テンプレートタグ vs カスタムHTMLタグ:GTMでマーケターが気をつけるべきこと
2025年10月10日
ライター:Jose Uzcategui

Google マーケティング プラットフォーム(Google Analytics、Google広告、DV360など)を利用しているマーケターにとって、Google タグマネージャー(GTM)は「便利なツール」を超えて、今やデジタルマーケティングの基盤そのものの一部になっています。

ただし、GTMで使うタグはすべて同じではありません。マーケターはよく テンプレートタグカスタムHTMLタグ のどちらを使うか選ぶことになります。ぱっと見は単なる技術的な違いに思えますが、実際にはコードの安定性、サイトのパフォーマンス、データの正確性、セキュリティに影響を与える重要な選択です。

なぜテンプレートタグが大事なのか

GTMのテンプレートタグ(ビルトインやコミュニティテンプレートギャラリーのもの)は、安全策が組み込まれた設計になっています。速く実行でき、管理しやすく、GTMが中身を把握している分、セキュリティ面でも安心です。

  • ビルトインテンプレート:GTMにしっかり統合されているため、速くて安全で公式サポートあり。
  • サードパーティテンプレート:サンドボックス内で実行され、危険な関数は排除されます。一見制限に見えますが、その分セキュリティと安定性を担保してくれます。

テンプレートを使うということは、ただ作業を効率化するだけではありません。サイトを壊したり、計測バグを生んだり、データのセキュリティを危険にさらすリスクを減らす ことにつながります。

Googleが公式にサポートしているテンプレートの一覧はこちらのサポートページで確認できます。

カスタムHTMLの誘惑

カスタムHTMLタグはまさに「ワイルドカード」です。コピー&ペーストしたコードをほぼ自由に実行できます。公式テンプレートが用意されていない場合には便利に感じるかもしれませんが、その自由さには代償があります。

  • コード破損リスク:書き換え漏れや不要な改行、チャットツール・Excelなどを経由した共有による記号欠損などで、コードが正しく動作しなくなる可能性があります。
  • パフォーマンス:カスタムHTMLは複雑さを伴い、その結果パフォーマンスに影響を与えるケースもあります。経験豊富な開発者であればテンプレートタグよりカスタムHTMLを使うべき場面を判断できますが、多くのマーケターにとってはテンプレートタグを選んだ方が安全で、予期せぬパフォーマンス問題を回避できます。
  • セキュリティリスク:ガードレールがないため、脆弱なコードや悪意あるコードを意図せず含めてしまう可能性があります。

つまり、カスタムHTMLを使うたびに、ある程度の技術的な負債を背負うことになります。正しく理解して使う場合や、明確な手順に沿って実装する場合を除けば、長期的にはあまり望ましい選択とは言えません。

日本のマーケターにとっての意味

日本のマーケターも、幅広いテンプレートタグを利用できます。Googleのビルトインタグは基本をカバーしていますし、コミュニティテンプレートギャラリーには 1,200以上の追加オプション が揃っています。Facebook、Yahoo! JAPAN、LinkedIn、Reddit なども含まれています。

とはいえ、懐疑的になるのも自然なことです。例えば;

  • 最初から出てくる警告文で、Googleは責任を負わないと明記しています。実際には「テンプレートが提供するサービスやアプリ」に関する注意ですが、それだけで不安を煽り、ためらいの原因になります。

このモヤモヤは確かに存在します。だからこそ、マーケターは 「とりあえず動けばいい」から「安全に、効率的に、持続的に動くように」 へと意識をシフトする必要があります。

戦略的なまとめ

タグは単なるコードの断片ではありません。マーケティング基盤を支える配管 のようなものです。タグの選択を誤れば、データが狂い、セキュリティが弱まるリスクにつながります。

だからこそ、基本スタンスはシンプルです。

ポイント: まずは Google製品用などの公式テンプレートを使いましょう。公式がない場合は、信頼できるサードパーティ製テンプレートを選びます。それもなければ、カスタムHTMLを慎重に利用してください。

この姿勢を徹底することで:

  • 実装リスクを減らせる
  • サイトパフォーマンスを改善できる
  • 長期的に安定したマーケティング基盤を作れる

結論:テンプレートを選ぶことは、単なる技術的な判断ではなく、戦略的な選択 なのです。

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この記事を書いた人
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Jose Uzcategui
デジタル広告&アナリティクスコンサルタント
(グローバル)
ベネズエラで育ち、高等教育のためにカナダへ移住し、北米と日本でプロフェッショナルキャリアを築いてきました。現在はアユダンテに所属し、デジタル広告とマーケティングアナリティクスを専門としています。データアーキテクチャ、測定、クラウド技術のバックグラウンドを活かし、グローバルクライアントの広告パフォーマンスと戦略の最適化を支援しています。専門分野はGoogle Marketing Platform、アトリビューションモデリング、フルファネルアナリティクスです。趣味はスカッシュと料理。日本語、スペイン語、英語、そして日本の春が好きです。
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