A2iオンラインセミナー「セールスフォース・ドットコムのデジタルマーケティングの現場」登壇レポート

2020年12月21日
ライター:アユダンテ 株式会社

2020年12月3日(木)にアナリティクスアソシエーション主催で行われたオンラインセミナーで、セールスフォース・ドットコム マーケティング本部 オンライン広告マネージャーの
小貫純一郎様とともに弊社コンサルタントの高瀬順希が登壇し、セールスフォース・ドットコムのデジタルマーケティングの現場の取り組みについて共有しました。この模様をレポートします。

第一部:ワンチームで取り組むデジタルマーケティング

「第一部:ワンチームで取り組むデジタルマーケティング」では、セールスフォース小貫様より、社内と社外のパートナーの関係者が「ワンチーム」となり、メンバー全員が達成すべきKPIと方向性を共有した上でのデジタルマーケティングのプロジェクトを実行する取り組み方を共有いただきました。

これによりデジタルマーケティングのプロジェクトを円滑に進めることができるといいます。小貫様はこのワンチームでの取り組みを「内製・外注のいいとこどり」と述べ、以下の3つのメリットを挙げました。

1.外部の知見や技術を自社の資産にできる
2.優秀な人材を確保してリソース不足を解消できる
3.コミュニケーションに価値が生まれる

特に3については「熱量」の重要性が強調されました。1日中ミーティングルームにこもって一つのテーマについてディスカッションしたエピソードに触れ、自社もパートナーも同じ熱量で取り組むことによってシナジーが生まれると語りました。

続いてアユダンテ高瀬順希からは、2015年から現在にいたるセールスフォースとアユダンテの取り組みについて共有しました。アユダンテが本格的に広告運用に取り組む2015年以降、「Display広告メイン」「Facebook広告メイン」「動画広告メイン」と3つの広告媒体に注力してきたことを語りました。

ここでは、現在進行形で深く取り組む「動画広告」パートで語られた、印象的なエピソードを紹介します。
以前制作会社に動画制作をおまかせしていた頃は、簡易的な指示書で動画案が上がってきて、手直しが何度も入ってしまい、動画完成まで多くの時間と労力がかかっていたのだそうです。そして、ようやく出した広告もなかなか成果が上がりませんでした。

現在は、高瀬自身が絵コンテをきっちりと書き、カットごとにこの画像とこの文言が表示されて、BGM、エフェクト、ナレーションはこうしてくださいと、すべて指示して作っています。これにより動画制作前にフィードバックをもらえるので手戻りも少ないことが強いのだと言います。結果、動画広告の成果も大きく伸ばすことができました。

動画広告の成功のポイントは「動画制作に入る前の戦略設計」にあり、ふだん広告を出している人間が(戦略設計のパートである)絵コンテを切り、それを表現するパートを制作会社に担当いただくという棲み分けが理想的で、最も成果を出せると強調しました。

このエピソードが語られた際、小貫様は「パートナーとして、まかせられたこと(=広告運用)だけをやるのではなく、このように詳細な指示までやってくれるのはなかなかない」と述べました。ワンチームで取り組むことの強みがあらわれた好例だと言えそうです。

第二部:実践!業務に活かせる広告プロジェクトの基礎設計

第二部:実践!業務に活かせる広告プロジェクトの基礎設計では、もし「リードを生み出すために広告を出してください」と依頼されたとき、小貫様、高瀬さんは何をどう進めるのか。プロジェクト進行の流れを実戦形式で解説いただきました。
このなかで広告プロジェクトは大きく「ヒアリング」「戦略構築」「実行」「振り返り」に分かれています。図示するとこうなります。

1.ヒアリングのパートでは、プランニングシートを使って施策の5W1Hを見える化します。目的やKPI、予算、対象とするターゲットの状況、見せるコンテンツ、クリエイティブの訴求ポイントまでを記述します。これにより担当者間の認識のズレをなくし、手戻りの発生を少なくすることができます。依頼者であるオウナーの設定するKPIの妥当性を過去実績から検証し、現実的なKPIを合意した上で進めることが重要です。
同時に、関係者のスケジュールを設定します。プロジェクトをスムーズに進行させるために活用している、セールスフォースが提供するリアルタイムコミュニケーションツールQuipを紹介いただきました。

2.戦略構築のパートは大きく事前調査とクリエイティブ作成に分けられます。
事前調査のうち自社調査では、ホワイトペーパーやランディングページを読み込んで、広告のコピーに活かせるポイントをピックアップします。
ターゲットとなるユーザーにホワイトペーパーを読みたいと思ってもらう、つまり価値を感じていただけるように価値を設計するために、ホワイトペーパーを読み込む際に抽出するポイントの例を共有しました。

人による付加価値
例:書籍の著者監修、第一人者が教える~、専門家による正しい~、著名人
情報による付加価値
例:ノウハウ公開、~万人の調査結果
数字による付加価値
例:実践した企業の80%は売上UP、5分でわかる、3つのポイント
エンタメによる付加価値
例:~診断、占い、漫画でわかる

市場調査にはさまざまな方法がありますが、高瀬はGoogleの検索を使って「○○ 課題」で検索して出てきた記事の関連する箇所をピックアップして、マインドマップでまとめるやり方を紹介しました。そして王道の考え方として、自社の提供できる価値と市場の課題とが重なる部分を特定し、その重なる部分が広告のキャッチコピーやランディングページに活かせることをおさえておきたいと述べました。

他社調査ではFacebook広告ライブラリとTwitter 広告の透明センターを使って、他社のクリエイティブの傾向をつかむために活用する方法が共有されました。同じホワイトペーパーであっても見せ方が異なっており、自社でやる場合はどんな見せ方にするのがよいか考えるためのヒントになるといいます。
これらの調査を行った上でクリエイティブの作成に入ります。クリエイティブ作成の流れは以下のように語られました。

広告コピー提案では、手戻りを少なくするために複数案を用意し、文章や画像だけではなく、必ずプレビューを用意して確認しやすいようにします。プレビューを載せることによって、全体的なバランスを見た上で判断することができます。
ランディングページコピー提案では、バナーコピーは短く端的に作る必要があるので、ランディングページ側で整合性を意識しつつベネフィットを補足できると良いと述べています。また、ランディングページでもプレビューを用意します。ホワイトペーパーによるリード獲得は、ショートLPで端的な説明を心がけ、離脱を防ぎます。

提案ができたらディスカッションを行います。プロジェクトに関わっているさまざまな立場の方々の目線をそろえた上で、1~2個程度の広告コピーとLPコピーを決定します。
クリエイティブ制作では、デザイナーを迷わせないよう、過去の制作例とパフォーマンスを共有し、必要な情報を伝えることが大事だと語られました。
バナーサイズごとの意図を伝えるために、媒体×サイズごとに注意点を伝えています。

3.実行のパートでは、広告の配信を行い進捗を共有していきます。初期段階では広告が配信されているかどうか、設定した予算を執行できているかなどをチェックします。
毎週の頻度に報告をする際、ダッシュボードツールなどを使用することによって見やすくなります。リードの質やCV数・リード数・CPA・CPLなどの数値を振り返り、総合的に見て評価していきます。プランニングシートから一貫して広告配信結果が確認できると、報告が円滑になります。

4.振り返りのパートでは、オウナー、イベント運営、SEO担当、制作担当などに対して四半期ごとの報告会を行うことが述べられました。
ここではKPT(良かったこと、悪かったこと、次にすること)をまとめます。オウナーの方々は多くの施策を回している状況ということもあり、この場でチャネルごとのパフォーマンスやインサイトが多かった部分を共有し、把握していただきます。そこから、改善内容を考えていきます。

まとめ

広告の基礎設計
①ヒアリング…認識のズレが起きない設計を重視する。
②事前調査…オファー(exホワイトペーパー)の価値を高める要素を探す。
③バナーコピー、LPコピー…複数案とプレビュー提出し、手戻りや認識のズレをなくす。視座がそろった状態で、ディスカッションを行う。
④クリエイティブ制作…意図と違ったバナーにさせない工夫をする。事前共有を丁寧に。
⑤振り返り…数か月後でも全体の流れを理解できるように、資料を構造化しておく。四半期報告では、オウナー間の横串を通すことによってチーム全体のレベルアップを図る。

以上がa2iセミナーのレポートになります。具体的なセールスフォース様とのデジタルマーケティングの取り組みと、全体視点に基づいた広告プロジェクトの基礎設計という、広告運用者にとって非常に有益なセミナーになりました。私もプロジェクトの全体像を把握した上で、状況に応じた提案をしていきたいです。