Google アナリティクスは多くの方が無償版を気軽に利用できることで、メジャーなツールとなりました。
無償版の方が導入コストが低い一方で、企業としてより安心に・より高度に使いこなしていくには有償版をご検討いただいた方がよいケースもあります。
本コラムでは有償版である「GA360」のメリットや、どのような場合に必要になるかをご紹介いたします。
また、本記事については以下のYouTube動画でも解説しています。良ければこちらもご参考ください。
有償版と無償版の違い、有償版のメリット
ユニバーサルアナリティクス(旧GA)にも有償版・無償版の違いがありましたが、GA4ではその内容が変わっています。
主要な違いと有償版のメリットは以下のようなものがあります。
制限が緩和される
有償版では設定できるカスタムディメンション、コンバージョン、オーディエンスなどの上限数が引き上げられます。
公式ヘルプ:[GA4] Google アナリティクス 360(Google アナリティクス 4 プロパティ)
多くのサイトで無償版でも逼迫することはないかもしれませんが、大規模サイトやオーディエンスを利用した広告配信などを多く行っている場合、上限に余裕が出るので安心して運用できます。
特に影響が大きいのが以下の項目です。
・API割り当て:25,000/1日→250,000/1日
・BigQueryエクスポート:100万イベント/1日→数十億件/1日
・データ探索のサンプリングしきい値:1,000万件/クエリ→10億件/クエリ
ECサイト・アプリをはじめ大規模なサイト・アプリでは、データをある程度正確に集計・分析していくためには有償版の利用がほぼ必須となってくるでしょう。
データ保持期間の上限が延長される
有償版ではデータ保持期間の上限も延長されます。
・データの保持:最長14ヶ月→最長50ヶ月
保持期間が適用されるのは探索レポートのみですが、GA4では詳細な分析を行う場合は探索レポートの利用がほぼ必須となります。
たとえば「過去3年間のユーザー数推移」など遡ったデータを抽出する機会が多い場合は、無償版ですと集計がかなり難しくなります。
Googleの公式サポートが受けられる
無償版でGA4を使っていて疑問点が生じた場合、多くの方はインターネットや書籍で解決策を探しているでしょう。
Google アナリティクス コミュニティも用意されていますが、こちらの回答はほとんどの場合、あくまで有志のユーザーが自身の知見を通じてアドバイスしているものです。
また、自社のサイトの状況にピッタリ合った事象を見つけるのは難しいケースが多いでしょう。
GA4有償版では契約したリセラー経由で、Googleのサポートへ問い合わせができるようになります。
自社の計測状況・サイトに合わせた質問ができますので、困った場合の解決方法として最もスムーズです。
データガバナンスを考慮した有償版独自機能
有償版のみで使える機能として、「統合プロパティ」「サブプロパティ」がリリースされています。
これまで閲覧できるデータの範囲をUAのビューで区切っていた場合、これらの機能を使ってより柔軟にデータガバナンスに即した権限設定が可能になります。
代理店など社外の関係者が多い場合や、データの取り扱いを特に重視する場合には有用な機能です。
集計精度を上げる有償版独自機能
GAでは大量データの処理負荷軽減のため、サンプリング処理のかかったデータが表示されることがあります。こちらも主に探索レポートが対象となります。
無償版では回避方法がありませんが、有償版では前述の制限緩和でサンプリングがかかりづらくなると同時に、非サンプリングレポートのリクエストが可能になります。
また、GA4のレポートでよく見られるのは、計測される値の種類が多い場合、「(other)」行にデータが集約されてしまうケースです。
GA4ではこの集計処理を回避するため、「自動拡張データセット」「拡張データセット」という有償版限定の機能が用意されています。
これらの機能は、データ集計の精度を上げるのに有効な機能です。
SLAが適用される
GAでは有償版のみにSLA(Service Level Agreement)が適用され、万が一満たされなかった場合にはクレジットを受け取ることができます。
Google Marketing Platform – GA 360 Service Level Agreements
大規模な障害で計測に支障が生じた際など、不測の事態に備えておくことはビジネス上重要であると言えるでしょう。
ユースケース:こんな時は有償版が必要かも
中長期的なデータ分析をしたい
先に記載の通り、データ保持期間の影響を受けづらいため中長期的な分析が必要になる場合、有償版の検討をおすすめします。
商材の検討期間が長い場合、一定のサイクルでのリピートや長期的なエンゲージメントが重要になるビジネスの場合など過去のデータが重要になるケースは多くあります。
たとえば「最近商品を購入したユーザー」と「3年以上前に商品を購入してから使い続けてくれているユーザー」では、商品やブランドへのロイヤリティが違うでしょう。
それぞれの傾向差を分析し、コミュニケーションに違いを出していくにはデータの蓄積が重要になってきます。
蓄積されていくGA4のデータをマーケティング施策において資産と捉えるのであれば、数年前のデータを柔軟に分析できるような環境を整えておくことは重要でしょう。
集計データの精度を上げたい
前述の非サンプリングレポートや、(other)行を回避する拡張データセットの機能を使うことで、要約されたデータではなく計測値に近いデータの集計・分析が可能になります。
サンプリングがかかったデータでも傾向把握には利用できますが、たとえば売上金額など精度が重要になってくるレポートではより正確な傾向把握が求められる場合もあります。
特に「1年間のデータをいっぺんに集計したい」といった大規模な集計を行うケースがよくある場合、精度を求めるのであれば非サンプリングレポートが使える有償版を検討しても良いでしょう。
Looker StudioやBigQueryを活用したい
Looker StudioにAPI制限が適用されエラーが頻出・データ抽出が難しくなった時期がありましたが、その後制限は多少緩和・対策がリリースされました。
とはいえ、ダッシュボードの内容によっては無償版では難しい場合も見られます。
Looker Studioを多様している、重要指標の確認に使っているなど、Looker Studioの利用が重要になる場合は有償版を使う必要があるかもしれません。
また、Looker StudioでGA4のコネクタ経由だとセグメントが使えないなどの代替案としてBigQueryからLooker Studioにデータを抽出する場合もあります。
さらにBigQueryを使った生ログに近いデータの分析もGA4の魅力ですが、無償版の場合ですと上限に引っかかりエクスポートが停止してしまうケースもよくあります。
計測しているイベント数や1日あたりのアクセス数にもよりますが、特にEコマースやある程度の規模のあるサイト・アプリでは無償版の制限だと不足する場合が多くあります。
運用コストを下げたい
前述の通り、有償版ではGoogleのサポートを受けられる他、リセラーが用意している各種サポートを受けることもできます。
GA4はまだ発展途上のツールですので、新機能のリリースや仕様変更が頻繁に行われています。
通常のレポートを見る程度であれば問題ありませんが、計測されているデータを活用していきたいと思うほど詳細な計測仕様の理解が重要になってきます。
そうした際にGoogleやGA4専門家であるリセラーのサポートが受けられるのは大きなメリットのひとつと言えます。
不具合の情報などもいち早くキャッチアップできるため、リセラー・Google公式のサポートは運用コストの軽減策とも言えるでしょう。
まとめ
- 大規模サイト・アプリの計測をしたい
- 関係者が多い・グローバルでのビジネスなど、データガバナンスを重視して運用したい
- 長期的な分析や非サンプリングデータを使ってデータ重視の意思決定をしたい
- BigQuery・Looker Studioなどを使ったデータ活用を検討したい
こういったニーズがある場合、ぜひ一度有償版の利用をご検討ください。
アユダンテではGA4有償版について、以下のようなサポートをご提供しています。
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