「Google Marketing Livestream 2021」で発表されたGoogle アナリティクス4のセッションについてのまとめ。
2021年05月31日
ライター:山浦 直宏

日本時間の5月28日(金)午前0時から開催された「Google Marketing Livestream 2021」の数あるセッションの中から、Google アナリティクス4について紹介しているセッション「Get the Customer Insights You Need with Google Analytics」について、その内容をご紹介します。

このイベントは、もともと「Google Marketing Live」として毎年5月にサンフランシスコで大規模に開催されていたGoogle広告を中心としたプロダクトのイベントです。コロナの影響で昨年は開催されず今年は2年ぶりにオンラインイベントとして開催されました。

関連記事:Google Marketing Live 2018 でわかったGoogle アナリティクス関連の進化まとめ ~ Google マーケティングプラットフォーム とは~
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キーノートセッションの他にいくつかのカテゴリごとに多くのセッションが組まれていますが、「Data and Measurement」カテゴリの中でGoogle アナリティクス4について紹介しているセッションが「Get the Customer Insights You Need with Google Analytics」になります。
タイトルは「Google Analytics」ですが、すでに正式にローンチしている「Google アナリティクス4 プロパティ」のことになります。

セッションは、GoogleのGlobal Head of Analytics StrategyであるOliver Borm氏の話から始まります。

Oliver氏は、「新しいCookieをはじめとする新しい業界規制の中でも最新の計測技術によってユーザーのプライバシーと信頼を守りながら、カスタマージャーニーを深く理解しマーケティングROIを向上させることができる」とし、新しいGoogle アナリティクスが「長期にわたる耐久性」を持ち「カスタマージャーニーの理解」「マーケティングROIの向上」に貢献することを強調しました。

Google アナリティクス4の事例をひとつ紹介した後、Google アナリティクス のProduct ManagerであるNeha Bansal氏にバトンが渡され、GA4のいくつかの新しい機能について紹介がありました。

1.Modeled behavior reporting
2.Advertising Workspace
3.Attribution in the Advertising Workspace
4.Data-Driven Attribution
5.Reporting Customization

以下、簡単に概要を紹介します。

1. Modeled behavior reporting

これは、ユーザー行動を機械学習によってモデル化したレポートが可能になる、ということです。

GoogleはすでにGoogle広告でmodeled conversions をリリースしていますが今回は同様のモデリング技術を使ってGoogle アナリティクスのレポートでこれを実現しています。このレポートによって、例えばCookieに同意していないユーザー行動のギャップを補うことが可能だと説明しています。

※この後、氏は「1st Partyデータを利用可能であればカスタマージャーニーをプライバシーセーフな識別子でつなげるための新しい方法を考えている」としながらも「詳細は近日シェアします。」として多くを語りませんでした。これは、おそらく「拡張コンバージョン」のことを指していると推察していますが、ほかのセッション「Measurement in a Changing Ecosystem」の中で拡張コンバージョンの事例について言及がされているので、すでにある程度の実装段階にあると考えられます。

2. Advertising Workspace

これは、キャンペーン毎のパフォーマンスをひと目で確認できる“ダッシュボード”のようなもので、広告主のキャンペーンレポーティングの負荷を大幅に軽減できる、としています。

これまでのGoogle アナリティクスでは、1つのキャンペーンであっても「集客」「コンバージョン」「アトリビューション」など、個別のレポートで確認する必要がありましたが、このAdvertising Workspace によってレポート作成の時間を短縮し重要な洞察を得ることに多くの時間を使うことができる、としています。

3. Attribution in the Advertising Workspace

これは、文字通りアトリビューションレポートが前に説明したAdvertising Workspaceにも盛り込まれるということです。

ユニバーサルアナリティクスのマルチチャネルでアトリビューションレポートに馴染みのある人には別段新しいレポートではありませんが、Conversion Paths レポートでは流入チャネル毎にコンバージョンクレジットが表示されるなどの新しい工夫は盛り込まれているようです。

(Conversion Paths :コンバージョンパスレポート)

(Model Comparison :モデル比較レポート)

4. Data-Driven Attribution

引き続きアトリビューションについてですが、Data-Driven Attributionが反映されることもアナウンスされました。ユニバーサルアナリティクスでは360版(有料版)のみの機能でしたがGoogle アナリティクス 4では標準機能として搭載されるようです。機械学習に適合したデータ計測、集計基盤となったGA4においては当然の流れと言えるでしょう。

5. Reporting Customization

これは、管理権限のユーザーのみが使用できる機能で、氏によれば「組織を代表してAnalyticsのレポートをカスタマイズすることができる」ということです。

つまり、特定の組織やプロジェクトに必用なレポートをカスタマイズして作成できダッシュボードのようにメンバーに共有することができる機能ということです。組織やプロジェクトのメンバーは、ここを見るだけで関連レポートを確認することができるわけです。

また、「将来的にはパーソナライズされたホームページを作成することができ、お客様とお客様のチームがデータの中から探しているものを簡単かつ迅速に見つけることができます。」とも言っており、シンプルになったデータ計測基盤の上で、より利用者ごとにカスタマイズされたレポートやダッシュボードが作成可能になるという方向性が見えてきます。

新機能の紹介は以上です。
最後に、有料版であるアナリティクス360についての簡単な紹介がありました。詳細な機能や料金についての発表はありませんでしたが、今年後半に発表ということです。
アナリティクス360については、別記事にてご紹介します。

まとめ

Google アナリティクス4は、クロスプラットフォーム(ウェブ&アプリ)はもちろんのこと、YouTube計測に対応したりBigQueryエクスポート機能を搭載するなど、今後ますます重要視される1stPartyデータの基本計測基盤として全く新しい思想で開発されているものです。ウェブ中心のマーケティングの時代の思想で開発され改良を重ねてきたユニバーサルアナリティクスの延長線上で理解しようとしていては、新しいGoogle アナリティクス4の全体理解には到底及びません。冒頭でも強調されていたようにウェブだけではない「カスタマージャーニーの理解」や「マーケティングROIの向上」というマーケターのニーズに適合するように生まれ変わっていると言えます。
今回の機能紹介も、そのような新Google アナリティクスの方向性を明確に印象付けるものであったと感じています。
今後も新しい機能が続々と登場予定のGoogle アナリティクス4に、大いに期待したいと思います。

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この記事を書いた人
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山浦 直宏
COO
Google アナリティクス 360、Google マーケティングプラットフォーム活用を中心としたデジタルマーケティングコンサルタント。ネット広告の黎明期より一貫して、ネット広告、デジタルマーケティング畑を歩む。講師を務める「Google アナリティクスIQ講座」では資格取得者900名余を育成する一方で、立教大学(元非常勤講師)など複数の大学にて人材育成にも取り組む。講座・講演、業界誌やネットメディアなどでの執筆・寄稿多数。
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