoogleとYahooで文字数が違います。
Googleのディスプレイ広告は、画像とテキストが組み合わされて表示されるレスポンシブ広告が主流になりつつあるのではないでしょうか。
リスティング広告で作成したテキストのみの拡張テキスト広告も設定できますが、レスポンシブ広告は、少し文字数が異なります。3種類のテキストを設定し、それが異なる組み合わせで、サイズも横長・縦長・レクタングルと形を変えて表示されますので、インプレッションも多く、CTRも高くなってきている印象です。
- 広告見出し(短縮版)
- 広告見出し (通常版)
- 説明文
これに加え、1200×628と300×300の画像と300×300のロゴ画像が必須となります。
- 広告見出し短縮版は、拡張テキスト広告のタイトルより3文字少ない、全角12文字
- 広告見出し通常版と説明文は、拡張テキスト広告の説明文より5文字多い、全角45文字
45文字のテキストはボリュームがありますが、拡張テキスト広告の説明文を流用することができるので、大きな問題はないと考えます。
Yahoo
Yahooのディスプレイ広告は、Google同様、画像とテキストの組み合わせで表示されるテンプレート広告がインプレッションを大きく伸ばしている印象です。
- タイトル
- 説明文
加えて1200×628と300×300の画像と300×300のロゴ画像が必須となります。
驚くべきは、この文字数の長さ。
タイトルが20文字は大きなインパクトはありませんが、説明文は最大全角90文字と、無料占いのその日の運勢くらいカバーできる長さです。
ただ、この全角90文字の内、表示保証とされているのは全角38文字まで。ほぼ、他の説明文の長さと同等であるとみることができます。
ここまでが、Google/Yahooにおける、広告文の構成の現状把握となりますが、書く項目が多く、一口に広告文作成といっても、簡単ではないことがご理解いただけるかと思います。
広告文作成は「取材」が命
そう、簡単ではないのです!
よって、書けないとお悩みのあなたは、悩んで当たり前なのかもしれません。ただ、お仕事なので、難なく書けるようになるために、以下の準備を進めていきましょう。
まず、いの一番に実施すること、それは「取材」です!
取材というと、人へのインタビューをイメージするかもしれませんが、書くネタ元を取ってくることを指します。
では、どのようなことがネタ元になるかというと、
- サイトに記載されている全情報
- 広告の対象となる商品情報はもちろん、会社概要・沿革・他商品・サービス内容、あれば口コミレビューなど 。
- 広告の対象となる商品について
- これは、多岐にわたるので割愛しますが、今回サンプルに使っている「生ガキ」であれば、産地・旬・食べ方・レシピ・価格帯・栄養素・殺菌方法・検索傾向・話題性など。
- 競合調査/広告調査
- 同じようなサービスを実施している企業、競合と認識している企業がどのような商品を持ち、サービスを展開しているか。自社(お客様)とどのような差別化をはかっているか。どのような広告を出稿しているかの確認。
など等。
通販であれば、買い手がどのような情報を必要とするか、売り手はどのようなポイントをアピールしたいか、自社を選んでもらうためには、何をアピールするべきか、その答えがネタ元にあるはずですので、ご自身の目で確かめることから始めましょう。
次に実施することは、取材したネタを箇条書きで書き出すことです。
前項で、広告文の構成を説明した際、「全角12文字」がポイントになると述べましたが、短いセンテンスで多くの訴求を書き出すことが、広告文を難なく作成する第一歩になるといっても過言ではありません。
例えば、サンプルで使った広告の「アユダンテ水産(架空)」を取材してみると、いろんな事柄がわかりましたので、それを箇条書きにしてまとめてみます。
箇条書きにする際、Excelを利用すると文字数もすぐにわかり便利です。
文字数のカウントはLEN関数を使うと簡単です。
箇条書きにする時には、特に文字数を12文字に整える必要はありませんが、12文字を意識することで、タイトルや、広告文の1センテンスになりうる訴求(ネタ)がいっぱい取れたように見えます。
これは架空サイト(サービス)ですのでこの程度ですが、実在する、かつ、広告による集客を見込むサイトであれば、もっとたくさんのネタがあるかと思います。
例えば、聞いたことのないサービスであれば、そのサービスについて深堀りすることでネタは増えるでしょう。立ち上げたばかりの企業サイトであれば、競合との差異があるはずなので、広告を作るネタになりますよね。
きっちり取材して、ネタをふんだんに揃えることができれば、あとは組み立てるだけ。
取材にはできる限りの時間をとって、難なく広告文が書けるように準備しましょう。
広告文に必要な4つのポイント
前項で作成したネタ帳ができたら、もう広告は書けたも同然です。
あとは、以下の4つのポイントを念頭に置きながら、取材したネタを組み合わせていきましょう。
- どんな言葉で検索されるかを想像し、その文言と答えとなるキーワードを含める
- 喜ばれるサービス・お得ポイントなどニーズに応えられるキーワードを含める
- 不安や懸念に対しての答えとなるキーワードを含める
- 「嘘(過大解釈)」は絶対に入れず、事実のみを記載!
まずは、この4つのポイントを押さえて広告文を考えるところから始めてみましょう。
検索語句:「生ガキ 仙鳳趾 通販」
上記のような広告文では、
- (想像した)検索語句を含め、実在する商品(商品名)を 記載
- 牡蠣を自宅で生食できることを記載
- 生牡蠣の最大のネックである菌による中毒が起こり辛いことを記載
- 殺菌方法を記載
- 最安値を記載
- 送料が無料になるポイントを記載
- 配送方法を記載
といった前項で箇条書きにしたネタを、4つのポイントを念頭に置きながら組み合わせることで、シンプルではありますが、広告文を書くことができました。
他にも、例えば会社が老舗で卸し先が高級料亭であることを訴求すれば、それもユーザーに安心感を与える要素になり得ますし、専任の仲買人がいることを訴求すれば、粗悪品をつかまされる可能性が低いと印象付けることもできるでしょう。
同時に、検索語句を異なる文言と仮定すれば、別のネタを組み合わせることで、新たな広告文はできていきます。
そして、広告文を書くことに少しこなれてきたら、具体性・文章のリズム・言葉のチョイスなどのテクニックに繋がることを意識して書いてみてください。
きっと、書けないと悩んでいたことが嘘のように、価値の高い広告文を書けるようになっているはずです。
しっかり取材し、ネタ帳を作り上げておけば、広告文は難なく書けるようになり、複数の広告文を作成したり、新たな広告文を作り出す時も、慌てずスピーディーに取り掛かったりすることが可能になります。
また、普遍なアピールポイントはコールアウト&テキスト補足オプションとして設定しておけば、上位表示された時に広告文を文字通り補足し、訴求が強調された広告クリエイティブが表示されることになるでしょう。
広告文を書くためのまとめ
- 広告文は、サイトとユーザーを繋ぐ架け橋であることを強く意識する
- サイト・商品・企業・競合の取材を徹底的に行う
- 取材したら12文字を意識して、短めの箇条書きにする
- 検索語句・ユーザーニーズ・懸念、不安のアンサーを意識して箇条書きを組み立てる
- 嘘(過大解釈)は広告文に載せない
長いコラムとなってしまいましたが、広告文の作成は実践あるのみ。作って、載せて、反応をみて、改修して、を繰り返し、広告文作成という工程を自分のモノにしていってください。