2018年10月10日(水)に宣伝会議セミナールームにてアユダンテ主催のセミナーが開催されました。定員を大幅に超える多くの参加申し込みをいただき、抽選の上でお越しいただいた多くの方で会場もほぼ満席状態となる中で、実際にGoogle アナリティクス 360を中心としたマーケティングプラットフォームを活用されている企業様のご講演とパネルディスカッションが行われました。本記事では、富士フイルム様とソフトバンク様のご講演の中で紹介されたGoogle アナリティクス360の活用事例についてご紹介いたします。
<セミナー概要>
「マーケティングのデジタル化を推進するデータドリブンマーケティングのカタチ」 https://www.sendenkaigi.com/event/data-marketing2018-10/ご講演内容
- 第1部:「富士フイルムのGoogleアナリティクス360の活用事例を中心としたデジタルの取組み」富士フイルム株式会社
e戦略推進室 Marketing Group統括 一色 昭典 様 - 第2部:「ソフトバンクのGoogle アナリティクス360のアトリビューション分析の取り組み」ソフトバンク株式会社コンシューマ事業統括プロダクト&マーケティング統括コミュニケーション本部 デジタルメディア統括部統括部長 藤平 大輔 様
第1部
富士フイルム(株)(以下、富士フイルム)の一色様からは「富士フイルムのGoogleアナリティクス360の活用事例を中心としたデジタルの取組み」のテーマの中で、実際に富士フイルム社内で取り組まれている「顧客データドリブンマーケティング」についてのお話をいただきました。
富士フイルム様がマーケティングの重要課題としている「アナログとデジタルの融合施策」の中で、これまで取り組まれてきたeメールとDM(リアルのDM)の融合施策についての詳細と成果事例のご紹介に続き、さらにDMでも到達できなかった層へのリテンション施策として、富士フイルム様がお持ちのCRMデータとGoogle アナリティクス360のデータを活用したディスプレイ広告キャンペーン施策とその成果についてのご紹介をいただきました。富士フイルム直販ECサービス『Fotonoma』(フォトノマ)の2017年の写真年賀状サービスのキャンペーンにおいて、過去2年分の会員様データをLTV分析にかけ、その結果とGoogle アナリティクス360で計測した行動データを掛け合わせることによって、マーケティング課題に対して有効なアプローチが可能なユーザーリストが作成できる、という仮説に基づきキャンペーンを展開しました。
その結果として、通常のGoogle アナリティクスの行動データだけから作成したリマーケティングリストのキャンペーンに比べて、今回のLTV分析結果を利用したキャンペーンの方がCVRで最大21.3倍に改善した、という非常に大きな成果についてご紹介いただきました。
ご講演の中で一色様は、今回の年賀状キャンペーンについて、 「アクイジションフェーズとリテンションフェーズをデータで繋いだ最適なリテンション施策を可能にました。」と、取組みの内容について評価され、 「LTV顧客分析による価値創造はかなり重要になる。これをベースに他の施策もデータドリブンへの舵を切って行く予定だ。」と、今後の展開にも意欲を見せておられました。 さらに、データドリブンの取り組みを進めるにあたって体制面の重要なポイントについては、 「広告代理店はインハウス化し内製化を進めている。テクノロジーについては、マーケティング課題をしっかりと理解し並走してくれるパートナーと組むことが重要だ。」と、今回のアユダンテとの取り組みについてもご評価をいただきました。
第2部
ソフトバンク株式会社(以下、ソフトバンク)の藤平様からは「ソフトバンクのGoogle アナリティクス360のアトリビューション分析の取り組み」のテーマの中で、今年の春に行われた「2018年ソフトバンク学割キャンペーン」での動画コンテンツを使った来店促進の取り組みについてのお話をいただきました。
2018年のソフトバンク学割キャンペーンでは、テレビCMを中心に学割キャンペーンとその料金訴求を行い、純粋想起やCM好感度での効果を上げることを目標に展開されました。さらに、ネット上のプロモーションはソフトバンクショップへの来店を目的に、より「学割の料金」に対する興味関心を喚起するような「動画コンテンツ」を中心に展開されました。 このようなテレビCMとネットプロモーションを組み合わせた展開の狙いについて、藤平様は、 「テレビCMによる訴求は、純粋想起や好感度アップの効果に非常に有効だと考えているが、15秒や30秒といった非常に限られた時間でサービス内容や料金を訴求し、理解させるにはやはり限界がある。そこで、ネットでは動画コンテンツを用いて理解促進のためのプロモーションを行っている。テレビCMがあるからネットプロモーションも活きてくる、というのがとても重要だ。」と、述べられました。 動画コンテンツを活用したプロモーションの効果測定についても話が及び、ネットとリアル(店頭来店)を繋いだ効果計測ではWi-Fiを使った独自の方法で来店計測を行っている取り組みを紹介いただきました。それにより、最終的なKGIに対するKPI(来店CV数)を可視化し、そこからの逆引き分析(Google アナリティクスのアトリビューション分析)によって、チャネルとコンテンツの組み合わせがどのようにコンバージョンに貢献したのかが分かり予算のアロケーションに活用することが出来るようになった、とGoogle アナリティクスによるアトリビューション分析の取り組みについてもご紹介いただきました。
今回の取り組み全般については、藤平様の部署(広告のご担当部署)やツール(Google アナリティクス、ほか)の運用担当部署など社内の関係部署との連携も重要なポイントでしたがその点についても藤平様からは、 「プロモーション実施から計測、分析に至るまでにいろんな社内部署を横断して調整が必要なことが多くあったが、(計測環境構築や分析支援だけでなく)アユダンテがそういう調整事も含めてサポートしてくれたことによってスムースに実施することができた。」と、弊社のサポートについてもご評価をいただきました。 動画キャンペーンのアトリビューション分析の結果としては、動画広告非接触者に対して動画広告接触者の方のCV獲得効率が最大で130%アップしたという事がわかり、更なる要因分析を行っていくための貴重な結果がえられた、と述べられました。
今回の学割キャンペーンの実施から計測、分析に至るまでの取り組みは、最新のスマホ販売キャンペーンにも活かされており、今後の様々な商戦の取り組みにも活かしていきたいと考えている、と締めくくられました。
セミナーでは、引き続き第3部において弊社チーフエグゼクティブコンサルタントの山浦が、今年7月に新しいブランドそしてスタートした「Googleマーケティングプラットフォーム」の全体像についての講演を行いました。
続く第4部では、宣伝会議編集長の谷口優様をモデレータとしてお迎えし、本セミナー登壇者によるパネルディスカッションが行われました。 各社がデジタルマーケティングに取り組む中での課題や、どのように解決をしているのか?そのために重要なポイントは何か?などについて、業界や立場が異なる登壇者それぞれの目線での意見が飛び交い、非常に有意義な議論が活発に行われました。