【事例】機械学習しやすいアカウント構造に改修してみたらこうなった~なる早で取り組みたいアカウント構造改革のすすめ~

2018年04月27日
ライター:河野 芽久美

つい先日、Google PartnerのカンファレンスでAIと機械学習についての話を伺ってきました。

とても熱量が高く、AIと機械学習の現実など、とても興味深い話ばかり。

つい半年前、一年前、とはできる範囲や精度もなんて進化しているのだろうと、日々実感していることが目の前で語られており、「なんかスゴイ!」と、その道に精通していない私は感心につぐ感心な数時間を過ごしてきました。

「でも、待てよ」と。「私は何のためにこのカンファレンスに参加したんだっけ?」

原点に立ち返ると、凄まじい速さで改良を重ねているGoogle AdWordsを上手に回すための、「私の学習」に他ならないわけです。

であるならば、学習したことはキチンと実践しなければならない。

少し前にアカウント構造を機械学習しやすいように改修したものが、実際にどのように変化したのかを検証、分析したいと思います。

  1. 機械学習しやすいアカウント構造とは
  2. アカウントの前提
  3. 改修前のアカウント構造
  4. 改修後のアカウント構造
  5. コンサルタントが気をつけるべきこと

機械学習しやすいアカウント構造とは

2013年ころから、Googleはアカウント構造をシンプルにまとめることを推奨してきています。それはつまりAdWordsのアカウントを適切な構造にし、機械学習を上手に促進させられる土台をつくろう、ということに他ならないと感じています。

今までは、さまざまなコンサルタント、さまざまな運用者が、自分たちの成功体験を基に、試行錯誤を重ねながらアカウントを構築してきたと思います。
私自身も、数少ない運用型広告の本を読んだり、チームのメンバーの話を聞いたりしながら、 「お客様のアカウントをどのように育てるか?」「この方法でいいのか?」「別のアプローチがあるのでは?」などと考えながら運用を行っておりました。

よく言われるのは、マッチタイプ別のKWをグループで分けて1グループ:1KWで運用し、広告はABテストで良かった1本で運用。KW単位で細かく管理することで広告効果を上げることができた、とか。

しかし昨今、広告の自動化をいち早く実現するためには、「いかに機械学習が進みやすい環境を整えられるか」を検討せざるを得ず、そのためにもGoogleは、アカウント構造は「細かく分ける」のではなく「テーマ毎にまとめる」を推奨しています。

Google推奨のアカウント構造前後

データを集約させ、機械学習がスムーズに進められるボリュームある基盤を作り、細かなことはAIに任せて、運用者は別の視点でお客様のビジネスを伸ばすことを考える、これがGoogleの推奨する広告運用のあり方だと、私は解釈しています。

この解釈に基づき、アカウント構造の変更を行った事例の結果を共有します。

アカウントの前提

今回お取り組みをさせていただいた案件は、以下の内容が前提のお客様です。
4月から7月頃まで、比較的落ち着くとのお話でしたので、この時期にアカウントの改変を実施しました。

業種 EC
ジャンル 日用品
商品数 小規模
広告予算 通年で大きく変動あり

4月の広告予算は小額で、3月の30%程度。
時期によってご予算の変動幅が大きいことから、今まで手動で運用をしてきました。

しかしコンバージョン数は自動化に進められるくらい多いのでアカウント再構築をご提案し、実施に至った経緯があります。

商品カテゴリーは多くなく、商品ジャンルが明確なアカウントということもあり、アカウントの再構築にかかった時間は、過去の実績を調べるところから、新たな広告文作成、設定やKWなどの内容の確認(2回以上)を含めて1人/日(8時間)内で収まりました。

順調に動いているアカウントなだけに、非常に慎重に進めましたが、今までの経験をもとに、アカウント構築プランを先に固めておいたので、完了までスムーズに進行しました。

改修前のアカウント構造

アカウントを再構築する前は以下のような状況でした。

アカウント構築前

簡略化してしまったのでわかりづらいかもしれませんが、社名や商品ジャンルなどでキャンペーンを区別する形を成しています。
実際のキャンペーンは上記2つだけではなく、商品ブランド名だけを取り出したものも複数見受けられましたが、例として、現在動いているキャンペーンだけをピックアップしています。

グループ構成は、キーワードをマッチタイプで分けた結果、「グループ内に1つのキーワードしかないもの」「複合キーワードを検索語句から追加した結果、異なる複数のグループに似たキーワードが含まれる状態になっているもの」など、長い年月をかけて運用してきたアカウントの足跡みたいなものを感じます。

ただ、一つ言えることは、このアカウントは「悪い」わけではない、ということ。

お客様にご納得いただける結果はきちんと出し続けていて、お客様のビジネスに貢献してきた事実はあるので、問題ないといえば問題はないのかもしれません。

でも、このアカウントを渡された時、どのキーワードが、どのジャンルが、何が良くて、何がダメなのか、という部分が見えづらかったことは否めず、広告ランクも低い状態。
目標CPAなど自動化の導入に踏み切れる形ではなかったことから、タイミングの良い今、アカウントの再構成を提案、実施することになりました。

改修後のアカウント構造

ご予算とコンバージョン数、ROASを検討した結果から、コントロールしやすい、非常にシンプルな構成にアカウント構造を改修。
何かを劇的に変えた、というよりキュッとまとめたアカウント構造にしています。

アカウント構築後

今、アカウント構造を変えると、もれなく、貢献してくれていたであろう「標準テキスト」は失われてしまいます。

しかし、その分といっては何ですが「拡張テキスト広告」をGoogleの推奨である3~5本設定し、サイトリンクやコールアウト、価格表示オプションもグループ単位で設定しなおし、オークションに勝つためのより良い環境を作ることに集中できました。

その結果、

アカウント構築後のインプレッションシェア損失率の変動

見事なまでに、広告ランクによるインプレッションシェア損失率が減少しました。

他の指標等は、予算や強めたい商品などの変動、そして、設定の変更等もあるため割愛させていただきますが、著しく、悪くなった、良くなったということはありません。
そのうえでの明確な広告ランクによるインプレッションシェア損失率の向上。
アカウント再構築の成果の一つとして共有させていただきます。

コンサルタントが気をつけるべきこと

「じゃあ、このインプレッションシェア損失率が良くなったから、全てがうまくいくの?」と聞かれれば、答えは『NO』です。この指標だけが良くなったところでお客様のビジネス向上に直結することはありません。

ただ、アカウントを運用する上で大事なことの一つに、広告を表示するためのオークションに勝てる環境を作っていくことが上げられると思います。

それは、自動化を導入するケースでも、引き続き手動で細かく運用するケースでも、同じだと私は考えています。

その土台作りの一片として、機械学習しやすいアカウント構造、要するにGoogleが推奨するアカウント構造に改修しました。

ということは、これで完了、ではなく、スタートラインに立ったに過ぎないということです。

例えば予算が変えられないのなら、

  • ユーザーに起こしてもらいたいアクションに結びつく広告文を作成する
  • ビジネスに結びつかない検索語句や設定キーワードを徹底的に除外する
  • オーディエンスのパフォーマンスを把握する
  • レポートから目標設定を検討する

といった日々の運用がしやすい土台を作りは必要不可欠。手間ひまかかっても、実施する価値があることだと、私は考えます。

私が携わったアカウントは、2016年頃からGoogleが推奨している、機械学習しやすいアカウント構造にし、ほぼ全てのお客様のパフォーマンスを伸ばすことができています。

もちろん、現状が高パフォーマンスで動いているアカウントであればあるほど、手を加えたり、改修したりすることが怖いという気持ちはわかります。

痛いほどわかります。

しかし、いち早く環境を整えることが、中長期的に見てビジネスの成長につながることも、実感値としてありますので、検討を重ねた上で、ぜひトライしてみてください。

もしご興味をお持ちのお客さまがいらっしゃれば、弊社お問合せからぜひ御連絡くださいませ。

この記事を書いた人
河野 芽久美
河野 芽久美
シニアSEMコンサルタント

自動車雑誌のライター、課金コンテンツ制作を経て広告運用の道へ。お客様の広告運用やレポ―ティングだけでなく、チーム内部のファイナンスを含む業務効率化、職務環境改善にも取り組む。趣味は美味しいモノを食べること。