Googleアナリティクスで行うデータ活用の処方箋 vol.5「GAユーザーリストに基づくクロスデバイスリマーケティングがもたらす意味とは」

2017年04月13日
ライター:山浦 直宏
  1. クロスデバイスリマーケティングとは。
  2. 改めて考えてみる “プラットフォーム” としてのGoogle アナリティクス活用
  3. 高まるか?プラットフォームとしての利用価値

クロスデバイスリマーケティングとは。

先日、「Google アナリティクス リマーケティングに関する重要な更新」としてGoogle アナリティクスのユーザーリスト(リマーケティングリスト)とGoogleの広告におけるクロスデバイスリマーケティングとの連携が発表されました。
AdWords側ではすでに2016年にクロスデバイスリマーケティング配信についてはローンチしており既に活用されている広告主も多いかと思います。

クロスデバイスリマーケティング自体の解説については、弊社高瀬のコラム「Googleアナリティクスを使ったクロスデバイスリマーケティングが実施可能に」を参照いただきたいのですが、簡単に言えば「Googleアカウントにログインしているユーザーに対して、デバイスに関係なくリマーケティング広告を配信できる」機能となります。
そもそも “リマーケティングリスト” と言っているリストの中身はCookieリストでありCookieである以上デバイス属性を持つわけですが “Googleアカウント” に名寄せを行う事で “デスクトップCookie” のリストであってもそのユーザーのモバイルデバイスへの広告配信を可能にしている、という事になります(デバイス拡張配信)。

広告接触からコンバージョンに至るまでには複数セッション経る場合も多いです。そのプロセス(コンバージョン経路)を「可視化して正しい分析と配信の最適化を実現する」という現在のソリューションのベクトルからすれば、 “複数セッション=複数のデバイス(クロスデバイス)” を “ユーザー軸で可視化” し “ユーザー軸でアクションできる” ということは非常に大きな一歩です。
AdWords側のデータ領域では、それが [クロスデバイスコンバージョン(すべてのコンバージョン)] と [クロスデバイスリマーケティング] によって一足先に実現していたことになります。

今回のリリースは、これまでAdWords側で実現していた様々なリマーケティング配信が、常に後にGAリストと連携をしてきたという流れを見れば、当然の成り行きとして受け止められる予測できたローンチでもあります。

しかしながら、Google アナリティクスをデジタルマーケティングプラットフォームとして活用する視点から見ると、単に “AdWordsリマケがGAリマケでも可能になった” ということ以上の大きな意味を持つ、という事をお伝えしたく筆を執らせていただきました。

改めて考えてみる “プラットフォーム” としてのGoogle アナリティクス活用

本連載でも重ねて述べてきた通り、Google アナリティクスは今やデジタルマーケティングプラットフォームとしての機能拡張を果たしており、ユーザーデータの統合と施策との連携によってデータのマーケティング活用は実現されるという流れは、何ら変わりはありません。
その中においてモバイルデータを中心としたクロスデバイス視点での分析の重要性についても既述の通りです。

私がコンサルティングをするケースでは、Google アナリティクスをデジタルマーケティングプラットフォームとして活用するときには「GAの “DMP的” 活用」という言い方で、 “CRMデータを中心としたオフラインデータのインポート分析” と “そのユーザーリストによるリマーケティング配信” を基本的な流れとするケースが増えています。
Google アナリティクスのデータインポートも機能拡張が進み、以前よりもインポートデータによるユーザーリスト活用がしやすくなった面もあり、360版(有料版)をご利用の企業様を中心に “分析を目的とした” ユーザーデータの統合はニーズが高まってきています。
また、Google アナリティクスの標準レポートへの “ユーザー指標” の導入も始まっており(本件についても大きなトピックであるが本稿ではテーマが異なるので別の機会にする)、Google アナリティクスのデータを中心とした “ユーザー軸” での分析環境はかなり整いつつあると言えます。

“データのマーケティング活用” という大テーマにおいては、その「計測→分析→アクション(施策)」の対象は当然ながら “ユーザー” であるわけですが、上記の様にこれまでのところでユーザー軸への統合は「計測→分析」のところまでであったため、その導入・活用目的も限定的であったと言えます。

<Google アナリティクスの “DMP的” 活用の例(従来)>

高まるか?プラットフォームとしての利用価値

今回のリリースで発表された5月15日から実現するGAユーザーリストによるクロスデバイスリマーケティングは、「分析結果として生成されるCookieベースのユーザーリストを使ってリマーケティング広告のデバイス拡張配信がされる」という事になり、当然ながらGoogle アナリティクスデータの広告目的での利用価値は上がると考えられます。
これまでも、いわゆる “GAリマケ” で実現してきた “動的リマーケティング” や “類似ユーザー” など “Google アナリティクスならではの指標による分析リスト” としての価値は提供してきましたが、いずれも配信側のデバイスの壁を越えられるものではありませんでした。

<GAリストによるクロスデバイスリマーケティング(5/15日~)>

今回のリリースがもたらす最大の意味としては、デジタルマーケティングプラットフォーム上のすべてのデータ領域(「広告」「ウェブ」「CRM」各データ)での「計測(取得)→集計/分析→アクション(施策)」というデータ活用のステップ「取る、見る、使う」すべてがデバイスの壁を越えた “ユーザー軸” で実現可能になる、という事になります。

生成されたGAユーザーリストが、クロスデバイスリマーケティングによってデバイス拡張配信されるということは、それだけ接点の機会が増えることにつながり、リマーケティング広告としての本来の目的は達成しやすくなるでしょう。
そして、その拡張された接点から訪問した行動データによるアトリビューション分析は、より実体に近い分析と結果を導きだすことにも貢献すると考えられます。

とはいえ、今回の話はGoogleアカウントにログインしているユーザーのみが対象になり、その対象ボリュームは、決して小さくはないものの当然すべてを網羅できるわけではないので、実際の効果の程は個々のキャンペーンの中で検証していく必要があるでしょう。

いずれにしても、広告アクションの対象が “ユーザー軸” へ統合が進むことによって、分析そのものがよりシンプルになっていくことは確かであり、ユーザー軸での分析プラットフォームとして進化しつつあるGoogle アナリティクスプラットフォームの存在感は確実に増している、と言えるのではないでしょうか。

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<執筆:アユダンテ シニアコンサルタント 山浦直宏>

プロフィール:
Googleアナリティクス360を中心としたデジタルマーケティングコンサルタント。
アクセス解析には2003年より取組み、解析・コンサルティングの実績多数。これまでに行ってきた「GoogleアナリティクスIQ講座」では資格取得者700名余を育成する一方、立教大学(元非常勤講師)のほか、多摩大学、東京都市大学、青山学院大学でも教鞭を執り人材育成にも取り組む。このほか、一般向け講座・講演、業界誌やネットメディアなどでの執筆・寄稿多数。
MarkeZine連載
  • Googleアナリティクスではじめるサイト行動データの広告活用
  • Googleアナリティクスがもたらす“データマネジメント”の世界
主な著書
  • 「Google Analyticsパーフェクトガイド 増補改訂版 Ver.5/ユニバーサルアナリティクス対応」
  • 「Google Analytics パーフェクトガイド Vr.5 対応版」
山浦著書
この記事を書いた人
山浦 直宏
山浦 直宏
シニアコンサルタント

Google アナリティクス、360 スイート専任シニアコンサルタント。ネット広告の黎明期より一貫して、ネット広告、デジタルマーケティング畑を歩む。講師を務める「Google アナリティクスIQ講座」では資格取得者900名余を育成する一方で、立教大学など複数の大学にて人材育成にも取り組む。講座・講演、業界誌やネットメディアなどでの執筆・寄稿多数。

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