2014年3月11日から13日までの3日間、アメリカ西海岸San Joseで開催されているコンファレンス、SMX West 2014に参加しています。SMXはSearch Marketing EXPOの略で、特にSearch Marketing Expo West はサーチマーケティング業界で最もポピュラー、かつ評価の高いコンファレンスです。世界中のサーチマーケターをはじめ代理店やコンサルタントなどが最新の情報をアップデートし、自らの感覚を研ぎ澄ますために集まっています。
San Joseと東京との気温差は約10度で、身につけてきたコートもマフラーも不要。今回はここSan Joseから、1日目を振り返ったレポートをお伝えします。
- Digital Marketing Summit Trackを振り返る
- Keynote: A Conversation With Google Search Chief Amit Singhalを振り返る
- 1日目を終えて
Digital Marketing Summit Track
SMX West 2014は3日間で60のセッションが行われており、1人で全てに参加することはできないため、選択をすることになります。1日目は、弊社コラムでも翻訳記事を紹介しているMarketing LandによるDigital Marketing Summitのトラックを選び、一日の終わりにGoogleのSearch ChiefであるAmit Singhal氏のKeynoteを聴くことにしました。
なお、Digital Marketing Summitの同じ時間の別のトラックでは、サーチやソーシャルの初心者が鍛えられるBoot Campという基礎的なセッションが行われていました。
Digital Marketing SummitはちょうどTEDのように1人が25分程度のプレゼンテーションを行うスタイルで、全部で11つの講演がありました。SEOやPPCなどサーチマーケティングを扱ったプレゼンテーションもあったものの、コンテンツマーケティングのセッションがあればモバイルのセッションがあり、アナリティクスがあり、Eメールマーケティングがあり、ディスプレイ広告、動画、そしてソーシャルがあるなど、Webマーケティングのテーマを網羅する構成になっています。
モデレーターから何度か「ビッグピクチャー」という言葉が出たので、このトラックではWebマーケティングの最新潮流と少し先の未来を、大まかにつかむ意図があるのだと受け止めました。
11セッション聴いたなかで、気になったものをピックアップしてお伝えします。
From Content Marketing to Media Company
Copyblogger の創設者、Brian Clark氏が登壇。企業がコンテンツマーケティングを通じてメディアになることの重要性について語りました。
- よい例はCoca-cola社のCoca-cola Journey。これはコーポレートサイトではなくメディアである。
- 顧客にしたい人々の洞察からはじめる。どんな問題を抱えていて、何をほしがっているか? そのどちらにも貢献するコンテンツを作る。
- コンテンツはそこから学べるような教育的なもので、かつ興味を惹き、面白いこと。そのそばに購入ボタンをつければいい。ビジネスを築くためにコンテンツを作って発信していることを忘れずに。
The Coming Paradigm Shift In Mobile Marketing
続いて“Mobile Marketing”の著書もあるCindy Krum氏。モバイル端末がもたらすビッグデータを活用してマーケティングでどんなことが考えられるかについて語りました。
- 今やモバイルはどこにでもあり、素晴らしいテータがどこにでもある。これらのデータをマネタイズできるのではないか。理解し、マージし、解析し、共有し、売る。
- データを活用するにはパーミッションをとらなければならない。
- 例として、カロリー計算アプリ内のデータ。いつどこで何を食べたかなどが詳細にわかり、マーケティングに活用できる。
- センサーで室内にあるものを管理することも可能。こんなジョークの紹介も。 (GoogleがNest社を買収したことを受けて) Nestの火災報知器が作動したからかな。AdWordsで消火器や仮設住宅用のオファーの広告が出はじめたよ。
The Display Ad Of The Future: It’s All About You
TrueffectのCMO、Tim Mayer氏のセッション。ディスプレイ広告の近い未来について語りました。
- 広告をつくる視点にはストーリーテリングの技術が重要。
- 広告におけるRelevanceとResonance。GoogleがもたらしたRelevance(関連性)に寄っていく一方で、Resonance(共感、共鳴)がなくなってきている。どちらをも備えているのがこれからの広告。
- よい例としてRobinsonsのコマーシャル動画Robinsons ‘Pals’
- 広告の計測は混乱している。USの人口は313.9Mなのに、3rdPartyCookieは2.4billion。
- チャネルを横断してストーリーを伝える必要がある。
- ディスプレイ広告はコンテンツでの購入からオーディエンスで購入するように。
- オーディエンスのセグメントごとに異なるアプローチをする。
- 次に注目するディスプレイ広告はiBeacons、Viral pull Ads。
Keynote: A Conversation With Google Search Chief Amit Singhal
Keynoteでは、GoogleのSearch ChiefであるAmit Singhal氏がSearch Engine Landの founding editorである Danny Sullivan氏のインタビューに答えました。
- ハミングバードについて。ハミングバードは将来のGoogleの検索を作る基盤となるものである。
- 複雑化するリンクについて。リンクは今も重要なシグナルであり、価値がある。
- ソーシャルシグナルについて。FacebookやTwitterからどんなシグナルも評価していない。
- (not provided)問題について。今後数週間から数ヶ月かけて、この問題のよい解決策を考えている。
- 今後5年の検索について。ますますモバイル化が進み、新しいデバイスでオンラインに接続されるなか、検索は適応していく。
こちらのインタビューは、ほぼ全文がSearch Engine landの以下の記事から見られます(英語)。追ってYouTubeで動画が公開される予定のようです。
1日目を終えて
ランチや休憩中に隣り合った人々とすこし話してみて実感したことですが、スピーカーも参加者も、日本で行われているコンファレンスよりずっと、女性の方、また、年配の方が多いように感じます。日本でも多様な人々がこの業界に加わり、目に見えてくるようになるといいと思います。