
2025年3月10日、多くのマーケターやWeb担当者に、GoogleからGoogleタグマネージャー(GTM)に関するお知らせが届きました。
内容は、2025年4月10日以降のGTMの動作変更についてです。影響があるのは、Google広告タグやFloodlightタグを使っている場合。
この記事では、変更の背景・影響・推奨される対応方法まで、わかりやすく解説します。
アップデートの背景
Googleタグ(Google Tag)は、Google広告やGoogleアナリティクスなどのサービスにイベントデータを送信するために必要なコードです。これは、GTM内のタグ設定かページのHTMLへの直接設置によりWebサイトに読み込む必要があります。
たとえば:
- GA4プロパティ(例:計測ID「G-12345」)にイベントを送るには、まず「G-12345」のGoogleタグをページ上で読み込む必要があります。
- Google広告のコンバージョン(例:変換ID「AW-12345」)を計測したい場合も、同様に「AW-12345」のGoogleタグが必要です。
イベントが発火した際に、以下のような理由で対応するGoogleタグが読み込まれていない場合、GTMは「Google 広告とFloodlightのGoogle タグが先に読み込まれるよう、システムが自動的に更新を行う」ことで補完しようとします。
- GTMでGoogle 広告とFloodlightのGoogleタグが設定されていない
- Googleタグは設定されているが、イベントより後に発火する
ただしこの自動補完で読み込まれるGoogleタグでは、手動実装であれば可能な一部の設定(例:拡張計測機能やユーザー提供データの活用など)が、自動的には適用されない場合があります。
※なお、GA4では今回のような自動読み込み機能は提供されていないため、GA4イベントタグを使用する場合は、対応するGoogleタグが事前に発火するよう手動で設定する必要があります。
現在の処理フロー(~2025年4月9日まで)

2025年4月10日以降の変更内容
Googleは、データ品質の向上を目的として、GTMの自動タグ読み込み機能の仕様を変更します。
影響を受けるのは:
- Google広告タグ
- Floodlightタグ
これにより、タグの自動読み込みの挙動が今までと変わり、この変更により、データ収集の信頼性が向上し、計測漏れのリスクが低減されます。
変更後の処理フロー(2025年4月10日以降)

※2025年4月10日以降、Googleタグマネージャー内のGoogle広告・Floodlightタグは、イベント発火前に自動的にGoogleタグ(gtag.js)を読み込みます。この変更により、より正確かつ安定したデータ収集が可能になります。
マーケターが取るべき対応策
選択肢①:アップデートに頼る(自動読み込みに任せる)
・対応:2025年4月10日以降に自動的に適用されるため、特別な作業は不要です。
・メリット:従来に比べて、データの収集の信頼性が向上します。
・デメリット:手動設定(選択肢②)であれば有効にできる一部の機能(例:拡張計測機能やユーザー提供データの活用など)が使えません。また、Google広告タグの動作完了までのタイミングがわずかに遅れる可能性があります。
選択肢②:手動で対応する
・対応: 各Google広告 / Floodlightタグに対応するGoogleタグを、GTM内で「Initialization(初期化)」タイミングで発火するように設定します。
・メリット:
- データ収集と信頼性がさらに向上します。
- 拡張計測機能やユーザー提供データの活用など、より高度な設定が利用可能になります。
- 4月10日のアップデートを待たずに、すぐに計測の改善が可能です。
- Googleタグの動作が遅延しづらくなります。
・デメリット:GTMでの設定作業が必要なため、多少の工数が発生します。
まとめ:今後のGTM運用は「Googleタグをいつ・どう発火させるか」の設計が重要に
2025年4月のアップデート以降、Google広告を使ったコンバージョン計測や、Floodlightによるキャンペーン評価を行っている場合は、手動でのGoogleタグ設定が推奨されます。
自動対応だけに任せず、自社の計測要件に応じて明示的なタグ設計を行うことが、精度の高いデータ活用に繋がります。
設定の見直しや実装例が必要な方は、お気軽にご相談ください。
Chris Vu 氏
※この記事は、弊社の子会社であるSparkline社のシニアテクニカルインテグレーションコンサルタント(Senior Technical Integration Consultant)、Chris Vu 氏による英語記事を翻訳したものです。
元の記事はこちらをご覧ください。
※この記事は、弊社メンバーも共同で編集しました。原文とは一部内容や表現が異なる箇所がありますので、あらかじめご了承ください。
追記(ジャスパー):Googleタグとリマーケティングタグの関係について
今回の仕様変更により、Googleタグが持つ機能の中に一部リマーケティングタグと同様の挙動(例:オーディエンスリストへの追加)も含まれますが、完全に同一ではありません。
リマーケティングタグには、リスト条件の柔軟な設定や一部の広告機能への連携など、Googleタグだけでは代替できない役割もあるため、今後も両者を併用するケースは継続されると考えられます。
また、併用した場合でも、同一ユーザーが二重でカウントされることはありませんので、安心して設定可能です。