新しい働き方?「地方在住、東京で働く」を、はじめました。
2020年06月12日
ライター:粂野 三佳
SEM

2020年6月1日、アユダンテ株式会社に入社しました。
私は四国、愛媛県に在住しており、「基本はリモート、月に数回東京へ出社」という少し変わった雇用形態で働いています。主な業務はインターネット広告の運用コンサルティングです。
前職も同様の業務に従事し、これまで様々なクライアントのインターネット広告に関する支援をしてきました。その中で、「もっと深くクライアントに踏み込み信頼関係を築くにはどうすればよいのか。」「広告を出すだけではなく、その先のクライアントのビジネス拡大や、今後の展望も踏まえた上でどのようにインターネット広告を利用するのか。」「デジタルシフトしていく社会の中でどのような役割をインターネット広告が果たせるのか。」を考え続けてきたように思います。答えを得るには自分の成長がさらに必要でした。

アユダンテで働くことは、私にとっては大きなチャレンジであり、成長のチャンスです。この度、好機に恵まれ「東京の会社で働くには、東京に行かなくてはいけない。」という地方在住者の思い込みを覆す働き方でのスタートを切りました。
地方在住者がアユダンテで働くにあたり、感じている地方のメリット、今後の課題などをまとめました。

地方在住で感じるメリットと仕事観

私が住んでいる愛媛県は海も山もある温暖で恵まれた土地です。道後温泉や柑橘が有名で、田園風景が見渡せる場所がまだまだたくさん残っています。この土地で暮らして感じるよい点がいくつかあります。

メリット1:満員電車知らず

まず、満員電車とは無縁の生活であることです。電車やバスなどの公共交通機関も充実していないため、基本的にほとんどの人が自家用車での移動を選択します。私自身も前職では自動車通勤、車で25分程度の距離でした。この通勤時間が仕事への切り替えの時間にちょうどよく、好きな音楽やラジオを聞いて出勤するのが日課でした。通勤のための移動を苦痛と思ったことは一度もありません。

メリット2:安い住居費

次に、東京や大阪に比べると、家賃や土地が安く住居費が低く抑えられます。家賃相場を調べてみると、ワンルームの相場で東京千代田区が10.01万円、大阪の北区が7.34万円に対して、愛媛の松山市は3.39万円でした。大阪はエリアによって、松山と変わらない家賃相場のところもありましたが、東京はけた外れに家賃が高いことがわかりました。大卒の初任給についても調べてみましたが、東京で21.6万円、大阪で20.8万円、愛媛で19.1万円でした。初任給の格差と家賃を比べると、東京では住居費が家計を圧迫しそうな印象を受けました。

メリット3:行列知らず

また、人口自体が少ないので、東京や大阪の人気店で行列に何時間も並ぶようなこともほとんどありません。東京でコンビニに入ると立ち位置表示がありますが、愛媛でそのような店舗はあまり見たことがありません。

メリット4:たくさんの自然

さらに、自然が多いことも私にとってはメリットです。自宅は比較的便利な場所ですが自然も多く、静かです。人工的ではない河川敷のようなところが好きでよく散歩しますが、生い茂った雑草や苔の生えた汚い石のたくましさに、なんとなく生きるパワーみたいなものをもらえる気がしています。自然の癒しは欠かせないものです。愛媛は海も山も両方あるので、どちらにも手軽に触れられるところが魅力です。

個人的仕事観

もちろん、都会にも魅力を感じることは多くあります。前職で恵まれていたのは、東京や大阪にも顧客がいるために月に数回、東京や大阪への出張があり、愛媛にいながら都会の雰囲気を直接感じられる機会があったことでした。時々、満員電車に揺られ苦痛を味わいながら「これが、東京の日常なのだ…。」と感じたり、テレビで見たお店に行って流行に触れたりする機会は自分の視野を広げ、刺激になりました。愛媛で暮らしながら時々都会に行く働き方は、私に合っていると感じていました。

「東京や大阪に行って刺激を受ける」ことのできる職場は愛媛ではあまりないかもしれません。特に東京と比べると企業数、業種すべてにおいて選択肢が少なくなります。これまで、東京で興味のある会社を見つけても「東京勤務」が条件である以上、子供や家族が愛媛にいる私には選択の余地がありませんでした。

「愛媛にいるなら、愛媛の企業や支店、営業所で勤めなければならない。」という思い込みがありました。それを覆した要因のひとつが新型コロナウィルスです。

多くの企業がリモートワークを導入し、出社しない形での仕事を余儀なくされました。前職でも取引先の多くがリモートワークになり、電話が繋がりにくくなったり、会議はすべてオンラインへ切り替えたり、業務の進め方にも大きな変化がありました。愛媛はそこまで感染が広がっていなかったこともあり、任意でリモートワークは認められていましたが、7割くらいの社員は出社していたように思います。自宅での仕事は機材などの整備が整わないと効率か悪くなるため、私も出社をしていました。その他にも、「出社しないので請求書が受け取れないから電子データに変更」「Web会議になって資料の印刷が不要」など、バックオフィス的な業務でもオフラインがオンラインへ変わりました。

業務のオンライン化が進み、仕事に対する「働く場所」の概念も変わってきているのを感じます。「愛媛からわざわざ!」と言われていた東京出張もWeb会議が主流になると、愛媛も東京もアメリカも同じです(時差はさておき)。オフラインで会わなくてもプロジェクトは進行し、コミュニケーションも取れることが実感されるようになりました。「どこにいるか」の重要度は低く、「何をするか」「何ができるのか」の重要度がより高まってきています。オフラインも良い面はあって、個人的にはオンライン、オフラインそれぞれのメリットをうまく活用してよいバランスで効率的な仕事ができるようになるのが理想です。

場所に対する考え方の変化があったからこそ、私のような地方在住者に東京の会社で働くチャンスがめぐってきたと思っています。私のパターンとは逆に、地方の会社でも東京にいる人材をメンバーとして迎えることも考えられます。特に、私たちのいるWeb業界であれば、場所の優先度はこれまでよりずっと低くなるのではないでしょうか。これは日本だけではなく、世界基準で言えることかもしれません。

アユダンテでは英会話の習得が推奨されていますが、今後、世界中の人たちと働く可能性を見越しているからだと新人ながら感じています。英会話レッスンも会社が準備してくれており、学習環境も整備されています。

これからの働き方と課題

私が所属している広告チームで、このような働き方での雇用は初めてのことです。会社も働く側も手探りの状態であることは間違いありません。このような機会に恵まれたことは幸運ですが、今後、課題になることも多くあると思っています。

  • コミュニケーション、信頼関係の構築
  • 企業文化、風土の理解

この2点に関しては、個人的に不安感と課題感を持っています。

コミュニケーション、信頼関係構築への課題

今、リモートワークでうまくいっている状況は、もともと同じオフィスで働き、人間関係や信頼関係の基盤があった上で成り立っています。基盤がない状態でのスタートはハードルが高いと感じるのが正直な気持ちです。相手が今何をしているかわからない状態の中で声をかけること、表情がつかみにくく、身振り手振りがないなど情報量の少ない中でのコミュニケーションは負荷がかかります。また、テキストベースでのコミュニケーションが多くなるため、言葉の遣い方や、文章力が求められます。直接の会話のような臨場感、スピード感はなくなり、出会い頭のハプニングなども起こりにくくなります。このようなコミュニケーションに関わる問題をリモートワークでどう解決していけばよいのでしょうか。

私が仕事をはじめて一週間、社内コミュニケーションにおいて実際に行動してみたことは以下です。

  • 案件で関わるチームメンバーと頻繁に通話
  • MTG前後のすきま時間に雑談(お家の子猫ちゃんを見せてもらって癒やされる)
  • チームメンバーに直接メッセージを送って、図々しくやり取りをする
  • 話しやすい方にちょっとした不安などを相談する

実際にやってみると直接会って話すよりは、つかみにくいところがあるものの、次から何かを聞く、複数人のやり取り(チャットやWeb会議)で発言することのハードルが下がりました。もともと人見知りなところもあり、最初の一歩を踏み出すのに勇気がいりましたが、一歩踏み出してしまえば次の一歩が出るようになるのを実感しました。これは、チームの方々が受け入れようという気持ちで接してくれる前提があったからだと思っています。この環境下であればコミュニケーション課題は自分の行動でクリアしていけそうな予感です。他チームとの交流も少しずつ…。

企業文化、風土の理解への課題

もうひとつ、企業文化や社風のような目に見えないものに対する理解に関しても、ゼロからのリモートワークでは課題になると思っています。目に見えないものは言い表すことが難しく、たとえ言語化したとしても、体感しなければわからないことが多くあります。リモートワークの難点は、「五感」が使えないことだと思っています。リモートワークの場合、感覚としては視覚、聴覚に偏るために常に集中力が求められ、意識をしていることにしか気持ちが向きづらいのです。同じオフィス内で他の人がどう動いているのか、どんな会話をしているのかが自然と耳に入らない環境では無作為に入ってくる情報がなく、意識外のことを感じるきっかけがあまりありません。非言語的なコミュニケーション(例えば、話している最中の相手の目線や手の動き、話の抑揚など)もオンラインだと感じにくくなります。そのため、目に見えない文化や風土のような部分への理解に時間がかかると考えています。理解を早めるためにコミュニケーションと同様、試行錯誤が必要ですが、まだ始まったばかりで何もできていません!

終わりに

新しい働き方での不安はありますが、インターネット広告に携わる者として、広告の役割や広告だからできることを模索しながら、よりよい在り方を考え、体現していきたいと思います。これからの新しい出会いも楽しみです。フリーランスなどの外部パートナーとしてではなく、会社のメンバーとしてジョインした意味を受け止めて、愛媛の田舎からおだやかに熱い炎を燃やしています。