2024年6月19日(水)に日本でのMicrosoft 広告開始2周年を記念した、「Microsoft 広告2周年記念パーティー&Microsoft 広告 Agency Award 2024」が開催されました。
日本マイクロソフト株式会社 Regional Vice President Japan Microsoft Advertisingの有園雄一氏と同社で業務執行役員 エバンジェリストの西脇 資哲氏が登壇し、AIとMicrosoft 広告の展望について話されました。
本コラムでは有園氏と西脇氏が話された内容の中で、特に興味深かったAIを活用した広告やマイクロソフトのAIについての取り組みを紹介します。
なお、Microsoft 広告 Agency Award 2024の内容はこちらのコラム(https://ayudante.jp/column/2024-06-26/15-00/)にまとめています。
- 2024年はAI飛躍の年!Copilotの利用は急速に拡⼤
- Copilotに掲載される広告は、⼀貫して優れたパフォーマンスを発揮
- CopilotがBingモバイル検索を促進
- 生成AIは根付く!最近の大学生は100%生成AIを使っている?
- AI活用におけるマイクロソフトの取り組み
- まとめ
2024年はAI飛躍の年!Copilotの利用は急速に拡⼤
はじめに有園氏が登壇し、直近のMicrosoft 広告の動向とAIについて紹介しました。
2023年12月に正式に提供を開始したCopilotの利用率は急速に拡大しており、四半期ごとにチャット量が倍増しているといいます。
世の中のAIへの関心もここ数年急激な高まりを見せており、2022年から2023年にかけてAI関連の検索が566%の増加となっているとのことです。
Copilotに掲載される広告は、⼀貫して優れたパフォーマンスを発揮
これまでMicrosoft 広告は、インライン テキスト広告・ショッピング広告・マルチメディア広告などの広告フォーマットをCopilotのチャット内に表示するテストを行ってきました。
チャット内の広告は、検索広告よりも1.8%高いCTRとなっていて、優れたパフォーマンスを発揮しているといいます。
それだけではなく、Copilotの広告と検索広告を組み合わせることで平均CTRが30%増加するなど、ユーザーのエンゲージメント向上にも繋がっているとのことです。
CopilotがBingモバイル検索を促進
Copilotのローンチ以降、Bingモバイルアプリのインストール数は4倍以上に増加しており、Copilotがモバイル検索を促していると述べました。
Bingモバイルアプリのインストール数が急増した結果、Copilotのチャット検索の約64%がスマートフォン経由で行われているとのことです。
今までBingはパソコンでの検索がほとんどを占めていたため、Microsoft 広告で主にリーチできるのはパソコンユーザーというイメージでしたが、Copilotにおいてはモバイルユーザーの方が多いという状況から、今後はMicrosoft 広告のモバイルユーザーへのリーチ数増加が期待されます。
生成AIは根付く!最近の大学生は100%生成AIを使っている?
ここからは業務執行役員 エバンジェリストの西脇氏が語った内容をご紹介します。
西脇氏は、生成AIとはどのようなものか生成AIが私たちの仕事をどのように変化させるかなどを紹介しました。
生成AIとは、ニューラルネットワーク(Deep Neural Network)や生成的敵対ネットワーク(GANs)などの高度な技術を駆使して、新たなデータやコンテンツ(テキスト、画像、音声など)を生成する技術で、最大の特徴は「自然言語で指示し、自然言語で対話できる」点にあるとのことです。
この特徴によって、利用するにあたって特別な技術が必要ないため誰でも使うことができ、大学生に至っては、生成AIを使ったことがない人がいないほど浸透していると述べました。
また、生成AIの特徴として「人間の言葉(自然言語)に対し、AIが自然言語で答えを返し、対話を行うことが可能」な点と「自然言語での対話の中で、意訳ができる」点があると紹介しました。
生成AIは、自然言語での対話と意訳が可能なので「仏滅は結婚式場の費用が安いという意味を日本の文化を知らない人でも分かるように英語に訳してください。」といった意訳+翻訳が可能になるといいます。
翻訳だけであれば、従来の翻訳機能でも可能ですが意訳までできるのは生成AIの強みといえると述べました。
AI活用におけるマイクロソフトの取り組み
CopilotはMicrosoft 365に搭載されている
既にCopilotなどの生成AIを利用して自然言語で「ドキュメントの要約をしてほしい」「資料のたたき台を作ってほしい」などの日常業務において利用している人も少なくありません。
CopilotはMicrosoft 365に搭載され、資料作成に利用されるWord・Excel・Power Point内で利用することができるようになっています。
Wordで資料を作成しながら、原稿案に困ったらCopilotに「原稿案をいくつか作って」とリクエストしたり、Excelファイルでダウンロードしたデータをグラフ化したい時には、Copilotに「このデータをグラフ化して」とリクエストしたり、よりシームレスにCopilotを活用しながら日々の業務の中で生成AIを活用するような仕事の仕方ができるようになるとのことです。
Microsoft CloudとAIの信頼性
すべてのお客様にCopilotを安心して利用してもらうための、マイクロソフトの取り組みについても説明されました。
以下はマイクロソフトの生成AIに対する原則です。
~責任あるAIの原則~
・お客様のデータはお客様のもの。
・お客様のデータはAIモデルの学習には利用されません。
・データは高度なエンタープライズコンプライアンス、セキュリティ制御によって保護されます。
また、昨年9月にはマイクロソフトの既存の知的財産保護義務をコマーシャル向けのCopilotサービスにも拡大する「Copilot Copyright Commitment」が発表されました。
この新しいコミットメントは、Copilotの生成物について第三者が著作権侵害でお客様を訴訟した場合、マイクロソフトが弁護し和解金を支払うことを意味します。
まとめ
昨年の1周年記念パーティーに続き、2年連続で周年記念パーティーに参加させていただきましたが、今回の2周年記念パーティーはAIに関する内容がかなり増えたように感じました。
有園氏と西脇氏の話の中に頻繁に出てきたCopilotは、マイクロソフトが今後も注力していくものであることは間違いありません。Copilotのような生成AIは「自然言語で指示できるから誰でも使える」ため、一時のブームで終わらず根付くものであるという話に大変共感しました。
インターネットが人々の生活に根付きインターネット広告が始まったように、生成AIが根付けば生成AIの中に広告が表示されるようになるのは必然的な流れだと思います。生成AIが人々の生活の中に根付いた未来を見据えて、既にCopilotの中で広告を表示させるテストを行い、ポジティブな結果を出しているという話は大変興味深く、今後のMicrosoft 広告の広告フォーマットの発展に期待を持ちました。
今後もMicrosoft 広告の動向に注目し、新しい情報を発信していきたいと思います。