
アイテムの購入状況を知りたいのだけど、ディメンションに「アイテム名」をセットしたら、普段使っている「購入」指標がグレーアウトしてしまい使えない。
指標に「購入」と「アイテムの購入数」と2つある。それぞれ表示される数値が違うのだけど、何が違うのか?
このような、お問い合わせをいただくことがあります。
「購入」と「アイテムの購入数」それぞれの指標の値が意味する内容は明確に違うのですが、どちらもeコマース関連の指標であり、指標名に「購入」が入っているため、同じようなものと捉えられることがあるようです。
そこで、本コラムでは、GA4指標の「購入」と「アイテムの購入数」の違いについてご紹介したいと思います。
※この投稿に記載の内容はすべて2025年10月時点での情報です。
どちらも購入(purchase)イベントで送信される情報
「購入」「アイテムの購入数」どちらも、その値の基となる情報は、購入(purchase)イベントの情報としてGA4に送信されます。

購入(purchase)イベントと2つのスコープについて
2つの指標の違いを理解していくためにも、eコマース設定をしている購入(purchase)イベントで、どのような情報がGoogle Analyticsに送信されるのか?gtagコードの一例を確認してみたいと思います。
▼gtagコード例イメージ

※コード例として一部を記載しています。
※みなさまのサイトで計測されている情報については、計測設定のご担当者様にご確認ください。
GA4のeコマース計測を設定している場合、サイトでユーザーが商品を購入すると、上記コード例に記載しているような情報が購入(purchase)イベントとしてGA4に送信されます。
このように、購入(purchase)イベントには、トランザクションIDや購入金額、商品名や商品の価格など、様々な購入情報がパラメータとして付与されますが、各情報は、2つのスコープに区分されています。

- 「イベントスコープのパラメータ」にはイベントに関する情報
- 「アイテムスコープのパラメータ」には商品(=アイテム)に関する情報
上記記載のgtagコード例では、青い部分が「イベントスコープのパラメータ」、赤い部分が「アイテムスコープのパラメータ」となります。
GTMを使用したeコマース計測の設定方法にご興味がある方は、下記コラムもご参考ください。
違いはカウントしている対象
「購入」「アイテムの購入数」は、どちらも同じ購入(purchase)イベントの情報ですが、カウントしている対象が違うので、指標のスコープも異なります。
購入
購入(purchase)イベントの「数」をカウント=イベントスコープの指標。商品がいくつ購入されていても、1回の決済(=購入イベント発生)を「1」としてカウントします。
アイテムの購入数
購入(purchase)イベントに含まれる、item配列の各商品の「数量(quontity)」をカウント=アイテムスコープの指標。購入された商品1つ1つをカウントし、同じ商品が複数購入された場合、その個数分をカウントします。
カウント例

ユーザーが「Tシャツを2枚、デニムを1枚」計3つの商品をまとめて購入した場合
→購入=1
→アイテムの購入数=3
レポート作成時にもスコープが関係
ここまで、2つのスコープが存在している点や、「購入」と「アイテムの購入数」が、それぞれ違うスコープ情報を対象としている点をご紹介しました。
レポートを作成する際にも、このスコープ(対象)に注意が必要です。
2025年10月現在、アイテムスコープのディメンションにイベントスコープの指標は掛け合わせができません。
探索レポートでは、ディメンション設定箇所に「アイテム名」などのアイテムスコープのディメンションをセットすると、「購入」指標などのイベントスコープの指標がグレーアウトされます。

目的にあわせたレポートの例
ここでは、目的にあわせたレポートの例をいくつかご紹介します。
各月の購入回数は?(purchaseの数)
どれくらい購入アクションが発生したか?といった、ユーザーの購入回数が知りたい場合は、購入(purchase)イベントの数をカウントしている「購入」指標を使用します。
■レポート例
~レポート指定条件~
ディメンション:月
指標:購入、総購入者数など

アイテム別の購入数量は?(アイテムがいくつ購入されたか)
アイテム毎の購入数を知りたい場合は、アイテム数をカウントしている「アイテムの購入数」指標を使用します。
■レポート例
~レポート指定条件~
ディメンション:アイテム名
指標:アイテムの購入数、総購入者数など

特定のアイテムを含む購入はどれくらい発生したか?
特定のアイテムについてキャンペーン施策を行った場合などで、全購入数(=purchaseイベント数)のうち、特定のアイテムが含まれている購入数(=purchaseイベント数)が知りたい、というケースもあります。(アイテムが何個購入されたのかではなく)
この場合はどうすればよいでしょうか?
レポートでディメンションにアイテム関連の項目をセットしなくても、レポートのフィルタ機能を使用して、特定のアイテムが含まれている購入を絞り込むことが可能です。
■レポート例
~レポート指定条件~
ディメンション:月
指標:購入、総購入者数など
フィルタ条件:「アイテム名」完全一致「○○」

※2025年10月時点では、フィルタ条件として「完全一致」のみが使用可能となっています。
さいごに
今回は、お客様からお問い合わせをいただくことのある指標、「購入」と「アイテムの購入数」についてご紹介させていただきました。
GA4では、ディメンションと指標の組み合わせで様々なレポートを作成できます。そして、このディメンションや指標にはそれぞれ、スコープ(=対象とする範囲)があり、目的にあわせて組み合わせることで、見たい数値を確認することができます。
この「見たい数値」がどのように計測されている情報を基にしているのか?を考えることで、提示された数値や情報の読み解きも、スムーズになるでしょう。
eコマース指標についてイベントスコープとアイテムスコープに分けて説明している公式ヘルプページや、eコマースイベントの詳細を解説している下記アユダンテのコラムも、ぜひご参考ください。
公式ヘルプページ:[GA4] e コマース指標について
コラム:[GA4] Google アナリティクス 4 eコマースイベントの解説
「目的」にあった数値を見るには、どちらの指標を使うのか?迷われた際に、本記事の内容がお役に立てば幸いです。