「Google Marketing Livestream 2021」でついにGoogle アナリティクス4の360版についてアナウンス。現状わかっていることのまとめ。
2021年05月31日
ライター:山浦 直宏

日本時間の5月28日(金)午前0時から開催された「Google Marketing Livestream 2021」。Google アナリティクス4について紹介しているセッション「Get the Customer Insights You Need with Google Analytics」の中で有料版であるアナリティクス360(Google アナリティクス4の360版)についての言及がありました。また、すでに「アナリティクスヘルプ」ページの中で360版についてのページが公開されていますので、その情報も合わせて現時点で分かっている情報をまとめて解説したいと思います。

本セッションでは、Google アナリティクス4の新機能について、いくつか紹介がありました。その内容については以下の記事をご覧ください。

GoogleのGlobal Head of Analytics StrategyであるOliver Borm氏はアナリティクス360について「より複雑なチーム、組織構造や設定を必用とする大規模企業向け」と言っており、これは現行のアナリティクス360と同じ方向性であることが確認できます。

Oliver氏は本セッションの中ではまだ多くのことを語っていませんが、以下の3点について言及しています。

1. 高度なサポートとSLAが提供される。
2. ディスプレイ&ビデオ360、検索広告360、キャンペーンマネージャ360との統合
例えば、Google アナリティクス4のコンバージョンやオーディエンス(リスト)を使って検索広告360やディスプレイ&ビデオ360の入札やキャンペーン戦略に活用できる。
3. 今年の後半にリリース予定。現在アナリティクス360を利用している場合は、そのアカウントと一緒に利用できるのでデータを比較し、データを蓄積してから完全に切り替えることができる。

今回はまだ正式リリースではないため無料版と360版との詳細な違いについてはアナウンスがありませんでした。しかし、現時点での情報がすでにアナリティクスヘルプのページに記載がありますので、それを紹介します。

ヘルプページ には現時点で以下のような比較表が記載されています。

従来のユニバーサルアナリティクスの360版では、

  • 月間ヒット数上限(1000万ヒット→20億ヒット)
  • BigQueryエクスポートが可能
  • カスタムディメンションの数(20個→200個)
  • サンプリングの緩和(50万セッション→1億セッション)
  • データドリブン機能が利用可能
  • 旧ダブルクリック製品(DV360、検索広告360、キャンペーンマネージャ360など)との統合

あたりが、大きな違いでした。

Google アナリティクス4無料版では、すでにBigQueryエクスポートやデータドリブンアトリビューション、旧ダブルクリック製品との統合(レポートの統合のみ)は実現されているので、GA4の360版ではどのような違いがでるのか?興味を持たれている方も多いかと思います。
この表によれば、依然としてカスタムディメンション数にはその制限数に大きな差があり、計測データの拡張性は360版の方がかなり高い印象です。また、コンバージョン数に違いがあるのも注目しています。機械学習を活用する際に最も重要であるコンバージョンデータの制限については360版の方がかなり魅力的だと言えるでしょう。また、オーディエンスの作成数についても大規模キャンペーンとの連携を考えると、多くのシナリオを作成できる環境が提供されるのは重要なポイントだと思います。データ保持期間に大きな制限の差が見えるのも注目していい点だと思います。BiqQueryについての詳細記載がありませんがヘルプ記事中に「BigQueryエクスポートの上限」という文言もみえるので、エクスポートのデータ量あたりに何かしらの制限がかけられるものと予測しています。

全体としては、無料版Google アナリティクス4ではより多くの機能が盛り込まれているものの、はやりデータの拡張性や機械学習機能の十分な活用、そして今後重要になる1st Partyデータのキャンペーン活用の視点でかなり魅力的であり、SLAとサポートに基づく360版による運用は企業のデータ活用基盤としての安心感を提供してくれると思います。

最も気になる料金体系については、まだ発表がありません。個人的には、より多くの企業がこのデータ基盤を利用できる、よりすそ野が広がるような料金体系になることを期待しています。

上記の表を含め、現在わかっている内容はまだまだごく一部ですが、今年後半のリリースに向けて現在のGoogle アナリティクス4への移行の準備を進めていく必要があるということには変わりはなさそうです。

今後の発表を期待して待ちたいと思います。

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この記事を書いた人
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山浦 直宏
COO
Googleプラットフォーム活用を中心としたデジタルマーケティングコンサルタント。ネット広告黎明期より一貫してデジタルマーケティング畑を歩む。Googleアナリティクスの個人資格講座で合格者1200名余を育成する一方、立教大学など複数の大学や企業研修講師として人材育成も行う。書籍・講座・メディアでの執筆・寄稿多数。シンガポール国立大学MBA。
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