Google アナリティクスの「データ削除リクエスト機能」の使い方
2020年03月9日

2019年末にGoogle アナリティクスにデータを簡単にUIから削除できる機能が追加されました。その機能が追加された理由とその使い方、データ削除後のレポートイメージをキャプションでご紹介します。

データ削除の必要性とは

多くの方はご存知かと思いますが、Google アナリティクスでユーザーを特定できる個人情報(PII=Personally Identifiable Information)を計測することはポリシー違反になります。
個人情報の取り扱いについては、最近プライバシー関連が厳しくなってきたウェブ業界では特に気を付けるべきポイントです。

PIIに該当するのはユーザーのメールアドレス、個人名、住所や電話番号などです。
例えば会員登録や購入の中で、メールアドレスがURLのパラメータやイベントのラベルに入ってしまうケースでは注意が必要です。
※ 企業独自の会員IDは一般的にはユーザーを特定するような情報ではありませんので、PIIに該当せず、計測しても問題ありません。
また、ハッシュ化されたものでもポリシー違反になる場合があり、SHA256 によるハッシュ化が最小要件になりますので、例えばMD5でハッシュ化して計測してしまったものはポリシー違反になります。
Googleの個人情報についての考え方やPIIを送信しないようにする方法についてはGoogleヘルプにて詳しく確認できます。

以前ではPIIを計測してしまった場合、Googleに問い合わせてデータを削除してもらうしかありませんでしたが、データ削除機能の追加によって自社でも気になるデータを削除することができるようになりました。
※ もちろん、PIIでなくても、削除したいデータを削除できます。

データ削除の手順

今回は、アユダンテの二つのテストプロパティでURLとイベントを削除してみました。

① 「管理」画面から対象のプロパティを選択し、「データ削除リクエスト」をクリックします。

※ データ削除はプロパティレベルで行われます。

② データ削除リクエスト一覧ページが表示され、「データ削除リクエストを作成」をクリックします。

※ プロパティ編集権限を持っている必要があります。

③ データ削除対象期間、対象項目を選択します。

現在、削除できる項目はURL、ページタイトル、イベントカテゴリ、アクションとラベル、カスタムディメンションとUser-IDです。

同時に複数のデータを選択することができますので、例えばイベントカテゴリ、アクション、ラベルを同時に選択して、すべてのイベント情報を同時に削除することができます。
今回はURL、またイベントラベルのみ削除してみました。

注意:

特定の値を含むURL、イベントやカスタムディメンションのみの削除は現在不可能です。
例えばメールアドレスを取得してしまった場合、「@」を含むURLのみ削除することができず、すべてのURLのデータが消えてしまいます。

④ 「送信」をクリックすれば、注意のアラートが表示されます。

内容を確認して、「データ削除リクエストの送信」をクリックすると、データ削除リクエストが作成され、プロパティ管理者全員宛にデータ削除に関するメールが送信されます。

データ削除が行われると、データの回復はできなくなります。かなり注意して進めるべきプロセスのため、データが削除される前に7日間の猶予期間が設けられています。
その期間中であれば、データ削除リクエスト詳細よりプロパティ管理者のどなたでもリクエストをキャンセルすることができます。

データ削除リクエスト一覧
データ削除リクエスト詳細
通知メール(件名:A data deletion request was submitted for (プロパティ名) (プロパティID), Request ID:(リクエストID))

⑤ 猶予期間が終わり次第、削除処理が開始し、再度プロパティ管理者への通知メールが送信され、完了次第再度完了通知のメールが送信されます。

削除されるデータのボリュームによっては、削除に24時間かかる場合もあるそうです。今回データ量が少なかったため、削除は数分以内に完了しました。

通知メール:削除開始(件名:Data Deletion in progress for Request ID: (リクエスト番号))
通知メール:削除完了(件名:Data Deletion completed for Request ID: (リクエスト番号))

データ削除後、リクエストが削除リクエスト一覧で「完了」ステータスで表示されます。
この時点でデータが完全に削除され、回復はできません。

データ削除リクエスト一覧
データ削除リクエスト一覧詳細

データ削除後のレポート

データ削除前後のレポートを比較してみます。

URLの削除

行動 > サイトコンテンツ > すべてのページ レポート

Before
After

ページビュー数やその他ページ関連指標は残っていますが、URLのラベルはすべて「-」となり、データが1行に集約されています。

イベントラベルの削除

行動 > イベント > 上位のイベント レポート

Before
After

イベントラベルのみを消していますので、イベントカテゴリは残っていますが、ラベルはすべて「-」になり、1つのカテゴリ内の異なっていたラベルは1行に集約されています。

もちろん、URLやイベントラベルを元に作成したセグメントは使えなくなります。

結論

PIIを取得しないように事前対策を行うことがもちろんベストですが、PIIを取得してしまった場合でもGoogleアナリティクス管理画面のデータ削除リクエスト機能で簡単にデータを削除することができるようになりました。
ただし、特定の値でフィルタリングして、PIIのデータのみを削除することはできません。選択した期間内、選択した項目のデータがすべて削除されてしまいますので影響を十分理解してデータ削除を進めましょう。

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