【AYUDANTE NEWS 2025年9月号から抜粋】AIで進化するGA4 期待される2つの機能
2025年11月14日
ライター:小林 奈穂

本コラムはAYUDANTE NEWS 2025年9月号から一部抜粋してお送りしております。全文に関しては毎月月末に配信しているニュースレターのバックナンバーからご覧ください。

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今月は、GA4の新機能のご紹介です。GMPコンサルティング事業部のシニアカスタマーサクセスコンサルタントの高田和資(たかだ かずつぐ)に、AIをフル活用した2つの新機能について聞きました。
聞き手は、弊社CSO(戦略推進責任者)の大内 範行です。

※今回お届けする内容は、正式リリース前の情報に基づいてまとめています。詳細は正式リリース後にご確認ください。

  1. GoogleのAI機能を全面的に取り入れるGA4
  2. GA4のAIエージェントが使えるとどんな影響があるか?
  3. AIエージェントが力を発揮するために大切なこととは?
  4. Google以外の広告にも対応 クロスチャネルで予算管理 !?
  5. 予算管理機能でできること その画面イメージ
  6. バジェッティング機能を使いこなすための準備
  7. 見逃せないAIとデータガバナンス(ニュースレター限定)
  8. まとめ(ニュースレター限定)

GoogleのAI機能を全面的に取り入れるGA4

大内

今回の発表の概要を高田さんから聞いて、「お!」と思わず声を上げてしまいました。GA4への移行の波がようやく一段落して、いよいよ大きく動き出したと思いました。

高田

今回はGoogle Marketing Liveで発表された内容からGA4の2つの機能をご紹介します。使い方がまったく違う機能ですが、AIのパワーを全面的に活かした機能という点で共通点があります。
Google アナリティクスで ROI を高める

ひとつは、「AIエージェント機能」です。
もうひとつが「クロスチャネル予算設定機能」です。「クロスチャネル予算設定機能」は、ちょっと長いので、ここでは「バジェッティング機能」と呼ぶことにします。

大内

どちらも興味津々なのですが、「AIエージェント機能」が、直感的でわかりやすそうですね。これは一言で言うとどんな機能ですか?

高田

ChatGPTやGeminiなど生成AIが話題ですが、GA4もチャットで質問をすれば生成AIが回答してくれるようになります。
たとえば「先月、新規ユーザー数を来訪したチャネルのトップ3はどれ?」とか「この3週間で、一番売れた商品はどれ?」と、自然な日本語でGA4に質問することができます。

大内

おお、面白そうですね。データ分析がかなり楽になりそうです。

高田

そう思いますよね。でも、これはまったく新しい機能というわけでもないんです。実は今のGA4でも、自然な言葉で質問ができます。
生成AIが話題になるずいぶん前から、AIは取り入れていました。GA4も、かなりAIの経験を積んでいるという点を強調しておきたいと思います。

大内

「インテリジェンス」機能のことですね。確かにそうです。GA4の日々のアクセスデータに、急激な変化があったら自動で知らせてくれる機能です。
ただ「インテリジェンス」は、「使う」というより、「知らせてくれる」感じで、いわば受動的な機能というイメージが強いです。

高田

インテリジェンス機能も進化しています。英語版だけの機能ですが、GA4の詳細レポートのすぐ上に、文章でデータの異常な動きを説明してくれます。
また、GA4の検索窓に「今月のユーザー数は?」と聞けば、答えを返してくれます。今回の「AIエージェント」は、「インテリジェンス」機能の発展形と言えると思います。
一方で、AIエージェントは、ChatGTPやGeminiなど生成AIを、皆さんが使っていますから、リリースされれば、どんどん使われるようになるでしょう。

「インテリジェンス」機能の実行画面 GA4は、AIの対話機能をすでに実装済み
詳細レポートでデータの傾向や大きな変化がわかりやすい言葉で要約される「生成インサイト」機能も実装済み(今は言語を英語にすると表示されます)
大内

少し前に、生成AIと連携した「GA4のMCP」がリリースされました。GA4分析に生成AIが使えると一部で話題になり、腕に覚えのある人たちが試していましたね。

高田

MCP( Model Context Protocol ) は、生成AIの大規模言語モデル(LLM)と外部のシステムやデータソースを接続するための標準化されたプロトコルです。
GA4もMCPに対応したので、設定さえすれば、GA4のデータをGemini などの生成AIに対話形式で質問ができます。GoogleのGeminiだけでなく、AnthropicのClaudeなどAIのモデルを選ぶことができます。

大内

弊社でも何人かがMCPを導入して使っていたと思いますが、使ってみた感じはどうでしたか?

高田

実際に使った同じチーム(GMPコンサルティング事業部)の藤田に聞いてみました。「結構かしこい」と笑ってました。どうしようかと悩んだときに、相談に乗ってくれるよき相談相手という感じのようです。
実際に使うと、「先月の会員数は?」という簡単な質問にも、かなり詳しいアドバイスを返してくれるようです。
生成AIが完璧な答えを出してくれるかは別にして、確実に分析の助けにはなるようです。
ただ、MCPの導入設定はハードルが高く、誰でもすぐに使えるというものではありません。

GA4のAIエージェントが使えるとどんな影響があるか?

大内

AIエージェントは誰もがすぐに使えますね。実際に、AIエージェントの対話を使うようになると、GA4のデータ分析にどんな影響が出ますか?

高田

ひとつは思いついた時にパッと聞けます。GA4の前提知識がそこまで無くても、気軽に聞けますので、学習コストや分析コストは大幅に減ることが考えられます。
これまでは、GA4の用語やその定義、たとえばディメンションや指標を理解して、画面を操作する必要がありました。「AIエージェント」の場合は、もっと気軽に「今月のアクセス数は増えた?」などと聞けるので、より直感的に使いはじめることができると思います。

大内

「なんでアクセス数が減ったのか?」といったデータが変化した要因を聞く質問は本当に多いですね。質問は簡単なのですが、本気で要因分析をすると、結構面倒でした。こういった質問にもAIエージェントは答えてくれそうですね。

高田

そういった「GA4に詳しい人」に聞かないといけなかった疑問が、短い対話で解決していく、ということも大きいですね。
どの程度満足の行く回答なのか、その点は実際にリリースされたら確認したいと思います。

AIエージェントが力を発揮するために大切なこととは?

大内

生成AIもかなりよくなってきましたが、時々見当違いの答えをしますからね。今後、GA4のAIエージェントの質を上げるために、導入や設定で気をつけるようなことは出てきますか?

高田

まさに!そこが一番大事な点です。
このAIエージェントは、あくまで自社で設定されているGA4のイベントやカスタムディメンションを学習して答えを組み立てるわけです。
生成AI側の視点にたつと、より学びやすいイベント設定になっていれば、すんなり理解できるということになります。
その逆にイベントやカスタムディメンションの設定がちゃんとできていないと、見当違いな回答が返ってきます。
例えば、GA4のヘルプには「推奨イベント」というページがあります。Googleが定義したユーザー行動を「こうやってイベントやカスタムディメンションを設定すればわかりやすい」というオススメの設定が書いてあります。この推奨イベントに沿って、綺麗にGA4のイベントを設定しておけば、GA4のレポートや指標として利用できるようになりますが、もう一つの目的として、GA4にユーザー行動をイベントで覚えさせるという目的があります。覚えさせたユーザー行動がきれいに設計・設定されていれば「AIエージェント」は、よりスムーズに答えを導き出せるようになると思います。
[GA4] 推奨イベント

大内

高田さんや、アユダンテのGMPチームがいつも言っている「GA4も設計、設定をちゃんとしておかないと、データ集計や分析はできない」という話ですね。生成AI時代になって、むしろ、データ基盤を整備することの大切さが、身にしみて理解できます。

Google以外の広告にも対応 クロスチャネルで予算管理 !?

大内

では、次に紹介する「クロスチャネル予算設定機能」に話を移したいと思います。ここでは「バジェッティング機能」と呼ぶことにしますが、そちらをご紹介ください。

高田

はい、これはすでにヘルプページで見ることができます。題名は、「クロスチャネル予算設定」となっていて、2025年の9月現在では一部のユーザーにクローズド・アルファ版として提供が始まっています。アユダンテでもひと言で言うと、
・GA4が複数のチャネルの投資対効果を分析する
・AIの予測で、今後、どれだけ予算を投じればいいか提案してくれる
という機能です。この機能によって、今後どのチャネルに投資していけばいいか、予算割り振りの意思決定ができるようになります。
[GA4] クロスチャネル予算設定(アルファ版)

大内

これはとても重要な機能ですね。
実は広告担当者の方々とお話する機会があったのですが、「広告の効果測定にGA4を使っている」というお客様が増えている印象です。
ソーシャルやアフィリエイトなど、プロモーション媒体が増えてくると、媒体ごとの管理画面の数値だけでは、なかなか効果分析や予算配分が難しいという状況があると思います。加えて、エンゲージメントなど訪問後のユーザー行動もわかりますので、より深く効果を見ることができます。そういった点から、広告の効果分析にGA4を取り入れるという動きは加速しそうですね。

高田

そうですね。「クロスチャネル」と銘打っているように、この機能はGoogle広告だけの予算分析ではありません。Googleはもちろんですが、Google以外の他媒体の広告やプロモーションのデータ、費用やインプレッションやクリックといったデータも、GA4に自動連携、または手動でのインポートができるようになっていきます。
今時点でも、Reddit広告のデータはインポートできます。
また、インポートできるデータソースとして、Google Cloud上のデータだけでなく、Amazon AWSやSnowfalkeのデータもインポートすることができます。CRMなどお客様の他のデータとも連携していくことができます。

予算管理機能でできること その画面イメージ

大内

Googleは、GA4以前のUAの頃から、「スマートリスト」など機械学習の予測機能を実現していて、GA4では予測オーディエンスという機能がありますね。AIを使った広告分析では、かなりの経験を積んでいます。
リリース時にどんな画面UIで提供されるか楽しみですね。

高田

今、サンプルで上がっているGA4の画面は、こんな感じです。
GA4のメニューの「広告」で、この予算のプラン画面が見れるようになると思います。
期間を指定して、コンバージョンを選び、予算の金額を入力する欄がありますね。
結果として、割り当てられた費用や予測売上、ROASが出ています。

バジェッティング機能を使いこなすための準備

大内

AIエージェント機能を使いこなすためには、GA4の設計や設定をわかりやすく、綺麗にしないといけない、というお話が出ました。バジェッティング機能について、これを使いこなすためにやっておくべきことはありますか?

高田

繰り返しになりますが、ここでも広告アカウントの整備、広告のリンクパラメーターにつけるUTMパラメーターの整備、GA4側は広告アカウントとの連携はもちろん、たとえばeコマースサイトで売上データの反映がしっかりできているとか、あらかじめきちんと設計して整備しておくことが重要になってきます。
その中でも…

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