Facebook仕様変更:デフォルトHTTPS接続に / さらば「エッジランク」
2013年08月13日
ライター:藤原 亜希子

このところ、立て続けにFacebookの仕様変更のニュースが舞い込んできた。

の2つ。Facebookページ運用担当者にはぜひおさえておいていただきたいニュースだ。

Facebookの接続が、デフォルトHTTPS接続に変更
~ユーザーにはセキュアな接続を、マーケッターにはリファラーデータを~

米国時間7月31日に、Facebookはデフォルトの接続をhttpsに変更したとアナウンスした。これで、“ほぼすべて”のFacebook.comの訪問者の、そしてモバイルアクセスの約80%の訪問者も同様にセキュアな接続に変更されている。

実名登録で、自身をとりまくリアルな交流関係が展開しているFacebook。だが、これまでの接続はセキュア接続ではなかった。
もちろん、自分のアカウントのセキュリティ設定を開き、セキュア接続を「オン」に設定していれば、セキュア接続での利用はできた。しかし、細かいアカウント設定までチェックしない人や、こうした情報を知らないユーザーも多かっただろう。
今後は、デフォルト接続がセキュア接続となり、全てのユーザーが、安心して使えるメディアになったと言えるだろう。

一方で、これは、マーケティングの視点からいえば、喜ばしい事態とは言えない。セキュア接続は、リンク先のサイトが同様にセキュア接続のサイトでない限り、リファラーデータを得られないということになるからである。
Google検索からのリファラーデータが、2011年10月から、デフォルトでログインユーザーがセキュア接続になって以来、not providedになる状況が増えてきていることを感じている方も多いだろう。

しかし、今回のFacebookの発表には、“制御リファラーヘッダー”についての計画が含まれていた。

HTTPSからHTTPに移動するときのブラウザでは、従来リファラーデータを省略する。我々は、ユーザーIDまたはその他の機密情報を得ていない状況でも、外部リンクをクリックしたときに、遷移先のサイトでFacebookから来たことがわかるようにしたい。ほとんどのブラウザでは、我々はこれを達成するためのhttpページにリダイレクトするが、Google Chromeの場合は、メタリファラ機能を使って、このリダイレクトをスキップすることが可能だ。

つまり、Facebookは、ユーザーに対してセキュアな接続を実現しつつも、マーケッターに対し、リファラーデータを提供する。
サイトへの送客にFacebookが効果を出していることを、明らかにできるというわけだ。

これまでの仕様であれば、HTTPS接続でFacebookを利用してきた私のようなユーザーも、遷移先サイトにおいて、not providedからFacebookのカウントに入るようになるともいえる。
自社サイトのアクセス解析において、参照元メディアとしてのFacebookの価値があがるかもしれない。

これは、ユーザーにとっても、マーケッターに対しても、良いニュースと言えるだろう。そして何より、Facebookにとって、その価値を見直される良い機会になるかもしれない。

Facebookの表示アルゴリズムの変更
~エッジランクはもう古い。さらに進化するアルゴリズム~

このニュースに続いて、8月6日、ニュースフィードに記事を表示するルールの変更が発表された。

これまで、Facebookにおいて、投稿がユーザのニュースフィードに表示される基準となる「エッジランク」は、Facebook社内では死語になっている。Facebookが機械学習を始めてからの2年半、この用語は使われていないという。

もちろん、「エッジランク」の基準となる、「親密度(Affinity)」「重み(Weight)」「経過時間(Time Decay)」は、現在のより複雑なニュースフィードへの表示アルゴリズムの重要な要素であることに変わりはない。

それに加えて、2つの新しい要素、「ストーリーバンピング(Story Bumping)」と「直近接触者(Last Actor)」が発表された。さらに今後は、特定の投稿が特定のユーザーに表示される方法と理由に関して透明性を高めると述べている。

Facebookのユーザーは拡大を続け、ユーザーが築く結びつきはますます増加。さらに多くのブランドがFacebookページを作成してコンテンツを配信している現在の状況では、ニュースフィードは複雑なバランス取りが必要になっている。
Lars Backstromによるニュース記事によれば、平均的なFacebookユーザーは、一回の閲覧でも約1,500件の記事が表示されているとのことである。

「ストーリーバンピング(Story Bumping)」とは

ニュースフィードに表示する内容を決定する際に、最新であることだけを考慮するのではなく、投稿から時間の経過した記事でも、ユーザーが見逃したと思われる記事は表示するようになった。
言い換えると、時間が足りなかったり、ニュースフィードを一番下までスクロールしなかった場合、他の人々がその投稿やコンテンツに関して、いいね!をしていたりコメントをしているようなら、その投稿を次回表示する可能性があるということである。

ストーリーバンピング(Story Bumping)のイメージ図

先の facebook for businessの記事によれば、最近自社従業員80%に実施した実験では、ニュースフィードのトップに、古い記事が表示されれば混乱するに違いないという予想を裏切って、下記のようなエンゲージメントの増加がみられたという。

  • 友達からの投稿とのやり取りが5%増加
  • Facebookページの投稿とのやり取りが8%増加
  • 投稿を読む量が全体で57%から70%に増加

この「ストーリーバンピング(Story Bumping)」機能はweb上ではすでに展開され始めているが、モバイルではまだ完全には組み込まれていないということだ。

「直近接触者(Last Actor)」とは

Backstrom氏の説明によれば、Facebookで行われる直近50件のやり取りを発生順に追跡。そのやり取りをシグナルとして使用しフィード表示を決定する。
直近の50件のやり取りを発生順に追跡するため、この要素によるランキングの上昇・下降は一時的なものであるようだ。

Facebookの社内実験では、この変更によるエンゲージメントの増加はわずかなものだったようだが、それでもこの要素を新たなアルゴリズムに組み込むには十分な結果だったようだ。
この機能は、WEB、モバイルいずれにも組み込まれている。

この変更によるFacebookページ管理者やマーケッターへの影響を考えてみる。
まず、これらのアルゴリズムは、オーガニック投稿にのみ適用される。広告はまた別の異なるアルゴリズムを使用する。

しかし、ユーザーのエンゲージメントを獲得できるようなコンテンツを投稿していけば、「ストーリーバンピング(Story Bumping)」により、投稿コンテンツを見逃したユーザーに対し、再度表示されるチャンスが生まれ、「直近接触者(Last Actor)」によって、表示チャンスを増加できるチャンスもある。

結果的にはFacebookページ管理者やマーケッターは、これまで通り、ブランドや自社のファンが、アクションを起こしたくなるコンテンツを作ることを目指すことに変わりはないと先の記事の Lars Backstrom 氏はまとめている。

以前ご紹介したように、新しいインサイト画面では、ファンのオンライン時間などのデータも見られるようになり、ユーザーがアクティブな時間を狙って、投稿がますます集中することが予想される。そういった状況の中でも、投稿するコンテンツがユーザーのアクションが期待できるものであれば、また継続的に情報を投下し、ユーザーとコンタクトが得られていれば、チャンスは拡大するということだ。

これまで以上に、「良質な」コンテンツを、「定期的に」提供していくことが、重要になると言えるだろう。

参照: