Googleアナリティクス4プロパティ(GA4)では、ユニバーサルアナリティクスとは異なり、標準版(無料版)で収集するイベント数の上限は設けられていません。
ただし、ユニバーサルアナリティクスと同様に、360版と比較して標準版ではサンプリングのイベント上限が低く、サンプリングが発生しやすくなっています。
特に、サンプリングレートが低い場合はレポートの精度が低くなるため、注意が必要です。
本記事では、GA4のサンプリングや回避方法について解説します。
1.Googleアナリティクスのサンプリングとは
Googleアナリティクスにおけるサンプリングとは、プロパティで大量のデータが収集される場合に、一部のデータを抽出してその傾向をもとにレポートを生成することを意味します。
サンプリングレート(母集団に対する割合)によってレポートの精度が異なり、サンプリングレートが高いほど、レポートの精度は高くなります。
サンプリングが行われる条件
GA4の標準レポートでは、サンプリングは行われません。
探索レポートでは、イベントの割り当て上限を超えるとデータのサンプリングが行われます。
イベントの割り当て上限は、標準版か360版かによって異なります。
- 標準版Googleアナリティクス4プロパティ:クエリごとに1000万件のイベント
- 360版Googleアナリティクス4プロパティ:クエリごとに10億件のイベント
2.サンプリングが行われているか確認する方法
探索レポートでサンプリングが行われている場合、画面右上のアイコンが!マークに変化します。※しきい値が適用されている場合も同様に変化します。
アイコンをクリックすると、「このレポートは、使用可能なデータの○○% に基づいています。」と表示され、サンプリングレートを確認することができます。
これは、データ全体の○○%のデータをもとにして算出されたレポートであることを意味します。この割合が高いほどレポートの精度は高く、低くなるほど精度が低いと考えられます。
3.サンプリングを回避する方法
データの抽出期間を短くする
データの抽出期間を短くして表示するイベント数を減らすことで、サンプリングを回避できる可能性があります。
BigQueryへのエクスポートデータを利用する
BigQueryへエクスポートしたデータはサンプリングが行われません。ただし、Googleシグナル由来のデータは含まれないため、GA4のレポートとBigQueryのデータとでイベント数やユーザー数が異なることがあります。※Googleシグナルは2024年2月に削除されました。
[360限定]非サンプリングデータをリクエストする
360版GA4では、探索レポートでサンプリングが行われた場合に非サンプリングデータをリクエストすることができます。これにより、サンプリングが行われていない実データを確認することができます。
非サンプリングデータのリクエスト方法
- 探索レポートの画面右上のアイコンをクリックし、[非サンプリング データの結果をリクエスト]をクリックします。
- [非サンプリング データの結果をリクエストする]の画面で[続行]をクリックします。
- 非サンプリングデータの準備が完了すると、新しいタブでレポートが開き、非サンプリングデータの結果が表示されます。リクエストは通常30分未満で完了します。
注意:
- 非サンプリングデータは読み取り専用となり、編集はできません。
- 非サンプリングデータはリクエストしてから50日が経過すると自動的に削除されます。データを保持するには、データのエクスポートを行います。
- 「ユーザーのライフタイム」の手法では、非サンプリングデータはサポートされていません。
- 探索レポートにしきい値が適用されている場合、非サンプリングレポートをダウンロードした場合でも、しきい値の適用されていないデータを取得することはできません。
GA4のしきい値については以下の記事をご覧ください。