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2024年6月19日(水)~21日(金)に沖縄の読谷村で開催された「マーケティングアジェンダ 2024」に参加しメインステージでのセッションに登壇しました。
『大規模組織のデータ計測ガバナンス~GA4有料版を使ったSUBARUの取り組み~』と題して株式会社SUBARU様と取り組んだ事例を、株式会社SUBARU(以下SUBARU)様の荒木様、迎様をお迎えしてトークセッションで発表し大きな反響を呼んだ模様をレポートします。
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例年は5月に開催されるのですが、今年は会場であるホテルのリニューアルに伴い6月の開催となりました。
リニューアルとあって、ロビーや客室はもちろんプール等の各施設も一新され、自然と新たな気持ちで参加することができました。
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トークセッション「大規模組織のデータ計測ガバナンス~GA4有料版を使ったSUBARUの取り組み~」
弊社、藤田とSUBARU様のIT戦略本部 ITインフラ部 Webガバナンスグループ 主査の荒木様、同じくIT戦略本部 ITインフラ部 Webガバナンスグループの迎様とのトークセッションでは、大規模組織の計測、分析環境の構築とそのガバナンスをどのように実践しているかについて詳しく紹介いたしました。
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SUBARU様は1953年に創業され国内だけでなく国外、特に北米でのシェアも大きくグローバルに展開されています。
そのような中、国内だけでも関連企業や販売店も含め、グループ全体で約200以上のウェブサイトを運用しています。
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SUBARUの荒木様からは、この膨大な種類のウェブサイトの運営における課題から解決にあたり取り組んだ内容を紹介いただきました。
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SUBARUグループWebサイトの課題
約200以上のウェブサイトがあり、かつ現在も増え続けている中で様々な課題を抱えていました。ウェブサイトごとにCMSやインフラ環境がバラバラであり、セキュリティレベルや運用ルールが統一されていませんでした。
上記課題の対応やWebガバナンスの強化の観点から
- 全ウェブサイトを安全・セキュアに運用すること
- 運用しているウェブサイトや利用している各種サービスを資産として捉え最適化、活用する
このディフェンシブ、オフェンシブの両面を担うというミッションのもと活動するWebサイト運営事務局が発足しました。
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Web基盤集約/データ計測一元化の取り組み
今回のセッションではその中でも「Web統合基盤」と「アクセス解析」の取り組みについてフォーカスを当て掘り下げてSUBARUの迎様よりお話いただきました。
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CMSやAWSといったクラウド基盤の統合に加え、行動データ計測も統合基盤を構築し、それをGoogle アナリティクス 4の有料版で実現されています。
まず、200以上あるグループ全体のサイトをひとつの分析環境にまとめるためにGoogle Tag Manager(以下GTM)で統合計測環境を構築し、サイトごとにGoogle アナリティクス4(以下GA4)のレポートが見られる環境を構築しました。
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まず、計測環境ですがこれまで各社が個別に計測していた広告タグなど統合環境に共存させ全体を管理していくということが必要でした。
そこでGTM有料版の機能である「ゾーン」を利用し、統合用のGTMに各社個別のGTMをぶら下げるような形で連携を行うことで、権限管理やタグの設置範囲など統合して管理しています。
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次に計測したデータを見るために、前提としてGA4有料版を使うように周知しました。これによりSLAやサポートが受けられる体制を作ります。
そして、セキュアな環境構築と情報のバラつきをなくすために以下3つの取組を行っています。
- 外部のパートナー含めレポートへのユーザー登録
- プロパティに対して役割に応じた権限レベルの設定
- アップデート情報や機能変更のアナウンスや設定対応
この運用方針の元、まず社内と関連会社・販売店に分けて管理いたしました。
社内のウェブサイトは横断して分析できる統合用プロパティを作りそこからサイトごとにプロパティを分け、権限付与や必要な設定を行なっています。
これはGA4有料版の機能である「サブプロパティ」を利用しています。無料版では統合用のプロパティから必要なデータだけ抽出しプロパティを作成することができません。
「サブプロパティ」を使うことで必要な人に必要なデータだけを閲覧してもらいかつ、権限も集中管理することで、よりセキュアな環境でレポートを使うことが可能になります。
関連会社・販売店は当初、統合用プロパティに入れる予定でしたが、コスト面と各社のサイト運営の目的などに鑑みて現在は個別のプロパティで対応しています。
今後、時間をかけてコスト面や目的など明確にしていき統合の検討をしていくよう考えています。
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そして苦労話へ
内容だけ見ると簡単そうですが、このような環境を構築するまでに相当な苦労がありました。
ウェブサイトや計測といった関係上、多少なり専門的な知識などが必要となります。そのため説得や説明の理解が得られにくかったり、費用対効果の認識合わせに時間がかかったりとトークセッションならではである生の声も聞くことができました。
カンファレンス参加者の中にはこの苦労話にうなずいていらっしゃる方もいたことは印象深いものがありました。
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トークセッション後は同様の課題や悩み、取り組みを行なっている関心の高い多くの方にお声がけいただき、様々な視点でのディスカッションができたことに今回のセッションの反響を実感することができました。
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今後もSUBARU様の課題や取組に対して、またGMP(Google マーケティングプラットフォーム)の上でデータ活用など引き続きご協力させていただければと考えています。