GA4の機械学習をもっと活用するためのチェックポイント
2024年12月3日
ライター:吉成 かすみ

GA4の導入やUAからの移行が終わってからしばらく経ちました。そろそろ運用や実装面の見直しフェーズに来ている企業もあるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、GA4が日々強化している「機械学習を使った機能」の恩恵を受けることにフォーカスして、見直しのポイントをいくつか挙げてみたいと思います。

  1. GA4に「理解してもらえる」実装になっているか?
  2. 連携ツールの設定がチェックできるようになっているか?
  3. 機械学習を広告配信に活用する準備ができているか?
  4. モデルを使ったデータ補完に対応できているか?
  5. さいごに

GA4に「理解してもらえる」実装になっているか?

まずは計測データを確認しましょう。推奨イベント名・推奨パラメータ名を使った実装になっていますでしょうか。

GA4はイベント名とイベントパラメータ名を指定してイベントを計測する必要があります。
自サイトが「拡張計測機イベント」「推奨イベント」をなるべく使って計測できているか確認しましょう。
自由に命名できる「カスタムイベント」「カスタムパラメータ」を安易に使いがちですが、自分で決めた名前はGA4には伝わりません。そのため、GA4が機械学習モデルを作る過程で「このサイトはこういうイベントを計測している」という判断をするときに使える材料が減ってしまうことになります。

特に日本語でイベント名やパラメータ名を付けている実装は、推奨されません。
日本語で設定するとLookerStudioやオーディエンスで利用としたときに上手くいかないなど、利用していく上で良くない点も見つかっています。
確かに日本語の方がレポートを見た時にわかりやすいかもしれませんが、それは「人間(日本人)がわかりやすい」だけであって、ツール(英語圏で開発されたプログラム)には理解されません。



以下の公式ヘルプに命名規則のルールが載っています。必ずこの内容に沿って実装しましょう。

公式ヘルプ:[GA4] イベントの命名規則

☆チェック☆
推奨イベント・推奨パラメータをなるべく使って計測しよう。日本語は利用NG!

連携ツールの設定がチェックできるようになっているか?

GA4はGoogle広告、DV360、SA360、CA360などさまざまなツールとの連携が可能です。これらのツールを連携していると改善点についてGA4の画面上で提案してくれます。

2024年を通して、GoogleはGA4画面上の最適化案について以下のような機能アップデートを行っています。

  • 2024年11月:Google Merchant Center で不認証の商品に関する最適化案
  • 2024年10月:ディープリンクの不適切な設定に関する最適化案
  • 2024年8月:ディープリンクが未設定である場合の最適化案
  • 2024年4月:ディスプレイ&ビデオ 360(DV360)のリンクに関する最適化案
  • 2024年1月:Google Play Console の最適化案

もちろん人間が直接ツールの設定を細かく見るのが一番正確ではありますが、運用を支援する簡易的なチェックツールとしてGA4が貢献していくかもしれません。

☆チェック☆
連携できる各種ツールはなるべく連携しておこう。対応が必要な内容のヒントをくれる!

機械学習を広告配信に活用する準備ができているか?

設定チェックの観点とは別で、データから施策をシームレスに改善していく手段として、Google広告関連の製品を連携しておきましょう。

特にGoogle広告とGA4を連携することで、GA4上で設定した条件に沿った行動をしたユーザーに広告配信ができる点から、施策の幅が広がります。
それだけなら機械学習は関係ありませんが、GA4の機械学習を使った「予測指標」「予測オーディエンス」機能を使うことで今後7日以上に商品を購入してくれそうな人・サイトを離脱しそうな人など、「~しそうな人」への広告配信が可能になります。

予測指標・予測オーディエンスを使うには、「サイトに一定量の流入があること」「指定の推奨イベントが正しく計測されていること」が条件になります。

公式ヘルプ:[GA4] 予測オーディエンス
コラム:【GA4】オーディエンスの機能をマスターしよう!

現在は主にeコマースサイトを想定した機能ですが、今後他のカテゴリのサイトにも拡充される可能性はあるかもしれません。
すべてのサイトで利用できるわけではありませんが、条件を満たすサイトで施策の幅を広げたいときはぜひ予測指標の活用を検討してみてください。

☆チェック☆
機械学習を施策に活かすには「Google広告との連携」「条件に一致した計測」が必要!

モデルを使ったデータ補完に対応できているか?

Cookie同意ツールの導入、ITPをはじめとするファーストパーティCookieへの対応などで、ユーザーをCookieベースで特定するという動きはマーケティング全体として難しくなってきています。
GA4ではその対策の一貫として、「計測できなかったデータを機械学習で補完する」という機能を強化しています。

この点でチェックしておきたい設定がユーザー識別子です。
GA4ではユーザーを特定する方法として3パターンの設定を用意していますが、モデル化データが利用できる「ハイブリッド」に設定しておくことでCookieが利用できなかった場合でも機械学習を使ってデータを補完します。
この機能を使いたい場合、ユーザー識別子が「ハイブリッド」になっているか確認しましょう。

特にキーイベント(コンバージョン)がどの参照元に紐づけられるかはGA4利用者の最も多くが見ているデータではないでしょうか。
セッションの参照元/メディアなどを使ってキーイベントレートを確認する機会がかなり多いと思いますが、「Cookieでユーザーを特定できなくなる」ということは「どの広告がコンバージョンにどれくらい貢献したかを計測するのが難しくなる」とも言えます。

Googleはキーイベントの発生回数やアトリビューションについて、モデルを使ってこの課題を解決しようとしています。

公式ヘルプ:[GA4] 同意モードの行動モデリング
公式ヘルプ:[GA4] 推定キーイベントについて

GA4で重要なイベントはキーイベントとして登録しておくことで、この推定モデルの対象になる可能性が出てきます。サイトのKPIになるイベントは正しく計測し、キーイベントとして登録しておきましょう。


ちなみに、GA4ではツール連携されている広告関連の流入の一部が期待通りに分類されなかった問題がありましたが、アトリビューションの修正・改善に取り組んでいます。
関連するアップデートは2024年多くありましたが、引き続き2025年もアップデートが出てくると思いますので最新情報は常にキャッチアップしておくと良いでしょう。

☆チェック☆
モデル化データを活用する設定をしておこう。ユーザ識別子・キーイベントの登録を確認。

さいごに

2024年は生成AI・対話型AIなどの台頭が目覚ましい年でした。GA4に限らず、機械学習を意思決定にどこまで・どのような形で取り入れるかは今後さらに重要になってくるでしょう。

特にモデルがブラックボックスな場合、「ロジックが説明できない数値」をどう解釈するか・どこまで信用するかを判断する必要性が出てくるのはデータを扱う担当者として意識しておかねばならない点ではないでしょうか。
(GoogleはGA4で利用されている各種モデルについて、信頼値やモデル精度のような数値は公表していません。Googleが高い信頼性があると評価したモデルのみが利用されます)

必ずしも機械学習を使った値が正しいというわけではなく、「実際に計測された値だけを重視するか」「取れるデータが少なくなる中で推定によって補完していくか」、自社の方針としてどちらを取るか検討を進めていく必要があるかと思います。
GA4を扱うには単なる数値への理解だけでなく、このようなウェブ・マーケティング・最新技術に関する議論が必要になってきますので、ぜひ来年からのアップデートも気にしてみてください。

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この記事を書いた人
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吉成 かすみ
シニアカスタマーサクセスコンサルタント
兼 アシスタントマネージャー
設計〜実装〜レポーティング〜サイト改善の一通りの業務を経験。制作会社や広告代理店、ECサイトやオウンドメディアの担当者など、支援側と事業側の両方の経験を活かしてコンサルできるのが強み。趣味はゲームとお酒とYouTube。
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