生成AI時代のマーケティングマイクロソフトCopilotの衝撃を読んで学んだこと、考えたこと。
2023年11月24日
ライター:岩瀬 真理

2023年10月26日に日経BPから出版されたマイクロソフト「Copilot」の衝撃 生成AI時代のマーケティングを読んでみました。

本書では、生成AIがマーケティングや広告に与える影響が具体的に書かれており、生成AIについての学びと自身の仕事への影響について考えさせられる内容が多かったです。

本書で学んだこと、感じたこと、今後に活かしていく事など自身の記録の意味もこめてご紹介させていただきます。

  1. この本をおすすめする人
  2. おすすめの章
  3. 今後のマーケターはプラグイン・プロンプト・ツール(サービス)をどれだけ活用できるかが鍵?
    1. データの整形だけでなくインサイトまで出してくれるプラグイン
    2. すでに生成AIは実用レベルのマーケティングを加味した構成案を作成できる
    3. コンテンツ作成のスピードとふり幅を格段に上げる生成AI
  4. 生成AIの活用を前提としたファーストパーティーデータの設計が今後の要になるか
  5. 生成AIのリスクと対策
    1. 知的財産権の侵害
    2. プライバシーの侵害
    3. MFAサイトでの生成AIの活用
  6. まとめ

この本をおすすめする人

マーケター、デジタル広告運用者、クリエイティブデザイナー、クリエイティブディレクター、事業会社のマーケティング部の方々の仕事に関わる内容となっていると感じました。

おすすめの章

本書は第三章まであるのですが、その中でも個人的に第2章はおすすめしたい内容になっています。

第2章 AIによるマーケティングの劇的な進化
 1節 AIの進歩による人々のネット行動の変化
 2節 AIはマーケティングにどのような影響をもたらすのか
 3節 AI時代にマーケターや企業に求められるものは?

今後のマーケターはプラグイン・プロンプト・ツール(サービス)をどれだけ活用できるかが鍵?

マーケティング業務におけるAIに限っても多数あり、知らなかったものがほとんどでした。

クライアントのプロダクトを理解する為にBing Chat(11月15日より”Copilot”に名称変更 )に様々な質問を投げ壁打ちしたり、広告文案を複数出してもらいその中から良いものを選び、更に自分なりに修正して実際の提案に活用するなどは行っていましたが、それはほんの一部にすぎませんでした。

本書を読んで、自身の実務に活用できるプラグイン・プロンプト(質問するための命令文)・ツール(サービス)を新たに知りましたが、これらをどれだけ知っていて、活用しているのかが今後のカギとなると強く感じました。

その中でも特に印象に残ったものをご紹介させていただきます。

■データの整形だけでなくインサイトまで出してくれるプラグイン

ChatGPTの公式プラグインのCode Interpreterは、ChatGPT上でファイルのアップロード・ダウンロード等を可能にします。

この機能を活用し、例えばサロンの会員に対するアンケートデータをChatGPTにアップロードし、テキストで指示を出すと例えば「性別・年代と利用回数の関係性」をグラフ付きの分析結果だけでなく、このデータの解説や活用方法まで提案してくれます。

今までは出したいデータを自分で整形から行う必要があったため、大幅な時間短縮になります。

マーケターは生成AIが出した分析データと解説・活用方法を吟味し、施策立案・実行をスピーディーに進めることができます。

■すでに生成AIは実用レベルのマーケティングを加味した構成案を作成できる

本書ではテレビCMの構成案や台本を生成AIが作成した事例が紹介されており、生成AIがどれだけマーケティングを加味した構成案の作成に活用できるのかが伺えました。

しっかりプロンプト(質問するための命令文)にターゲットやサービスの強み・特徴を記載したうえで、構成案の作成の指示出しをすると、ある程度のものが出てきます。

それに対して、直してほしい箇所を指示出しし、微調整を数回繰り返すと活用できるレベルの構成案が出てくるのです。

具体的な構成案作成の流れは本書に記載があるので、ぜひ確認していただきたいですが、YouTube広告などの動画広告の構成案を作成する際などにも活用できると思います。

■コンテンツ作成のスピードとふり幅を格段に上げる生成AI

本書ではマーケティング領域で最も生成AIの影響が大きいのがコンテンツ生成の領域であると述べられています。

確かに生成AIは自動的にテキスト、画像、動画を自動的に生成できるため、コンテンツ作成の時間とコストを大幅に削減することができます。

本書で紹介されているサービスをいくつかあげると、OpenAIのDALL-E2(ダリ・ツー)、Stability AIのStable Diffusion(スティーブルディフュージョン)、MidjourneyのMidjourney(ミッドジャーニー)は、テキストで作成したい画像のイメージを伝えるとすぐさま画像を生成してくれます。

(また、これらは同じ指示を出しても、それぞれテイストが違うものが生成されるので、それぞれの特徴に合わせて使い分けるとよいでしょう。)

指示の出し方次第では、人が思いつかないようなクリエイティブを作成することもできるため、クリエイティブの幅を格段に広げることにもつながります。

上記のようにかなりのスピードで新しい生成AIが出てきており、マーケターや広告運用者、クリエイティブデザイナー、クリエイティブディレクターの方などは明日にでも自分の仕事に取り入れられる生成AIが多いのではないでしょうか。

そして今後も速いスピードでマーケティング業務をカバーする生成AIが出てくるとのことです。

生成AIの活用を前提としたファーストパーティーデータの設計が今後の要になるか

2章3節のAI時代にマーケターや企業に求められるものは?は事業会社の方にもぜひ読んでいただきたい内容となっています。

企業による自主規制でサードパーティーCookie規制が始まる中(Googleはブラウザchromeにて2024年後半からサードパーティーCookieのサポートを廃止することが決まっている)、ファーストパーティーデータ(企業が独自に収集した顧客に関するデータ)の重要性が高まっています。

ファーストパーティーデータは企業が顧客に対して直接収集したデータなので、信頼性は高く、顧客のニーズや趣味嗜好などが反映された良質なデータです。

そのため、このデータを活用しパーソナライズされた顧客とのコミュニケーションをすることで顧客満足度向上、売上向上につなげることができ近年注目が高まっています。

生成AIは大量にコンテンツを作成できますが、ただ単に作らせては藪から棒に大量のコンテンツをユーザーに届けることになってしまい非効率的です。

しかし、ファーストパーティーデータを基にして生成AIに作らせれば、個々人に効果的に届けるためのパーソナライズされたコンテンツ作成を実現することができます。

今後は”ファーストパーティーデータとAIを掛け合わせたシステムがマーケティングの様々な場面で活用されていく”とのことです。

AIで実現したいターゲティングやパイパーパーソナライゼーション(顧客の行動データをリアルタイムで収集し、要望やニーズに応じて製品やサービス等、顧客体験をユーザー一人ひとりによってカスタマイズする)を起点に、蓄積・活用すべきファーストパーティーデータの設計を考えていく流れになるだろうと本書では語られています。

生成AIのリスクと対策

本書では生成AIがもたらすメリットだけでなく、リスクについても述べられていました。

個人的に調べたものも含みますが、以下の3点は生成AIを利用する上で最低限理解しておく必要があると思いましたので紹介させていただきます。

■知的財産権の侵害

生成AIが登場してからそれほど時間が経っていないため、インターネットのデータを学習して、著作物を作成することはフェアユースであると主張する人もいれば、そうでないと主張する人もいます。

今後、数年の間に法的な位置付けがはっきりすると思いますが、それまでは既存の法律をどう解釈すべきかがポイントとなるとのことです。

文化庁が令和5年6月に開いた著作権に関するセミナ―にて、AIと著作権の関係についての基本的な考え方が発表されていますので、こちらを確認いただくとよいかと思います。
令和5年度著作権セミナー「AIと著作権」の講義資料

■プライバシーの侵害

ChatGPTの利用における個人情報漏洩問題が大手企業でも生じて話題になっています。

Open AIは、”ChatGPTや他のサービスに投稿されたデータは、AIモデルの改良のために利用することがある”と述べています。

より精度の高い会話ができるように、ユーザーが入力した内容を保存するだけでなくそれらを学習し、今後の回答に反映するような仕組みになっています。

そのため、機密情報を入力した場合、その情報が回答に利用され思わぬところで機密情報が流出する可能性があります。

~情報漏洩を防ぎ、安全に生成AIを利用するためのポイント~
1.機密情報を入力しない
そもそもChatGPTやBing Chatを利用する際には、機密情報の入力をしないようにしましょう。

業務で利用するのに機密情報の入力が不可欠な場合、次の2つの方法で情報漏洩を防ぐことができます。

2.Bing Chat Enterpriseの利用
Bing Chat Enterprise(11月15日より”Copilot”に名称変更 )は入力したデータが保護され、外部に流出することもなく、入力した履歴も残らないのでプライバシーを守りつつ安全に業務に利用できます。
詳細はCopilot公式ページをご確認ください。
Copilot公式ページはこちら

3.AIに学習されない設定の実施
ChatGPTでは、ユーザーが入力した履歴を残さずに利用できる設定があります。

設定すると入力したやりとりはAIを改良するための学習データとして使われないようになるため、情報漏洩のリスクがなくなります。(入力したデータがOpenAIに30日間保存される点は変わらない。)
設定方法は以下のブログにてご確認ください。
OpenAI公式ブログ:New ways to manage your data in ChatGPT

■MFAサイトでの生成AIの活用

MFAサイト(広告収入のためだけに作られた低品質なWebサイト)で生成AIが悪用されており、1日に何百本もの低品質な記事が自動的に生成されているとのことです。

これまでもMFAサイトは広告主の広告費を無駄にするとして問題視されてきましたが、生成AIにより更に自動化が進み低品質なサイトが量産されるようになりました。

マーケターはこれまで以上にMFAサイトの影響が出てくることを認識し、広告費の無駄遣いやブランドイメージの低下に繋がっていないかに注意していく必要があります。

まとめ

本書を手に取るまで、マーケターの仕事がAIに奪われるのでは?という不安もありましたが、そうではないことがわかりました。

生成AIは強力なアシスタント(助手)になってくれ、やるべきことに専念させてくれることがわかりました。しかし、それはAIを使いこなせるかどうかにかかっていると思います。

2章末のインタビューで、”AIが仕事を奪うのではなく、AIを使いこなす人に仕事を奪われる”のであると述べられており、本書を通してより深くその言葉の意味を理解していきました。

マーケティング業務の領域に幅広く生成AIは活用できるため、他の業種よりも生成AIを使いこなせるかどうかは大きく影響するでしょう。

また、良い面だけを取り入れるのではなく、プライバシーの侵害や知的財産権の侵害など生成AIが持つリスク面は人が判断し、対策したり守っていかなくてはなりません。

生成AIを本当の意味で有効活用するには、リスクヘッジするための知識も備えながら安全に利用していく責任もあります。生成AIが出した生成物(アウトプット)を選別判断するのは私たち人しかできないことを強く意識し、生成AIで行う領域、人が行う領域をしっかり自分の中でも確立していきたいと思いました。

その一歩として、まずは生成AIにはどんなものがあるかを知り、小さなことから利用してみてはいかがでしょうか。

採用情報はこちら

この記事を書いた人
$uname
岩瀬 真理
デジタル広告コンサルタント
不動産業務支援システムの新規営業から、自分の手でクライアントの利益に貢献したいと思い、広告代理店に転職。そこで、一通りの運用型広告支援を経験し、さらなるスキルアップを目指しアユダンテにジョイン。営業マンを経験しているので、たとえばBtoBでは営業マンさんがゴールを決めやすいように、リードの質にこだわっている。
最近書いた記事