※この投稿に記載の内容はすべて2022年11月時点での情報です。
このコラムでは、GA4有償版の機能のひとつ「サブプロパティ」の概要をご紹介します。
「ビュー」という概念がなくなったGA4では、プロパティから特定のデータをフィルタリングしたり、権限範囲を設定することが難しくなりました。
その解決策として有償版のみに提供されているのが、サブプロパティです。
公式ヘルプ:
[GA4] サブプロパティについて
サブプロパティの概念とユースケース
前述の通り、サブプロパティは元になるプロパティ(参照元プロパティ)から特定のイベントを切り分けて作るプロパティのことです。
クロスドメインしているプロパティから特定のサイトのデータだけを絞ったプロパティを作る、といったケースで利用できるため、「ビューの代替」的な役割を担う機能です。
レポート上でデータを切り分けるだけであれば、レポート画面のフィルタ機能・セグメント機能を使って絞り込むことができます。
しかしフィルタを外すと全体のデータが見えてしまうため、データガバナンスの観点から完全に切り分けたいときはサブプロパティの利用を推奨します。
サブプロパティは課金対象
便利な機能なので利用したいシーンも多いとは思いますが、サブプロパティはイベント数に応じて費用が発生するので注意が必要です。
参照元プロパティは有償プロパティである必要があるのでイベント数によって課金が発生しますが、それに加えて参照元プロパティはイベント数の半分が課金対象になります。
フィルタに使える条件
サブプロパティは、「どのイベントを含める(または除外する)か」という条件を指定して作成します。
地域、ページURL、イベント名、測定IDなどのデフォルトのディメンションや、イベントスコープのカスタムディメンションを条件として指定できます。
ユーザースコープのカスタムディメンション(ユーザープロパティ)は条件指定はできません。
具体的なディメンションの一覧は公式ヘルプに記載してあります。
具体的なディメンションの一覧は公式ヘルプに記載がありますのでご確認ください。
公式ヘルプ:
[GA4] サブプロパティを作成、編集する
サブプロパティで知っておきたいポイント
■一部の設定はサブプロパティ単位で設定可能
以下のような設定項目がサブプロパティ単位で指定できます。
・ユーザーの追加と削除
・データの保持期間
・Googleシグナル、レポート用識別子
・コンバージョン設定、オーディエンス設定、カスタムディメンション
・Google広告のリンク、アトリビューション設定
BigQueryとサブプロパティを連携することはできません。
たとえば参照元プロパティよりサブプロパティの方のデータ保持期間を長く設定したり、Googleシグナルをサブプロパティだけオンにすることも可能です。
データポリシーの異なる複数のサイトを参照元プロパティで計測している場合でも、各サイトに合わせたサブプロパティを作成することができます。
■新規イベントの作成はできない
サブプロパティはあくまで、参照元プロパティに溜まったデータをフィルタリングする概念のため、「サブプロパティだけに入っているデータ」を作ることはできません。
サブプロパティ単位で新しくイベントを作成することはできませんし、参照元プロパティでデータを削除した場合、サブプロパティからもそのデータは削除されます。
ただし、前述の通りイベントをコンバージョンに設定したり、カスタムディメンション/指標として登録することは可能です。
そのため、部門別のサブプロパティを複数作成し、部門ごとに使っているコンバージョンやカスタムディメンションを設定するような運用も可能になります。
■サブプロパティに入るのは作成日からのデータ
サブプロパティに入るのは作成日以降のデータのみです。過去に遡ってデータが蓄積されるわけではないので注意しましょう。サブプロパティのフィルタを作成・編集したタイミングから反映されるまでには、少しタイムラグが発生する場合があります。
■条件に一致しないデータが混ざる場合もある
GA4の自動収集イベントにあたるfirst_open・first_visitなどは新規ユーザーの判定に必要なイベントですが、これらはサブプロパティのフィルタ条件に一致していなくてもサブプロパティに計測される可能性があります。
そのため、たとえば「地域」のディメンションでフィルタをかけた「東京都のみ」というサブプロパティを作った場合でも、別の地域のデータが一部計測されてしまう場合があります。
これらのデータは削除してしまうと集計に影響が出てしまうので、削除しないよう注意してください。