新アナリティクス360料金体系(GA4有料版)& BigQuery Export アップデート(2022年1月時現在)
2022年01月25日
ライター:山浦 直宏

2022年にローンチが予定されているGA4有料版のアップデート情報をお届けします。

今回は、有料版(新アナリティクス360)の料金体系で明らかになった部分があるのでその情報(金額そのものの発表は未だです)と、無料版でも可能なBigQuery Exportの有料版との違いについて解説します。

■Google アナリティクス 4 プロパティ対応 360 の料金体系

2022年にローンチが予定されているGoogle アナリティクス4プロパティ(以下、GA4)新料金体系の情報が、Googleマーケティングプラットフォームのヘルプサイトに記載されましたので、解説します。

現Google アナリティクス360(ユニバーサルアナリティクス)の料金体系

現在のGA360有料版の料金体系は以下の様になっています。

  • 月間ヒット数に応じて設定されたテーブル(Tier)ごとに月額利用料金が設定
  • 最低ランクのTierは月間5億ヒットまで。(それ以上も段階ごとに設定されている)
  • 契約時点で選択したTierに応じた料金での年間契約(Tierは年間固定)
  • Tierに設定されたヒット数を超えた場合は、超過料金が発生

ポイントとしては、最低のテーブルでも5億ヒットまでカバーされてしまうという事と、料金は年間固定であるという点です。

筆者の個人的な感覚としては、日本市場において月間5億ヒットが最低のテーブルであるということは少しハードルが高いかなという印象を持っていました。

新アナリティクス360(GA4有料版)の料金体系

上記で紹介したヘルプサイトによれば、GA4有料版の料金体系は以下のようになります。

GA4 プロパティ対応アナリティクス 360 では、固定基本料金(2,500 万件までの月別イベント)と、イベント数(2,500 万件の月別イベントから超過した分をカウント)に応じたイベントごとの変動料金が適用

イベント数に応じた変動料金はボリューム階層ごとに設定され、月間ボリュームが多いほどイベントあたりの費用が低くなる
※カウントの単位が従来の「ヒット」から「イベント」に変更されていますが、意味合いとしては従来と同じ(所謂“ビーコン”がGAに送信された回数)という理解で問題ありません。

ポイントとしては、以下の3点になります。

  1. 月間2500万イベントまでは固定料金
  2. 月間2500万イベントを超過した分については、その超過分に応じた課金テーブルが存在し月ごとの超過分に応じて課金される(例えば常時2500万イベント超の規模のサイトは月ごとの変動料金になる)
  3. 超過分のテーブルに応じた課金額は、上位に行くほど低くなる(イベント数が増えるごとに料金上昇カーブはなだらか)

あくまで、ヘルプ文章から読み取れる範囲でのポイントとしては以下の2点になります。

  • 最低課金テーブルが月間5億ヒットから同2500万イベントへと大幅に引き下げられている
  • 年間固定料金(超過課金はあり)から月間実績に応じた変動料金制へ(月間2500万イベント超の場合)

さらに、ここから読みとれる予想としては
最低課金額が大幅に引き下げられるのではないか
ということです。

従来の料金テーブルでは月間5億ヒットまでをカバーできる料金であったものが、月間2500万イベントまで引き下げられたということは、料金もそれに見合ったレベルまで大幅に引き下げられている可能性もある、と予測できます。

もし、そうだとすればこれまで少しハードルが高かったGoogle アナリティクス360も、新アナリティクス360(GA4有料版)においては、少しすそ野が広がる可能性があるかもしれません。

残念ながら、日本市場における金額の発表は2021年内には行われませんでしたが、引き続き公式の発表を待ちたいと思います。

※現在、Google アナリティクスマーケティングプラットフォーム製品をご契約の企業では、Google マーケティングプラットフォームログイン後のサイトからGA4プレビューモードで料金を見ることが可能ですが、このGA4 での利用状況のプレビュー モードで表示される料金は標準料金です。GA4 での利用状況のプレビューに表示される料金は契約上の料金ではありません。また、市場によって異なる場合があります。

■GA4のBigQuery Export 無料版と有料版の違いについて

GA4有料版の機能面については、ヘルプサイトにて一部無料版との比較表が公開されています。その中で、特に質問が多い「BigQuery Export」の違いについて解説します。

ヘルプサイトによればBigQuery Exportは、

【無料版】
1 日のエクスポート: 100 万件のイベント
ストリーミング エクスポート: 無制限

【有料版】
1 日のエクスポート: 数十億件のイベント
ストリーミング エクスポート: 無制限

となっており、「1日のエクスポート」においては無料版と有料版のエクスポート可能件数に大きく差があり、有料版のメリットが見えやすいですが、「ストリーミングエクスポート」については両方とも無制限となっており、差が見えにくい表記になっています。

この点については、別のヘルプページで記載がありますので紹介します。

実は、ストリーミングエクスポートには以下の制限があります。

BigQuery のストリーミング エクスポートには、新規ユーザーについては次のユーザー アトリビューション データは含まれません。

traffic_source.name(レポート ディメンション: ユーザーのキャンペーン) traffic_source.source(レポート ディメンション: ユーザーの参照元) traffic_source.medium(レポート ディメンション: ユーザーのメディア) 既存ユーザーのユーザー アトリビューション データは含まれていますが、そのデータの処理が完了するまでには約 24 時間かかります。

このため、ユーザー アトリビューション データはストリーミング エクスポートに頼らず、1 日ごとの完全エクスポートから取得することをおすすめします。 

ポイントは、以下の3点となります。

  • ストリーミングエクスポートには新規訪問ユーザーの「参照元/メディア/キャンペーン」は含まれない
  • これら参照元関連データを見たい場合は「1日のエクスポート」を利用する必要がある
  • 「1日のエクスポート」は有料版の方にメリットがある(大量のデータをエクスポートできる)

さらに別の記事において、
「BigQuery の日次エクスポートについても初めて SLA が導入されます。これにより、独自の分析も安心して行っていただけるようになります。」
と記載もあり、保証のある環境で生データの分析を行いたい場合は有料版の日次エクスポート一択となりそうです。

サイトへの新規訪問ユーザーの参照元情報は、最も必要な情報の1つですので、この機能差は有料版選択においては非常に大きいポイントと言えるでしょう。

今回のアップデート情報は以上になります。少しずつではありますが、GA4有料版についての情報が少しずつ明らかになってきています。アユダンテでは、引き続きGA4有料版のアップデート紹介と実データによる検証結果などもお伝えしていきます。

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https://ayudante.jp/contact-jp.htm

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この記事を書いた人
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山浦 直宏
COO
Google アナリティクス 360、Google マーケティングプラットフォーム活用を中心としたデジタルマーケティングコンサルタント。ネット広告の黎明期より一貫して、ネット広告、デジタルマーケティング畑を歩む。講師を務める「Google アナリティクスIQ講座」では資格取得者900名余を育成する一方で、立教大学(元非常勤講師)など複数の大学にて人材育成にも取り組む。講座・講演、業界誌やネットメディアなどでの執筆・寄稿多数。
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