
GA4でデジタルマーケティングキャンペーンのパフォーマンスを理解するのはなかなか難しいもの。マーケターは忙しいので、ついつい同じレポートばかりに頼ってしまい、それが時間と共にマンネリ化することもあります。
GA4では有益なレポートが次々と提供されていますが、どれに注目すればよいかを見極めるのは簡単ではありません。
本記事では、マーケターなら押さえておきたいGA4のレポートを5つ紹介します。それぞれの状況により違いはありますが、どのビジネスにも共通して役立つレポートだと感じています。
この記事のポイント
- 獲得: トラフィック獲得レポート
- エンゲージメント: ランディングページレポート
- Search Consoleレポート
- ユーザー: オーディエンスレポート
- アトリビューション: アトリビューションパス
- 最後に
1. 獲得: トラフィック獲得レポート
GA4で最もよく使われるレポートのひとつがトラフィック獲得レポートです。「ライフサイクル」→「獲得」セクションにあり、セッションレベルのパフォーマンスを把握できます。デフォルトでも重要な指標やディメンションが用意されており、初心者にも最適なレポートです。

マーケティングで特に重要なディメンションは「チャネル」「メディア」「ソース」「キャンペーン」です。これらはすべてデフォルトで確認可能で、自社の戦略に合わせて分析方法を変えることができます。
また、GA4の設定に慣れている方は、指標やディメンションをカスタマイズすることで、より自分に合ったレポートに仕上げることができます。特にデフォルトチャネルグループの仕組みを理解し、自社用のカスタムチャネルグループを作成するのがおすすめです。
2. エンゲージメント: ランディングページレポート
GA4のランディングページレポートは、以前のUniversal Analyticsほど人気があるとは言えませんが、マーケターにとっては相変わらず重要なレポートの一つです。

このレポートで自社の主要なランディングページのパフォーマンスを見ると、良い意味でも悪い意味でも「異常値」を発見することができます。時には期待以上の成果を出しているページが見つかり、成功している要素をさらに強化できるチャンスになります。一方で、妙にパフォーマンスが低いページがあれば、それは戦略自体や計測設定に問題があるサインかもしれません。
特にA/Bテストをやっている人にとっては、このレポートは欠かせないインサイト源になります。

ランディングページのパフォーマンス評価にはいろいろなフレームワークがありますが、それはまた別の記事で紹介します。とはいえ、特別なフレームワークがなくても、ページのコピー、CTAの文言やデザイン、レイアウトやカラーなど、主要な要素をシンプルに評価することもできます。それから、トラッキングの問題には要注意です。意外に多く見られるからです。
また、GA4はイベントベースで動いているので、このレポートが少し「ノイズが多い」と感じたり、信頼しにくいと感じたりするかもしれません。特に「(not set)」という表示に悩まされるユーザーは多いです。これは主にsession_startイベントのタイミングがずれていたり、設定が間違っていたり、またはプライバシーや同意設定の影響を受けてしまったりすることが原因です。
3. Search Console レポート
多くの組織がこのレポートを見逃してしまうのは、単純にデフォルトでは使えないからです。Google Search ConsoleとGA4を連携させる必要があります。ただ、一度設定してしまえば、オーガニック検索でユーザーが自社のサイトをどうやって見つけているのか、貴重な情報をたくさん得ることができます。

このレポートは、マーケターにとって特に以下のような使い方ができます:
- ユーザーがサイトに訪れる理由を知る
Google Search Consoleは、ユーザーが実際に入力している検索キーワードを教えてくれます。これを分析すれば、ユーザーが積極的に求めているコンテンツや広告戦略をより的確に調整できます。 - トラフィックは多いもののエンゲージメントが低いページを特定する
人気のある検索キーワードで訪問数が多いのに、すぐ離脱してしまうページがあるとしたら、それはユーザー体験の改善が必要なサインです。そのページを最適化すれば、訪問者の関心をより効果的に引き留めることができます。 - 新しいコンテンツのアイデアを見つける
オーガニック検索で使われているキーワードから、新しいコンテンツやブログ記事、SEOの改善点などのアイデアが見つかります。これにより、サイトのリーチをさらに広げることができます。 - SEOに関する深いインサイトを得る
獲得レポートでもオーガニックトラフィックは確認できますが、Search Consoleセクションのオーガニック検索トラフィックレポートはさらに詳細な情報を提供します。GA4とSearch Consoleのデータを組み合わせて、オーガニック検索のクリック数や表示回数、平均掲載順位など、SEOに関する重要な指標が確認できます。
こうした貴重なインサイトを得るためにも、ぜひGA4とGoogle Search Consoleを連携させましょう。簡単な設定ですが、オーガニック検索の戦略を飛躍的に向上させる可能性があります。
4. ユーザー: オーディエンスレポート
GA4でオーディエンスを作成できることをご存じですか?分析やインサイトに活用したり、そのままGoogle広告にエクスポートしたりもできます。

このオーディエンスレポートは、ユーザー自身の設定や工夫によって大きな効果を発揮するところがポイントです。Google広告の目標設定やGA4の主要イベントを決めるときと同じように、「どのユーザーグループをトラッキングしてアクションにつなげたいか」をよく考えることが重要になります。
オーディエンスの作成は、まずは昔ながらのやり方――ブレインストーミングや過去の経験、定期的な分析を通して行うのが最もシンプルで効果的です。難しく考える必要はありません。例えば、Google Merchandise StoreのGA4プロパティには「サンフランシスコのユーザー」という、手動で設定されたシンプルなオーディエンスが実際に存在します。
eコマースでGA4を活用している場合は、機械学習による予測オーディエンスもかなり便利です。GA4が自動で「7日以内に購入する可能性が高いユーザー」や「7日以内に離脱する可能性が高いユーザー」などのオーディエンスを提案してくれます。まだ予測オーディエンスを試したことがない方は、Googleが分かりやすいドキュメントを公開していますので、ぜひチェックしてみてください!
5. アトリビューション: アトリビューションパス
多くのGoogleアナリティクスレポートは、「ラストクリックアトリビューション」という方法に基づいています。これはウェブ解析やアプリ解析では一般的なモデルで、ユーザーがサイトを訪問するきっかけとなった「最後のクリック」のみに成果のすべてが割り当てられます。使いやすく便利ですが、その前にあった大事なタッチポイントや貢献を見逃してしまう可能性もあります。

そこで役立つのが、GA4の「アトリビューション経路レポート」。このレポートを使うと、ユーザーがコンバージョンに至るまでにどんな経路をたどったのか、より広い視野で把握できます。
ラストクリックモデルでは、ユーザーがサイトを訪れる直前に使ったソースやメディアにすべての成果(訪問、イベント、コンバージョンなど)が与えられます。ただし、ユーザーの行動や意思決定に影響を与えた初期のインタラクションは無視されてしまいます。
GA4のアトリビューション経路レポートは、こうした様々なチャネルの役割を明確にしてくれます。特にコンバージョンに直接つながらなかったとしても、間接的に貢献しているチャネルを評価できるのが大きなメリットです。

オーガニック検索やソーシャル広告、メール、ディスプレイ広告などのファネル上部のチャネルは、ラストクリックのモデルでは十分評価されないことが多いですが、実際にはコンバージョンの促進に重要な役割を果たしています。このレポートをうまく使うことで、こういったチャネルの価値をしっかりと把握でき、より効果的なマーケティング戦略につなげられます。
6. 最後に
GA4はデジタルマーケティング施策の成果を知るための貴重な情報をたくさん与えてくれますが、重要なのは「どのレポートに注目するか」を理解しておくことです。今回紹介した5つのレポート(トラフィック獲得、ランディングページ、Search Console、オーディエンス、アトリビューション経路)は、マーケティングの成果を把握し、データに基づく意思決定を行うためのしっかりとした基盤になります。
これらのレポートをじっくりと確認し、自社のニーズに合わせてカスタマイズすることで、より深いインサイトを得られます。それにより戦略を改善し、マーケティングの結果を確実に向上させることができるでしょう。
GA4を使い始めたばかりの人も、さらに活用したい人も、この5つのレポートからスタートするのがベストな方法だと思います。

(グローバル)