GA4のイベントの基本的な考え方
2022年07月7日
ライター:吉成 かすみ

「GA4はイベントベースでの計測になった」と聞いたことはありますでしょうか。
これまでのGoogleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)と、GA4の計測の考え方は大きく異なります。

本コラムの内容は、YouTubeチャンネルで動画でも解説しています。

  1. GA4とユニバーサルアナリティクスの計測の考え方は違う
  2. イベントは「イベント名」と「パラメータ」でできている
  3. イベント名やパラメータは自分で決められるの?
  4. イベントとパラメータはレポートでどう確認するの?
  5. まとめ

GA4とユニバーサルアナリティクスの計測の考え方は違う

ユニバーサルアナリティクスの計測はページビューが基本でした。
イベントはページビュー以外の特別な行動、たとえばクリックやページスクロールを計測するための追加機能的な扱いでした。
GA4ではページビューもクリックもスクロールも、すべて同じ「イベント」という概念で統一されます。

また、データが計測されるとGoogleアナリティクス上で「セッション」という単位に纏められます。
ユニバーサルアナリティクスでのセッションは日付が変わったとき、参照元が変わったときなどに切り替わるため、定義が複雑でした。

イベントベースで概念が統一されたGA4では、新規ユーザーやセッションも、すべてイベントとして、明示的に計測されます。
ユーザーが初めてサイトに訪れたとき、「first_visit」というイベントが計測され、各セッションの最初に「session_start」というイベントが計測されます。

このように、GA4ではユーザーのサイト内行動がすべて「イベント」という単位で計測されます。

イベントは「イベント名」と「パラメータ」でできている

イベントは、「イベント名」と「パラメータ」から構成されています。
イベント名はその名の通り、「どんなイベントだったか」を簡潔に表す名前です。
ページのスクロールだったら「scroll」、ページを閲覧したら「page_view」というように、ユーザーが起こした行動をイベント名に指定します。

パラメータは、イベントごとに追加できる付加情報のようなものです。
たとえば「ファイルをダウンロードした(file_download)」を計測する場合、単に「ダウンロードが何回発生したか」を数えるだけでは意味がありません。
分析する時には「どのファイルがダウンロードされたのか」「どのリンクからダウンロードされたのか」といった情報が必要になります。
こうした情報を、イベントごとに紐づけて計測できるのがイベントパラメータです。

ユニバーサルアナリティクスでは、上記のような情報を「イベントカテゴリ」「イベントアクション」「イベントラベル」の3種類で計測しているサイトもあったかと思いますが、GA4では1イベントあたり25個までのイベントパラメータを追加できます(有償版では100個)。

イベント名やパラメータは自分で決められるの?

イベント名には、大きく4つの種類があります。

自動収集イベントGA4の基本タグを設置すると自動的に計測されるイベントです。
「初めてサイトに訪れた(first_visit)」「セッションを開始した(session_start)」など、Googleが定義したイベント名のイベントが自動的に計測され、基本的に停止することはできません。
測定機能の強化イベント基本タグを設置しただけでは計測されませんが、GA4管理画面上で有効にすると、自動的に計測されるイベントです。
「ページをスクロールした(scroll)」「ファイルをダウンロードした(file_download)」「離脱リンクをクリックした(click)」など、こちらもGoogleが定義したイベント名で、変更できません。
推奨イベントサイトに合わせて実装が必要なイベントですが、Googleが決めた候補の中から計測したい内容に合ったイベント名を選んで実装します。
カスタムイベントサイトに合わせて実装が必要で、自分でイベント名を定義するイベントです。推奨イベントに必要なものがない場合、自分で定義したカスタムイベントを実装します。

アナリティクスヘルプ:[GA4] イベント


カスタムイベントはすべて自分で自由に決められるので使い勝手が良いように見えますが、GA4からすると「何を計測しているかわからないイベント」になります。
そのため、機械学習やレポート画面などGA4の機能が今後アップグレードされたとしても、恩恵が受けられない可能性があります。

イベントを追加するときは、まず計測したいデータが「自動収集の中にあるか」「測定機能の強化にあるか」を確認し、ない場合は「推奨イベント」の中に合ったものがないか確認する、というステップをおすすめします。
どうしてもGoogleが決めたイベント名で目的に合わない場合のみ、カスタムイベントの利用を検討しましょう。

イベント名が決まったら「何の情報を一緒に計測するか=パラメータ」を決めますが、パラメータもイベント名と同様に、Googleが予め定義しているものがあります。
イベントごとにどのようなパラメータを収集しているかは公式ヘルプに記載があるので参考にしてください。

これらの中に一致するパラメータがない場合、カスタムパラメータを自由に追加することもできます。

ただしカスタムパラメータを追加する場合は、実装が複雑になります。
本当に必要な情報のみ、カスタムで追加するか検討しましょう。

アナリティクスヘルプ:[GA4] 自動的に収集されるイベントにカスタム パラメータを追加する

イベントとパラメータはレポートでどう確認するの?

GA4の標準レポート「エンゲージメント」の中に「イベント」レポートがあります。
このレポート上で「イベント名」ごとに、イベントが何回実行されたか、イベントを実行したユーザーが何人いたか、などが確認できます。

しかし、ご覧の通り「パラメータ」の情報はここには表示されません。

パラメータで計測した内容を確認するためには、「探索」レポートを作成する必要があります。

たとえば、離脱リンクのクリック(イベント名click)の回数を、リンク先のURL(パラメータ名link_url)ごとに集計します。

・ディメンションに「イベント名」「リンク先URL」を指定
・指標に「イベント数」を指定
・フィルタに「イベント名 次と完全一致 click」を指定
 ※このフィルタを設定し忘れると、イベント数に関係ないイベントの数値も含まれてしまうので注意

また、ページごとのスクロール率を確認するには、ページスクロール(イベント名scroll)の回数を、ページの場所(パラメータ名page_location)とスクロールした割合(パラメータ名percent_scrolled)ごとに集計します。

・ディメンションで行に「イベント名」「ページの場所」、列に「スクロール済の割合」を指定
・指標に「イベント数」を指定
・フィルタに「イベント名 次と完全一致 scroll」を指定
 ※このフィルタを設定し忘れると、イベント数に関係ないイベントの数値も含まれてしまうので注意

計測時に設定した「パラメータ名」と、探索レポートで設定できる「ディメンション名」の表記は異なります。GA4がわかりやすい日本語名に変更してディメンション名にしています。
以下のコラムに一覧がありますので、参考にしてください。

アユダンテコラム:[GA4] 拡張計測機能のパラメータがデフォルトのディメンションとして使用可能に

また、カスタムパラメータでサイト独自に計測したパラメータは、カスタムディメンションに追加しないとレポート上でディメンションとして選択できませんので、設定漏れがないように注意しましょう。

まとめ

GA4のイベントは、ユニバーサルアナリティクスでのイベントと考え方や設計の仕方が異なります。

GA4は「どこで何のデータを計測するか(≒イベント名やパラメータをどうするか)」を柔軟に決められる分、ユニバーサルアナリティクスと比べると設計が重要になります。
改めて自サイトの分析にどんなデータが必要かを考えながら、計測内容を設計しましょう。

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この記事を書いた人
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吉成 かすみ
シニアカスタマーサクセスコンサルタント
兼 アシスタントマネージャー
設計〜実装〜レポーティング〜サイト改善の一通りの業務を経験。制作会社や広告代理店、ECサイトやオウンドメディアの担当者など、支援側と事業側の両方の経験を活かしてコンサルできるのが強み。趣味はゲームとお酒とYouTube。
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