2023年5月24日、DemandMarkets 株式会社が主催するSEOウェビナー#DemandLiveにコガンが登壇しました。今回は「SEO 5つの論点」というタイトルで、答えのないトピックについてディスカッション形式で進行するウェビナーでした。とても濃くて面白かったので、参加していた私が要点をコラムにまとめたいと思います。5つのトピックより、今回は最後のQ&Aセッションを取り上げます。
答えに悩む…様々なSEOの質問に回答!
今回のコラムは5番目のトピック「Q&A」です。事前に参加者の皆様からSEOに関する様々な質問をいただいていましたので、いくつかピックアップしてコガンが回答したり、室屋さんとディスカッションを展開しました。
1番目のトピック「ページネーション」はこちら
2番目のトピック「クロールバジェット」はこちら
3番目のトピック「サイトマップ」はこちら
4番目のトピック「E-E-A-T」はこちら
まずはUXに関する質問です。最近はUXとSEOが非常に密接な関係にあり、使いやすいサイト、アクションを起こしやすいサイト、読みやすいコンテンツなどがSEOの効果も出やすく、細かいタグのチューニングよりもUX面のチューニングが必須となってきています。
質問は「何から手を付けるべきか」
コガンさん:どこから手をつけるべきか、はデータを分析して決めるのが一番いいです。直帰率が異常に高いページや購入などコンバージョンに進む際に失敗しているページなど。
そして個人的にはSEOは考えずコンバージョンのところから見直すことが多いです。そこはアクションの意思があるのにこぼれている、つまりインパクトが一番大きいからです。
UXだけを直すことでSEOの順位が上がったという事例は海外にもたくさんありますので重要です。
次にCWV(Core Web Vitals)の質問に関して。
コガンさん:CWVはSEOへのインパクトが大きいという印象は全くなく、目に見えて遅かった場合に順位が落ちて、表示速度を速くしたらよくなったという事例があります。
細かい微調整をしても順位が上がった事例は見たことがなくて、CWVはSEOよりコンバージョンやUXで考えたほうがよく、事実レイアウトシフトがない、速い方がUX面では確実によいです。
次は今後について、話題のBingについての質問です。
補足しますと、BingというかMicrosoftの動きが広告含めて最近活発で要注目なのです。
デスクトップではありますが、Bingの利用もじわじわ増えており、気になる存在です。
「Bingは今後伸びるか」という質問
コガンさん:今の段階では何も予測できないです。Bingに注目する人も多いですが、ただの流行で終わるのか、またやはりGoogleに戻るのか、両者の使い分けが起こるのか今はわかりません。
ただBingやEdgeは日本での利用が多く、特にBtoBは会社のPCがEdgeで自動的にBingを使っているケースが多いのでBtoBサイトでオーガニック流入の20-30%がBingという数値を目にしています。BtoCはまだまだGoogleが多いです。
室屋さん:Bingのシェアが20-30%までいくサイトがあるということが日本ならではですよね。僕は以前Microsoftで働いていたのですが、まさかBingがそんなに伸びるとは思いませんでした。今は優秀な元同僚の方がBingチームに所属しているようでして、日本という大きなマーケットに力を入れているように感じています。
今後BingがGoogleを超えることはないと思いますが、0.N%でもシェアが増えれば金銭的価値は莫大です。2社はそういう戦いをしているので、勝ち負けとは関係なく小さな変化にも注意しておきたいですね。引き続きウォッチしつつ、やはりGoogleかなぁとも思っています。
次はグローバルSEOの事前質問です。
ここはコガンさんの得意分野、いったい何か国やりました?(笑
これら一連の質問に対して、
コガンさん:グローバルSEOはケースバイケースですが、事前にいただいたご質問の中で面白いものがありますので取り上げます。
いろいろな国のサイトがあってインデックスが中途半端で進まない、様々な国のページのインデックスが混在している、でもhreflangはちゃんと設定しているので実際の検索結果には正しい国のサイトが本当に出てきているのか?という内容です。
これは「出てくるはずです」とお答えしたいです。
複雑なので補足します。
例:US、UK、シンガポールがあって全部英語
-Search ConsoleではUSしかインデックスされていないように見える(URLの検査)
-実際シンガポールで検索したときにhreflangが設定されていればシンガポールのページがヒットする
-↑シンガポールのページはURLの検査上では正規URLがUSとして認識されている
-Search Consoleではインデックスされていない、重複ページ扱いという見え方でもhreflangが効いて正しい国が表示されることはよくある
-確認方法は実際その国の検索結果を確認する
→Googleで国と言語のパラメを追加してシンガポールから検索してみて
シンガポールのサイトが出ているかチェックする
Search Consoleでは一部はUSがインデックス、一部はUKなど混在することはありますが、各国の検索結果にちゃんと出ていれば大丈夫です。
次に特殊なケースとして、インドの例を紹介。
コガンさん:インドはUSのサイトが出がち、なぜかというとインドはまだ外部リンクが結構効いている国でアメリカはリンクが集まりがち、インドのサイトに自然な形で被リンクを獲得する必要があり、そこが集まるとhreflangが効くようになったりします。
そして、ブロックに関する懸念も。
コガンさん:シンガポールのサイトがUKで出てしまうなど他の国が出て困るからという理由でブロックすることは避けたほうがいいと思います。せっかく外部からのリンクも集まっているのにブロックするとサイト全体への悪影響があるかもしれませんし、やはり外部からのリンクやhreflangで対策してしっかりそれぞれの国で認識してもらったほうがいいです。
室屋さん:Googleはシステムを効率よく稼働させるために、「パターン」を学習して処理しています。だから、UKができていればシンガポールで検索してもシンガポールのサイトがちゃんと出る、といったことが起こるわけです。詳細はさておき、パターンを学習したいGoogleからすると特定の国だけブロックするなど例外が発生するとうまく処理できなくなる可能性があります。
また、サイトが膨大になるとSearch Consoleのステータスがアテにならないこともあります。少し手間がかかりますが、インデックス状況を調べるなら、現地からその国のページが見られるかどうか確認するのが一番確実です。
事前質問はここまでです!
参加者からの追加質問
が、この先が長かった…もともと1時間半のセッションなのに皆さん残られてリアルタイムQAと回答が30分くらい続きました。
A:シグナルは複数あったほうがいいです。Sitemap、構造化データマークアップなど。Googleがちょうど最近ニュースサイトのベストプラクティスを公開しましたが、1つの記事には1つの公開日のみ記載するようにと書かれていました(例えばある記事の下部におすすめ記事ブロックがあって、そこに日付があるとページ内に複数の日付が存在する)。
そして最新情報の期間ですが、テーマによると思います。ファッションなら今年のものは最新、研究データは最終の発表から変化がなければその最終発表が最新となりますよね。
室屋さん:わざと更新日だけを最新にしている記事もあるけど…
コガンさん:まったく意味がないと思います。。
A:ダメではないと思いますが…お問い合わせだと内容がわかるアウトリンクであれば評価されると思いますが、やはり自サイトでそのシグナルを集約しておいたほうが確実だとは思います。
A:同じブランドはGoogleは同じエンティティと理解できますので、別ドメインでもクラスタリングの対象になることがあると思います。
やはり違うクエリを対策したほうがいいと思います。
室屋さん:個人的にはドメインを分けるのが好きです。両方勝ったらいいなと。ただGoogleがエンティティを正しく理解できてしまうので、両方で占有はできなくなっています。
ただ飲食と美容のホットペッパーがあり、飲食のほうに美容のホットペッパーが出るなどまだまだGoogleもエンティティやクラスタリングの理解が不完全だと感じています。
A:それは専門性だと思います。例えば車いすであれば車いすに関するたくさんの情報を持っていて網羅しているとテーマ性がいいという考え方です。その領域に関して網羅し、それ以外の情報をあまり持たないほうがいいというのが最近のE-E-A-Tのトレンドでもあります。
SEOウェビナー#DemandLiveで取り上げられた5つの論点のコラムいかがだったでしょうか。
答えに悩む、人によって見解も施策も違う難易度の高いトピックだったのではないかと思います。
SEOには正解がありません。
サイトごとに答えが違います。
アユダンテではこれからもそのサイトに一番適した支援を提供していきたいと思います。
DemandMetricsのご紹介
本記事でもグローバルSEOや別ドメインのクラスタリングの話、Bingの話が出ましたが、このウェビナーを主催されているDemandMarkets 株式会社のDemandMetricsは本当におすすめです。
グローバルは国と検索エンジンを指定してその国での順位やヒットURLがわかります。
サブドメインや別ドメインのカニバリもチェック可能です。
Googleだけでなく、Bingの順位も取れますので、Google/Bing間の順位比較もできちゃいます。
そして個人的に最近すごいなぁと思っているのは検索結果のリッチ化に対応してきているところです。SERP(検索結果)をそのままデータ化する、ピクセル計測やビジュアルランクなどの機能を豊富に提供しています。
もはや検索結果は青色下線だけでは済まない時代になってきており、広告やリッチリザルト、画像やニュースなど様々な要素が並んでいます。それらを踏まえた本当の順位や検索結果の要素が確認できますので、SEOの分析になくてはならないツールになっています。
今回の一連のコラム:
1番目のトピック「ページネーション」はこちら
2番目のトピック「クロールバジェット」はこちら
3番目のトピック「サイトマップ」はこちら
4番目のトピック「E-E-A-T」はこちら
5番目のトピック「様々なSEOのQ&A」(本コラム)