【実例解説】リニューアル時のSEO ドメイン移行の失敗とリカバリー記録
2026年03月16日
ライター:江沢 真紀
SEO

サイトリニューアルでは、デザインやCMS移行、機能開発にフォーカスされやすい一方で、SEO要件の漏れが起きやすく、公開後に流入や評価が大きく落ちるケースがあります。

特に重要なのが、「URL変更を伴うリニューアル(ドメイン移行・URL移行)」です。
リダイレクト設計や移行作業が不十分だと、新サイトがインデックスされにくくなったり、旧サイトの評価を引き継げなかったりします。

本記事では、Ayudante APAC(シンガポール管轄サイト)のドメイン移行で実際に発生したトラブルをもとに、

  • 何が原因だったのか
  • どのような施策で回復したのか
  • リニューアル時に何を要件として入れるべきか

を、実例と共に解説します。

サイトリニューアルで、SEO要件が後回しになっていませんか?

Web担当者の方であれば、サイトリニューアルを一度は経験されたことがあるかもしれません。リニューアルは大変です…。

以下のように様々なことに対応する必要があると思います。

  • CMS / プラットフォームの変更
  • デザイン・UI/UXの刷新
  • システム要件
  • コンテンツ移行
  • 各種運用フローの整備

そのため、SEO要件が要件定義から抜け落ちることが少なくありません。

実際、公開後に「リニューアル後に流入が落ちた。原因を調査してほしい」
というご相談を過去に何度もいただいています(アユダンテで支援したサイトでは起こっていません!)。

何より重要なことはリニューアル時の要件定義の段階でSEO要件を洗い出し、開発・制作の実装対象に含めてもらうことです。
最初から要件に入れておき、必ず実装してもらうことが大事なのです。
以下はSEO要件とやるべき施策です。

Ayudante APACサイトのドメイン移行プロジェクト

アユダンテは2024年6月にシンガポールのGMPリセラーSparkline社を100%子会社化しました。

その後、2025年6月に既存サイト sparkline.comayudante.asia へリニューアルしました(ドメイン移行※)。
※サイト構造・コンテンツ・URLパスは基本的に維持し、主に「ドメイン」が変更される。今回はテンプレートも変更。

私はローンチ当初はこのプロジェクトに入っておらず、公開から約2か月後の8月下旬に
「新サイト(ayudante.asia)がほとんどインデックスされない」という連絡を同僚から受けてびっくりしました。SEO会社なのにサイト移行に失敗?!と(笑。

実際、公開から約2か月経過しているにもかかわらず、新ドメインのインデックス登録済みページ数はわずか2ページのみで、移行が適切に進んでいない状態でした。

ayudante.asiaの当時のインデックス登録済ページ数

なぜ失敗したのか?判明した5つの要因

当初移行がうまくいかなかった理由を列挙してみます。

  1. 不適切なリダイレクト
    ・JavaScriptリダイレクト
    ・かつ5秒待機後に遷移する仕様
  2. サーチコンソールのアドレス変更通知が未送信だった
  3. 有効な被リンクの張替えがされていなかった
  4. 新サイトにはSEO的な課題がいくつかあった
    ・パンくずがない
    ・ページネーションがない(LoadMore)
    ・title/descriptionが適切ではない
  5. 新サイト上の情報更新が不十分・問い合わせボタンの名称が旧会社名のまま
    ・メールアドレスが古いまま
    ・掲載されているLinkedInのURLも古いまま

リダイレクトの重要性

リダイレクトは非常に重要です。ここで失敗しているサイトを多数目にしてきました(今回私たちも失敗しましたが…)。

ローンチ当初はリダイレクトが「JavaScriptリダイレクト」かつ「ページを開いて5秒経ったらJavaScriptで移動」という謎の仕組みになっていました(ユーザーがボタンを押すと即時リダイレクト)。

恐らくJavaScriptリダイレクトだけであればGoogleも何とか認識してくれたと思うのですが、さらに5秒待たなければいけないという仕様がクローラーに対してよくなかったのだと思います。

当時の実装画面。移転したというポップアップが出ていた。このため5秒待ってリダイレクトがかかる仕様に。

リダイレクトは可能であればサーバーリダイレクト(301)がベスト、もしmetaリダイレクトやJavaScripリダイレクトを使うにしても必ず0秒で転送されるようにすることが重要です。
リダイレクトとGoogle検索より(https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/301-redirects?hl=ja)

実施したリカバリーSEO施策

リダイレクト含め、他の課題、アドレス変更通知の未送信や被リンク、情報の古さなどを考えると、新ドメインの信頼性がとても低く、でも旧ドメインのコンテンツがそのままコピーだけされているので、ミラーサイトのような認識になっているのかなとも推測しました。

このような課題に気づき、SEOエンジニアの西村さんとともに改善案を資料にまとめて制作会社へ依頼しました。制作会社はインドネシアの会社だったので、コミュニケーションも修正プロセスも紆余曲折あり(とても大変でした…)、制作コストは安くともこれだけ社内コストを使うのは結局どうなのだろうとも思いました(笑。

依頼した修正施策:

●旧ドメイン(sparkline.com)側

  • リダイレクト方式の修正
    JavaScriptリダイレクト→301サーバーサイドリダイレクト
  • 有力な被リンクの張替え依頼
  • サーチコンソールのアドレス変更通知の送信

例:リダイレクト修正指示

ちなみに最初はなぜか制作会社が1ページずつ手動でリダイレクト設定をしており、案の定間違えが多発していました。その後一括設定へ変更してもらいました。
(今回はwebflowというCMSでしたが一括ドメインリダイレクト機能や wildcard を使う方法もありました)

ドメイン移行でページパス部分が変わらない場合は通常サーバー側の設定でまとめて対応できるケースが多く、手動で設定するのは非効率、かつミスが起きやすいので推奨しません。
(例: .htaccess、ngixに数行のコードを入れて一括ルール設定)

例えば .htaccess による対応なら以下の行を追加すれば終了です。

RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^(www\.)?sparkline\.com$ [NC]
RewriteRule ^(.*)$ https://ayudante.asia/$1 [R=301,L]
3:15

※CMSやホスティング環境の制約でサーバー設定が直接できない場合もありますが、可能な限り手動設定は避けて一括設定したほうが安全です。

●新ドメイン(Ayudante.asia)側の作業

  • テンプレートのSEO課題の修正
  • アユダンテの日本サイト、英語サイトからのリンク設置
  • 古い情報の更新

同じCMSを使って移行しても、テンプレートを変更するとSEO要素が大きく変わることもありますので注意が必要です。

例:新サイトにはパンくずがなかったので設置依頼

例:一覧ページのLoad Moreからページネーションへの変更

リカバリー施策後の経過

諸々修正してもらって、以下のような経過をたどりました。

6/11   サイト公開、JavaScriptリダイレクト開始
8/25   新サイトは2ページしかインデックスされず
8/28   サーバーリダイレクトに変更 ※トップまだJavaScriptリダイレクト
9/2    トップ301リダイレクトに、サチコアドレス変更通知送信
9/9    インデックス数 34ページに
9/10   インデックス数 73ページに
9/19   新サイトの内部施策の修正完了
11/27  新サイトのtitle・description最適化完了

インデックス数が無事に増えて安定し、クリック数は大きくは伸びてはいませんが表示回数が増加し、徐々に評価されてきていることを感じます。

現在は安定してインデックス数80ページ程度

クリック数はそこまで増えていないが表示回数が増えている

追加で起きたトラブル 旧ドメインの閉鎖に注意

実はその後12月に旧ドメインが突然閉鎖されるトラブルも発生しました
(Webflow側の旧ドメインの契約切れでした)。

ドメイン移行では、旧ドメインの維持期間が短すぎると、以下の問題が起きます。

  • リダイレクトが機能しなくなる
  • 旧ドメインのサーチコンソールも閲覧できなくなる
  • 旧サイトの評価継承が不安定になる可能性がある

リダイレクトは最低180日間、できれば1年はしたいところなので制作会社に頼んで戻してもらいました。

ちなみに生成AIの各種クローラーもリダイレクトを追いますがGoogleのようにインデックスという概念がありません。リダイレクトが機能しなくなると古いURLから新しいURLへクロールできなくなります。

そのためリダイレクトは可能な限り長く設定することをおすすめします。
(もちろんURLは変えないのがベストです!)

まとめ:リニューアルを成功させるためには

今回のAyudante APACの事例では、シンプルなドメイン移行だったにもかかわらず、やるべきことを適切にやらなかったことにより新サイトのインデックスが進まない状態になりました。

このような小規模なコーポレートサイトでも様々な課題に直面する可能性があることを改めて実感しました。

今回はドメイン移行なのでまだやるべき作業は少なかったのですが、これがURLもサイト構造も全てかわるような大規模リニューアルの場合、もっとリスクは大きいです。

これからリニューアルをされる方はぜひ以下のSEO要件を開発の要件定義に含めてもらってください。

リニューアル時の必須のSEO項目

  • 旧サイトのURLの洗い出しと移行有無の決定
  • 旧URL→新URLの対応表(リダイレクトマップ)
  • 301リダイレクト方式の指定(サーバーサイド)
  • リダイレクトテスト計画(テストサーバーでも)
  • サーチコンソールの設定・アドレス変更通知
  • XMLサイトマップの更新(新旧送信)
  • robots.txtの見直し
  • 新サイトのSEO要件の最適化
  • 各種情報やコンテンツの精査、アップデート
  • 旧ドメインの維持期間
  • 公開後のモニタリング(インデックス数、表示回数、クリック数、順位、クロール状況等)

アユダンテでは、今回のようなテクニカルな支援から、大規模なドメイン統合まで、多数のリニューアル支援実績があります。

事例紹介

株式会社NTTドコモ dポイントクラブ様
ドメイン統合&Googleインデックス削除による流入減を解決した事例
※大規模ドメイン統合プロジェクトのテクニカル支援。ドメイン統合によりキーワードのカニバリも発生、別事象で発生したGoogleのインデックス削除などにも対応。

株式会社 レック様
サイトリニューアル+コンテンツ施策で全体を最適化!ユーザー体験を意識したSEOでオーガニック経由のコンバージョンが1.7倍になった事例
※SEOを目的としたサイト全体のリニューアル。設計からしっかりSEOを意識してリニューアルすれば下落ではなく流入増やコンバージョン増も見込める。

「リニューアル後に流入が落ちて困っている」「失敗できない移行プロジェクトを控えている」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。