デジタルマーケティング戦略には欠かせない、Googleアナリティクス 4(以下、GA4)を中心としたGoogleマーケティングプラットフォーム(以下、GMP)。
2024年も多くの変化があった。
2024年に起きた、100件を超えるアップデート内容を、各ツール/データ活用カテゴリごとに集約・分析していくと、時代背景を捉えた進化が見えてきた。
その進化の内容と、2025年の活用に向けた展望について、アユダンテコンサルタント陣が解説していった。
- 【第一部】2024年、GMPを取り巻くデジタルマーケティングの業界において、どのような潮流があったのか?振り返りと総括
- 【第二部】2024年、GMPでは どのようなアップデートがあったのか?重要なトピックをピックアップして詳細解説
- 【第三部】時代背景やアップデートを踏まえ、来年に向けて我々は何をすべきか?2025年への展望
【第一部】2024年、GMPを取り巻くデジタルマーケティングの業界において、どのような潮流があったのか?振り返りと総括
第一部では、弊社中村より、2024年 デジタルマーケティングの業界において、どのような潮流があったのか?以下の3点をポイントに挙げ、振り返っていった。
1.プライバシーとデータガバナンスに対する意識の変化
2.ITPや3rd Party Cookie規制による、計測データの欠損
3.ユーザーのオンライン行動の変化への対応
GMPコンサルティング事業部 シニアソリューションコンサルタント 中村晃
上記3点の外的要因に加え、Googleアナリティクス自体にも大きな変化があったことを述べた。
ユーザーのオンライン行動の変化へ対応すべく、セッションベースでの計測であったユニバーサルアナリティクスの終了と、多様化する環境に合わせ、ユーザー単位のデータ行動を追える仕組みに進化したGA4への切替えだ。
昨今話題になっているAI活用についても 以下2点について、触れられた。
1.Cookie規制、GDPRの対応として必要になってきたCookie同意バナーで、同意を拒否したユーザーの計測集計に対する課題(データ欠損)や、オンライン行動の多様化による部分的な計測の課題に対して、機械学習を使った モデリング集計を行えるのがGA4の特徴であること。
2.Google全体でいうと、GoogleCloud上のBigQueryではGA4のデータを使って予測モデリングをしたような分析や、チャット型AI機能に特化した機能が提供されており、さらに高度な分析を行えるようになっていること。
【第二部】2024年、GMPでは どのようなアップデートがあったのか?重要なトピックをピックアップして詳細解説
GMPコンサルティング事業部 チーフソリューションコンサルタント 藤田佳浩
第二部では、弊社藤田より重要なトピックについて解説した。
「計測」・「集計」・「分析」・「活用」というスペックに加え、「プライバシー」と「ガバナンス」というカテゴリーを追加し、どのようなアップデートがあったのかを分析。
2023年に比べ、「計測」、「集計」、「プライバシー」、「ガバナンス」のアップデートが目立っていることが挙げられ、その中でも特筆すべき内容について、事例を交えて詳しく解説していった。
成熟しきったユニバーサルアナリティクスに追いつくために、GA4は過去との整合性を保ちながら機能拡充し、未来に向けて プライバシー対応、Cookie欠損への対応(機械学習)などが交差したような年が2024年。
また、社内でデータを取り扱う人たちが増えている中で、データの権限や設定管理をどのように統制するのか、ガバナンスに関わるような機能も目立っていたことにも触れた。
【第三部】時代背景やアップデートを踏まえ、来年に向けて我々は何をすべきか?2025年への展望
第一部~第二部で解説した、時代背景やアップデート内容を踏まえて、2025年に向けて何をすべきか?弊社のプンとアドバイザーの杓谷を加え、パネルディスカッションが行われた。
デジタルストラテジーディレクター 杓谷匠(右から二番目)
GMPコンサルティング事業部 ソリューションコンサルタント 兼 事業推進担当 プン ジャスパー(左から一番目)
まず、現代のマーケティング活動に影響を与える、世界中で強化されるプライバシー問題に関しての3つの主要な法律について。
1.GDPR(一般データ保護規則)
Cookieは個人情報として扱われるため、ユーザーの同意なしにCookieを使用することはできない。これにより、欧州経済領域(EEA)からのアクセスに対しては、Cookieの利用許可を求めるバナーが必須となる。
2.日本の個人情報保護法
ブラウザによる3rd Party Cookieや1st Party Cookieの規制が進んでおり、これによりコンバージョンデータや参照元情報が削除される。補完するために、ハッシュ化したメールアドレスなどのユーザー提供データをGoogleやMetaにアップロードする必要がある。これにはユーザーの同意が不可欠であり、プライバシーポリシーの改訂も求められる。
3.電気通信事業法
現時点では通信事業者やSNSなどのプラットフォームが対象だが、Cookieを含む個人情報が外部に送信される際には、事前にユーザーに通知または公表する必要がある。
上記を踏まえ、日本国内における Cookieの取扱いに関する規制強化について、今後対応していくべき準備についてが議題となった。
現時点では 日本のウェブサイトは欧州からのアクセスのみに同意取得バナーを表示する必要があるが、3年単位で見直しが行われると言われている個人情報保護法が GDPRの影響を受け、日本のアクセスにも同意取得バナーを表示させる必要が出てくる可能性がある。それに備えて同意管理プラットフォーム(以下、CMP)の準備が必要となる。
ただし、CMPはユーザーのCookie同意のステータスを管理しているだけのもの。Cookie同意バナーで同意を得られなかった場合は データ欠損となるため、CMPと連動してGoogleの同意モードで計測の対応をしなければならない。
更に、GA4でそのデータを補完するモデリング機能を使って、データ集計をする必要があるようだ。
広告関連にも話は広がり、データ欠損を補完する機能として、拡張コンバージョンについて挙げられた。
アップデート内容でピックアップされた GA4のユーザー提供データと拡張コンバージョンは同じような仕組みとなるため、両者を理解することが重要だそうだ。
広告タグなど、様々な計測タグを 一元管理するGoogle タグマネージャー(以下、GTM)でも、サーバーサイドGTMという言葉を目にする機会も増えてきた。
GTMは、広告タグや計測タグを一元管理するツールで、ブラウザーで動作し、サーバーサイドGTMはサーバー側(Googleクラウドサーバー)で動作する。
サーバーサイドGTMには、ブラウザの通信におけるプライバシー保護やPII(個人識別情報)データの管理、Cookie保持期間の延長など、プライバシー・データガバナンスの観点においていくつかの利点がある。ただし、サーバーサイドGTMはITP対策のために作られているものではないため、将来的に規制の対象となり得る。現段階での、広告やGA4の計測精度が高まる一つのツールとして理解しておくと良さそうだ。
2025年以降は、今まで広告の3rd Party Cookieに頼っていた部分について、マーケティング活動を拡大していくために ユーザーの許諾を取った上で機械学習も活用しつつ、1st Party データの拡充が必要となりそうだ。GA4を中心に、広告やBigQueryなどのツールも、機械学習のさらなる機能進化が期待される。
これらの準備は容易ではないが、まずは 情報収集をはじめとした準備が大切であるとの見解を述べて、セミナーを終えた。