米Facebook個人情報流出問題の余波~Facebook広告で使えなくなった機能について
2018年04月18日
ライター:高瀬 順希

最近、話題になっている米Facebookの個人情報流出のニュース。この問題は広告運用者にとって対岸の火事ではありません。この問題を受けて、Facebookは個人情報保護強化のためにFacebook広告で一部機能に制限をかけると発表しています。
本記事では簡単な経緯とFacebook広告で使用できなくなった機能について解説していきます。

  1. 米Facebookでの情報流出問題の経緯
  2. 利用規約の変更におけるポイント
  3. Facebook広告で使用できなくなった機能
  4. 最後に

米Facebookでの情報流出問題の経緯

2018年3月17日に英データ分析会社であるケンブリッジ・アナリティカがフェイスブックから5,000万人の個人情報を集め、有権者の投票に影響を与えるソフトウェアを開発したと報道。それにより米国大統領選挙や英国のEU離脱に影響を与えたといわれており、Facebookへの批判が集中しました。

また、個人情報の保護が進んでいる欧州では、2018年5月25日にGDPR(一般データ保護規則)が施行されます。

その流れもあり、Facebookへの逆風が強く吹いている状況です。Facebookはこの問題を重く受け止め、今後の不正使用を防ぐため下記の対策を発表しました。

プラットフォーム不正使用によるFacebookでの今後の対策内容

  • プラットフォームの調査
  • データの不正使用による影響を受けた利用者への通知
  • 未使用のアプリケーションのアクセスをオフに
  • Facebookログインデータの制限
  • 利用者へアプリの設定・管理を奨励
  • セキュリティ脆弱性の発見・報告に報奨金制度の適用

参照:https://ja.newsroom.fb.com/news/2018/03/cracking-down-on-platform-abuse/

また、既に通知されていますが併せて利用規約の更新も行っています。

  • Facebookビジネスツール利用規約

参照:https://www.facebook.com/legal/terms/businesstools

  • カスタムオーディエンス利用規約

参照:https://www.facebook.com/legal/terms/customaudience

利用規約の変更におけるポイント

更新内容の中で、広告運用者が特に意識するポイントとしては下記3点です。

ポイント1
広告主は、個人データの使用について真剣にユーザーの苦情を受ける必要があり、Facebookから求められた場合、協力してその苦情や異議に対応する必要がある。

本ビジネスツール利用規約に基づく個人情報の使用に関して何らかの苦情や異議が申し立てられた場合、またはそのおそれがある場合、利用者は、弊社に対して速やかに書面で知らせたうえで、弊社に協力してその苦情や異議に対応するものとします。

(出典:Facebookビジネスツール利用規約 項目:1-5)

ポイント2
Facebook広告を使用して得られたデータ(レポートや分析結果)は、Facebookから許可を得ていない場合、第三者に公表することはできない。当然、販売もNG。

弊社は、測定用の匿名の集計データを内部の業務目的で使用する場合に限り、当該キャンペーンレポートおよび分析を使用できる非独占的かつ譲渡不可能のライセンスを利用者に付与します。当該キャンペーンレポートまたは分析は、たとえ一部であっても、第三者に開示することはできません。

(出典:Facebookビジネスツール利用規約 項目:2-2-2)

ポイント3
利用者が保有するサイト以外にFacebookピクセルを設置することはできない(マーケティングの戦略上、よく使われる)。

利用者(または利用者を代理するパートナー)は、弊社から書面による許可を得ることなく、利用者が所有する以外のウェブサイトのビジネスマネージャや広告アカウントと関連付けられたピクセルを設置することはできません。

(出典:Facebookビジネスツール利用規約 項目:3-1)

上記はFacebookビジネスツール利用規約からの引用となります。

また、上記の3つのポイントの内容はこちらにまとまっているのでチェックしてみて下さい。

これらの利用規約を読むだけでも、Facebook広告がGDPRの流れから個人情報保護に配慮した形で更新されている事がわかります。

これに伴い、Facebook広告の一部の機能が使えなくなっています。既に発表されたもの、まだ発表されていないものも含めて、ご紹介します。

Facebook広告で使用できなくなった機能

1.カスタムオーディエンス利用時の推定リーチ数

広告セットの設定画面で表示される推定リーチ数。カスタムオーディエンスを設定すると下記のような表示になっており、表示されなくなっています。

参照:https://marketingland.com/exclusive-facebook-will-no-longer-show-audience-reach-estimates-for-custom-audiences-after-vulnerability-detected-236923

カスタムオーディエンス利用時の推定リーチ数

2.パートナーカテゴリ

Facebookの外部のデータプロバイダーの情報を基に、詳細ターゲット設定で選択できるカテゴリー。当機能はいまのところ使用可能ですが、2018年10月頃までには使用できなくなると発表されています。

参照:https://newsroom.fb.com/news/h/shutting-down-partner-categories/

パートナーカテゴリ

3.オーディエンスインサイトの一部機能

オーディエンスインサイトでカスタムオーディエンスを設定した場合、「年齢と性別」や、「ページへのいいね」などが見られましたが、現在は詳細が見られなくなっています。これは筆者が気付いたものでFacebookのカスタマーサポートに確認済みです。

オーディエンスインサイトの一部機能

4.オーディエンスの重複

カスタムオーディエンス(1000人以上のリストでも同様)を選択しても下記の表示がされ重複率が表示されなくなっています。こちらも筆者が気付いたものでFacebookのカスタマーサポートに確認済みです。

参照:https://marketingland.com/exclusive-facebook-will-no-longer-show-audience-reach-estimates-for-custom-audiences-after-vulnerability-detected-236923

カスタムオーディエンス利用時の推定リーチ数

※他にFacebook広告で使用できなくなった機能

Facebookのカスタマーサポートに他にも修正がかかった機能がないか確認しましたが、検討中のものもあるが現段階では公表できないとの回答でした。

個人情報保護の観点によって今回のような修正が入ったことを考えると、カスタムオーディエンスに関連する機能は今後、使用できなくなる可能性があります(既に他にもあるかもしれません)。

最後に

米Facebookの個人情報流出のニュースは大きな影響を与えました。個人情報保護が強まることは利用者にとっては安心して使えるようになることを意味しているので、これは良い流れともいえます。
逆に、広告主にとっては広告運用の自由度が下がっていくことを意味する部分もあるため、今後のFacebookの対応が注目されます。今回の記事を書いていく中で気付いたのは、凄まじいスピード感をもって改善にあたるFacebookの姿勢です。
広告運用者としては、この逆風を乗り越えてさらなる進化を続けていくことに期待しています。また追加情報などがあれば弊社のコラムで追ってご紹介させていただきます。