マーケティングアジェンダ 2023@沖縄(読谷村)登壇レポート
2023年06月15日

2023年5月24日(水)~26日(金)に沖縄の読谷村で開催された国内最大規模のマーケティングカンファレンス「マーケティングアジェンダ2023」( https://marketingagenda.jp/okinawa/ )に参加し、「アパレルショッピングを変える!機械学習がもたらす顧客体験の進化~TSIホールディングスの取組み~」と題して株式会社TSIホールディングス様(以下、TSI様)と取り組んだ事例をメインステージで発表しました。

本記事では、弊社中村と藤田、益子がGoogleアナリティクス360を中心としたGoogleマーケティングプラットフォーム上で実現した、オンラインとオフラインを融合させ顧客体験の向上を図るマーケティング戦略「OMO戦略(Online Merges with Offline 戦略)」実現のためのデータプラットフォームと機械学習による成果創出について紹介させていただいた模様をレポートします。

  1. マーケティングアジェンダについて
  2. プレゼンテーション「アパレルショッピングを変える! 機械学習がもたらす顧客体験の進化 ~TSIホールディングスの取組み~」
  3. アパレル業界が考える”顧客体験の改革”
    1. 取り組んだことと成果
    2. プラットフォーム構築によりできるようになったこと
    3. アユダンテがサポートした点
  4. “機械学習”がもたらす2つの進化
    1. 取り組んだことと成果
    2. アユダンテがサポートした点
  5. 今後の展望
    1. 機械学習をさらに活用し他ブランドへの展開
    2. Google Analytics 4の活用
  6. まとめ

マーケティングアジェンダについて

マーケティングアジェンダは、国内最大規模のマーケティングカンファレンスで、毎年沖縄と東京で開催されています。
特に沖縄では、3泊4日で国内外のブランド企業のトップマーケターが350人以上参加し、取り組みの発表や課題解決に向けたディスカッションを通じネットワークを深めていきます。
昨年はコロナの影響もあり抗原検査や毎朝の検温などありましたが、今年はコロナも落ち着き、制限のない開催となりました。

写真:マーケティングアジェンダ会場入口

写真:マーケティングアジェンダ2023「アイデアの発見」

プレゼンテーション「アパレルショッピングを変える! 機械学習がもたらす顧客体験の進化 ~TSIホールディングスの取組み~」

弊社、中村と藤田、益子の3名より、クライアントであるTSI様との取り組みとして、オンラインとオフラインを融合させ顧客体験の向上を図るマーケティング戦略「OMO戦略(Online Merges with Offline 戦略)」実現のためのデータプラットフォーム構築と機械学習の導入による成果創出についての事例を発表させていただきました。

写真左:アユダンテ中村 中央:アユダンテ益子 右:アユダンテ藤田

マーケターやブランドの多くは、OMO戦略の重要性を理解し、取り組みを開始しているかと思いますが、具体的な施策を実施した事例はまだまだ多くありません。戦略から具体的な施策に落とし込み、成果創出までやりきった事例として説明させていただきました。

写真:アユダンテ益子

事例として発表させていただいたクライアントはTSI様です。
TSI様はナノ・ユニバース、NATURAL BEAUTY BASIC、JILL STUART、PING、PEARLY GATESなど、50強のブランドを有しているアパレル企業となります。

当初はご担当者様である竹山様とのトークセッションの予定でしたが、ご都合により事前収録による動画での参加となりました。

写真モニター内:動画でご出演いただいた㈱TSIの竹山様

テーマとしては2つ、「アパレル業界が考える”顧客体験の改革”」と「”機械学習”がもたらす2つの進化」について紹介しました。

「アパレル業界が考える”顧客体験の改革”」では、TSI様が全体戦略として掲げるOMO戦略について、Googleプロダクト(Googleアナリティクス360、BigQuery)を中心としたデータプラットフォームの構築の事例を紹介しました。

「”機械学習”がもたらす2つの進化」では、OMO戦略を具体的に施策まで落とし込み、成果創出まで実践した事例を紹介しました。

アパレル業界が考える”顧客体験の改革”

取り組んだことと成果

TSI様の全体戦略では、OMO戦略というものを掲げています。
TSI様はOMO戦略を「店舗とECを横断した様々なお客様の接点をデザインし直すこと」と定義されました。

コロナを含む時代変化の中で店舗は店舗、ECはECのみでブランドビジネスを展開するのは難しくなってきています。
店舗とECを融合させ、一体化したブランド体験の提供からお客様に良い体験を提供していきます。

MO戦略を実現するため、データプラットフォームを構築しました。

会員IDをキーとして、店舗のデータ、広告やwebサイト(EC)の情報を Google Cloud に統合

分析にはGoogleBigQuery Machine Learning(BQML、機械学習ツール)を利用し、データ活用・施策にもGoogle広告等のGoogleプロダクトを利用することにより、大規模な開発等を必要とせずに実現しました。特に Google CloudとGoogleアナリティクス360は非常に親和性が高いため、実現へのハードルが下がりました。

プラットフォーム構築によりできるようになったこと

これにより、店舗とwebサイト(EC)の垣根を超えた施策を、「大規模開発をせず」「低コストで」「高速に」実施することができ、実際の成果創出までつなげることができるようになりました。

また、これをTSI様の社内で内製化することにより、施策から検証、また施策へのサイクルを高速で行うことができました。

アユダンテがサポートした点

アユダンテは、webサイト(EC)での計測設計、設定、実装サポートをGoogleアナリティクス360とBigQuery連携を中心に行いました。

50強のブランドを保有されているため、サイトごとに要件を定め、データの取得を進めていきました。

また、店舗のデータ等を整形し使えるデータにしていく処理や、BigQueryやSQLのトレーニングなどでもサポートさせていただきました。

“機械学習”がもたらす2つの進化

取り組んだことと成果

OMO戦略を具体施策に落とし込むため、機械学習を分析に利用し、広告活用とサイト内改善に利用しました。

広告活用として、は3ステップです。

①ファーストステップとして、まずは構築したデータプラットフォームにて、統合したデータを利用し購入確率の高いユーザーを分析しターゲット配信。これにより200%以上の成果が出ました。

②セカンドステップとして、Google BigQuery Machine Learning(BQML、機械学習ツール)を利用し、分析を効率化。これによりさらに120%近い成果を創出。

③サードステップとしては、購入確率の高いユーザー分析に加え、広告の内容であるクリエイティブの組み合わせにも機械学習を利用することで、より精度が高まり、さらに150%以上の成果がでました。

サイト内改善としては、おすすめ商品への機械学習の活用です。

Google Recommendations AI というGoogleのサービスによって、データプラットフォームに統合された店舗とwebサイト(EC)のデータを活用し、すでに買った商品や買ったものと似た商品を出さないだけでなく、リアルタイムのWeb閲覧情報を活用し、おすすめ商品を最適化表示することで、売上目標150%を達成しました。

アユダンテがサポートした点

これらの分析を行う上で、店舗や広告、webサイト(EC)のデータも含めてすべてのデータを広告主が自由に利用できる環境づくりが最も重要であり、その環境を構築するサポートができたこと、また、Googleアナリティクス360とGoogle BigQuery(SQL)をサポートできたことが重要なポイントでした。

今後の展望

機械学習をさらに活用し他ブランドへ展開

今後の展開として、今回の事例を拡張していくことが重要と考えています。

機械学習の習得から内製化含めて社内の知見蓄積や体制などが整いました。

今後は様々な施策に活用できるよう展開していき、さらに、他の未実施ブランドへ展開していく必要があります。

Google Analytics 4の活用

また、これから必須となるのがGA4の活用です。

GA4は施策を評価する仕組みが秀逸です。顧客体験の価値を数値化し評価することができます。

さらに、その評価した結果から複雑な条件のコンバージョンやイベントを柔軟に設定できる機能の「オーディエンストリガー」を用いて広告活用にも展開可能です。

ECにおいては、GA4が持つ機械学習機能である予測モデルを用いて購買に繋がるオーディエンスを導き、広告を最適化するための施策も弊社からご提案を検討しています。

また、モバイルアプリ計測も想定されます。

GA4はアプリとウェブの消費者動向を一気通貫で見ることができるため、消費者の行動データを一つにまとめることで更なる評価、判断、仮説などができるようになり、戦略面において幅が広くなります。

写真:アユダンテ中村

写真:アユダンテ藤田

まとめ

今回アユダンテが登壇したマーケティングアジェンダ2023では、クライアントであるTSI様との取り組みとして、OMO戦略実現のためのデータプラットフォームと機械学習による成果創出について紹介させていただきました。

登壇後には多くのブランド企業の方、パートナー企業の方から非常に多くのお声がけいただき関心の高さを実感しました。

データプラットフォームの活用を検討されている、また活用中の企業様やマーケターの方から、今回の事例に大変興味を持っていただきました。

今回の取組みの反響を実感するとともに、Googleプラットフォームの有用性やGA4への期待について認識を強めていただくことができたと感じました。

弊社では、Googleマーケティングプラットフォーム や Google Cloud によるデータプラットフォームの構築やGA4導入活用の実績が多数あり、各種サービスを用意し提供しておりますので是非お問い合わせをいただければと思います。

<Google マーケティングプラットフォームとアユダンテについて>
https://marketing.ayudante.jp/
https://ayudante.jp/products/ga360/