アユダンテは2006年の創業時から一貫して内部&テクニカルSEOを提供してきていますが、中でも多い案件は大規模なDB型サイトです。SEOはサイトのタイプによってやるべき施策が全く異なるので、DB型サイトのSEOについて、課題や必要なスキル、やるべき施策について解説します。
大規模なDB型サイトとは?SEO的にどんな課題がある?
DB型サイトとは、サイト内にデータベースから構築するページがあるサイトのことで、実はたいていのサイトにはDBが存在します。
ただこの記事で定義している大規模DB型サイトとは、オーガニック流入が月間数百万セッション以上、サイト内に1000万URL以上あるような、いわゆるEC、求人、不動産、ポータルなどのサイトのことです。
そのようなサイトはだいたいサイト構造が決まってきます。
下図のようにカテゴリページ群と商品/サービス詳細ページ群がメインの導線となります。

このようなサイトのよくある課題としては以下のようなものがあります。
- サイトが継ぎ足し継ぎ足しで構造もURLも把握しきれない
- サイト内に大量の重複URL、低品質URLがある
- クロールリソースが不足している
- オーガニックのランディングとなるカテゴリページが動的、パラメータURLで未インデックス
- PC画面はSEOを意識していたのにスマホ画面で最適化できていない
- TOP~カテゴリ~詳細間の上下階層、同列横階層の内部リンクが実現できていない
- JavaScriptが多用されており、レンダリングされていない
- カテゴリデータが最適ではない
- カテゴリではなく、タグやサイト内検索で対策している
などなど、DB型サイトを運用している皆様、思い当たることはありませんか?(笑
また、何をやるにもシステム改修が発生するので、SEOを計画しても実装されずに終わってしまうこともよくあります。
そのため、大規模なDB型サイトにおいてはやみくもに施策せず、最初にしっかり計画を立てて進めていくことが大事だと思います。
SEOは実装されないと、なんの効果も生まれません!
DB型サイトのSEOに必要なスキル、コンテンツSEOとの違い
最近私はインプレス社主催のデジタルマーケターズサミットに登壇しました。
コンテンツだけがSEOじゃない!内部施策4つの基本と今やるべきこと
なんとも、センセーショナルなタイトルですが…笑、最近SEO業界の方と話していて、SEO=コンテンツという風潮が強く懸念を感じていたり、逆にコンテンツ制作をやってる方が大規模DBサイトのSEOをやりたいけれど機会がないと嘆いていると耳にしています。
確かにコンテンツSEOを提供する会社はたくさんある印象ですが、内部やテクニカルSEOを大規模サイトに提供できるSEO会社はあまりない印象です。
そして、DB型サイトのSEOとコンテンツSEOのスキルには大きな違いがあると思っています。
ちょっと極端ですが、両者に必要なスキルをまとめてみます。
DB型サイトのSEOスキル | コンテンツSEOのスキル | |
サイト構造の把握 | 〇 | × |
クロール・インデックスの分析とコントロール | 〇 | × |
検索意図の理解 | △ | 〇 |
コンテンツの作成 | × | 〇 |
カテゴリDBの理解 | 〇 | △ |
画面の要素や内部リンクの出力ロジックの理解 | 〇 | △ |
UX(ヒートマップ分析) | 〇 | 〇 |
テンプレ単位のURLパターンの把握 | 〇 | × |
技術要件の理解(パフォーマンス、sitemap、レンダリングなど) | 〇 | × |
私見ですが、DB型サイトには2つのスキルが重要だと思っています。
1つ目は「サイトのデータ構造を理解する」。上記表の「カテゴリDBの理解」や「画面の出力ロジックの理解」にも関係する部分です。以下の例と共に見てみたいと思います。
例①SHOPLISTのトップページのカテゴリリンクブロック
トップページに一部のカテゴリリンクブロックが出ていますが、どういうロジックで初期表示カテゴリを選定しているのか?アイテムカテゴリDBの並び順の上から10個なのか、手動で選定しているのか、データ構造と画面側のロジックを理解する必要があります。

例②SHOPLISTの「トートバッグ」カテゴリの絞り込みリンクブロック
カテゴリ上部に出てきている「こだわり条件」はカテゴリの下層なのか、別の軸の絞り込みなのか、こちらもデータ構造を理解する必要があります。

トートバッグのURL:
https://shop-list.com/all/svc/product/Search/?genre_id=97&genre_id1=7
からクリックしたときの
トートバッグ×ストライプ柄のURL:
https://shop-list.com/all/svc/product/Search/?genre_id=97&genre_id1=7&sort=11&tag=97
を見ると「&tag=97」があり、条件はタグなのかもしれません。恐らくトートバッグと親子階層構造にはなっていないでしょう。
例③URLパターンの把握
URLがどのように生成されているかも把握する必要があります。例えばアイテム×ブランドのURL。
例:トップス × Miniministore(ブランド)
https://shop-list.com/women/svc/brand/Search/?brand_id=221&genre_id1=1
brand_idの221がMiniministoreでgenre_idの1がトップスなのかなと推測。ブランドとアイテムをパラメータでつないでいるURLのようです(順番はブランド優先ですが)。
ちなみに、ブランド側のMiniministoreからアイテムを絞っても同じURLへ遷移、URLが分散せず素晴らしい。
などなど、急に濃い解説になりましたが、このようにSHOPLISTにはどんなDBがあり、どんなテンプレートパターンがあり、どのようなURLルールで生成されているのかという、「サイトのデータ構造を理解する」ことがDB型サイトのSEOをやる上で非常に重要だと思います。
時にはお客様のエンジニアの方に仕様を説明していただくこともありますし、アユダンテのSEOエンジニアに見てもらうこともあります。
2つ目のスキルは「課題と要件を確実に把握する」です。
大規模サイトは何かの施策を行う際に必ずシステム改修が発生しますので、確実に成果の出る重要度の高い施策からやる必要があると思っています。
冒頭で書きましたが、最初にしっかり計画を立てて進めていくことが大事です。
そのサイトにとっての課題は何か、やるべき要件は何か、重要度は?など全体を把握する力があるとよいでしょう。
アユダンテでは初見のサイトは最初に必ずサイト診断を実施して、サイト全体の課題を可視化し、要件をリスト化します。
サイト診断のスコアチャート

サイト診断で出てくる課題と要件例

各要件には重要度も入れます。SEOはやってもそこまで効果がない要件、これだけは絶対にやらなければいけない要件と、各要件の重みがだいぶ違うのです。この課題を洗い出す力、何が重要なのか見極める力は大規模サイトのSEOには必須スキルだと思います(非常にハードルが高いですが…)。
DB型サイトでやるべきSEO施策
さて、それではDB型サイトの施策にはどのようなものがあるのでしょうか?主に内部施策とテクニカル施策を行うことが多いですが、私たちは通常以下の4つの施策を提供しています。
- サイト構造設計
- カテゴリ設計
- テンプレート設計
- 技術要件支援
他にも細かい要件に応じていろいろな施策がありますが(例えばサイト統合とか)、基本の施策は上の4つになります。
それぞれの施策の内容やポイントについてはまた以降の個別の記事で解説していきたいと思います!