自動入札による「コンバージョン数の最大化」と本当の意味での「ビジネスの成長」について大いに悩む

2019年12月25日
ライター:河野 芽久美

昨今、媒体の自動入札の精度が各段に上がり、以前のように入札価格を毎日変更するとか、時間やKW毎の調整などに頭を悩ます機会が減ったと感じています。もちろん、未だ手動でしっかり運用されている方も多いと思いますが、私自身は自動入札に切り替えたことによるメリットを多く感じていました。・・・いました……。

しかし、新規にアカウントを作ったお客様から「コンバージョン数は獲得できても、ユーザーからの問合せが減った」というご意見をいただき、大慌て。現在、試行錯誤中ではありますが、現状をまとめて、頭の中を整理したいと思います。

このコラムでは、Googleのスマート自動入札を中心に話を進めますが、決して、この自動入札について問題提起をする目的で執筆していないことを予め述べておきたいと思います。

Googleの自動入札の現状

毎日のように管理画面にアクセスされる方であれば、言わずもがなのことですが、今一度、おさらいをしておきます。

Googleでは、現在、自動入札戦略を設定して運用することを推奨しており、その自動入札入札のパターンは検索広告で6パターン、ディスプレイ広告で5パターン用意されています。(2019年12月時点)

検索広告の自動入札
ディスプレイ広告の自動入札

中でも、上位に記載されている

  • 目標コンバージョン単価(tCPA)
  • 目標広告費用対効果(tROAS)
  • クリック数の最大化
  • コンバージョン数の最大化

の4パターンは、検索・ディスプレイ共通で、
検索広告では、

  • コンバージョン値を最大化
  • 目標インプレッションシェア

の2パターンが追加され、計6パターン

ディスプレイ広告では、

  • 視認範囲のインプレッション単価

が追加され、計5パターンの設定ができます。

広告運用者、並びに、お客様の目的の達成に必要な戦略が並んでおり、更にこれらを用いることを媒体側が推奨しているのであれば、個別入札という手法をとらなくても広告の運用は上手くいく気がします。

いえ、いく気ではなく、自動入札戦略を積極的に用いるようにしてから、売上がメキメキと上がったクライアントも実際にいます。

Googleの自動入札を導入するとどうなるの?

自動化によって売上が上がった

このグラフのお客様は生活雑貨のECサイトです。価格帯は高くなく、季節の主力商品が変動するため、予算も売上も1年で大きく変動していますが、大きく言ってしまうと、一昨年も昨年も、そして今年も売っているのは同じもの。各年に、異なるイベントやキャンペーンを行いますが、安定した売上を保たれています。そのアカウントに対して2018年の6月・7月で細かく設定されていたグループ構成を大きくまとめ、キャンペーンも最小限にした上で、自動入札を導入した結果が上部のグラフになります。

もちろん、広告だけの成果ではなく、お客様側での売る努力の賜ですが、運用上、通年予算やKWの変動が大きくない中で、広告経由での売上が伸びていることは、自動入札を導入しているから、と言えなくないと考えています。

これは、自動化が上手く機能したアカウントの一例にすぎませんが、2018年以降、アカウントを1から作成する場合、出来る限り自動化が機能しやすい構成を心がけ、いち早くアカウントを安定した運用ができるよう、配慮するようにしてきました。そして、結果として、良い方向に運用が進むケースが多く、分析やレポートに時間を充てられるようになったことも事実です。

お客様のビジネスが落ちる理由は?

しかし今回悩んでいるお客様の実コンバージョン=ビジネスの根幹は、問合せからの契約。web計測できるのはお問合せまでなので、そこから先の計測外でのお話しになります。

実際、前代理店様での運用状況はわかりませんので、Googleアナリティクスを開示していただき、「google / cpc」の推移を出してみたところ、大きな差はなく、むしろ、問合せ数は増えている状況でした。しかし、お客様からは「問合せ数が減り、契約も減っている」と……。

設定している主力のKWはほぼ一緒なはずで、CTRもほぼ同じ。CPCは下がっていて、コンバージョン数は上がっている。なのに、ビジネスにマイナスのインパクトが出ているのは、納得もできなければ、「なぜ?」の嵐が頭の中を駆け巡っています。

いくつか理由も考えてみました。
もしかすると、潤沢にデータを蓄えていた前アカウントでは、自動入札で当たるユーザー層が学習の上に成り立つ妥当な線だったけど、まだリマーケリストも機能しない状態の新しく作ったアカウントでは、学習中だからこその、親和性の低いユーザー層に当たり、契約まで至らなかった、とか。
通常の拡張テキスト広告に加えて、レスポンシブ検索広告を導入したことで、外れたユーザーターゲットにマッチするような広告の組み合わせが多くなされてしまい、結果、契約に至らないユーザー層からのお問合せが増えた、とか。

言い訳にしか聞こえない「かもしれない話」ですが、実際にこのようなケースがあると、運用者として、コンバージョンの本当の意味を考えなければいけないと痛感しています。

対処法はあるの?

考えているだけでは、お客様のビジネスの成長には役に立ちませんので、いち早く対処法を検討しなければならないと思うのですが、どのように対処すれば、お客様のビジネスに貢献できる広告アカウントになるのでしょうか。

実は、現状、先は見えておらず、試行錯誤の毎日。深く悩んでいます。

例えば、
WEBの外でのコンバージョンであるならば、オフラインコンバージョンをインポートすればいいのでは? とか。
マイクロコンバージョンを設定して、学習させるターゲットを変えればいいのでは? とか。
暫定のコンバージョン値をつけて、より契約に繋がる問合せポイントに重みづけすればいいのでは? とか。

対処法はいろいろとあるかもしれません。ただ、予算もあまり確保できず、小ぢんまりと、しかし堅実に運用をしているアカウントだと、学習するのにも時間がかかり、すぐに現状打開のインパクトにはならないのでは、という側面もあるかと思います。

自動入札への一考

私たちが行っている広告運用は、お客様のビジネスの成長のお手伝いにすぎません。もしかすると、ここまで読み進めた方の中には、「広告側で出来る限りのことを行って、広告媒体上でコンバージョンが増えているなら、それで良い」と思われる方もいるかもしれません。それは間違いではないと思いますし、一定の線引きも必要なことなのかもしれません。

ただ、せっかく縁あって携わることができたお客様ですので、一緒にビジネスの成長を目指して努力していきたい、という思いがあるため、きちんとお客様のビジネスに寄与できる運用をしていきたい、というのが本音です。

そして、できることなら自動入札を使い倒し、無駄な時間や手間を省きながら、更なるビジネスに寄与できるようにしていきたいと思っています。

で、このコラム、実はオチがなく、ここまで読み進めていただいて「エッ?」と思うかもしれませんが、自動入札による様々な現象を目の当たりにしている方も少なからずいると思い、書いてみました。

前述したとおり、自動入札を導入して、非常に伸びたアカウントがあることも事実。それが一アカウントのお話しではないことも事実。
今回のように、お客様からお話しをいただかなかったら、このアカウントも成功と位置づけ、このまま自動入札を変えることなく、進んでいったでしょう。

もしかすると、数ヶ月たったら、ビジネスに貢献できるアカウントになっていたかもしれないので、失敗とは考えていませんが、年末までの数日で、このアカウントは改修したいと考えています。どのような改修かというと「分解」とだけ申し上げますが、また、機会がありましたら、後日談としてコラムを執筆したいと思います。

もし、同じようなことでお悩みの方がいらっしゃれば、一度、ガッツリとお話しさせていただきたいと思います。

この記事を書いた人
河野 芽久美
河野 芽久美
シニアSEMコンサルタント

自動車雑誌のライター、課金コンテンツ制作を経て広告運用の道へ。お客様の広告運用やレポ―ティングだけでなく、チーム内部のファイナンスを含む業務効率化、職務環境改善にも取り組む。得意分野は「求人」「不動産」「総合通販」。趣味は美味しいモノを食べること。