※この記事はMarketing Landの許諾を得て、以下の記事を翻訳したものです。
“Google App Streaming: A Big Move In Building “The Web Of Apps””
Googleのアプリストリーミングが現実になった。Googleが「アプリのウェブ」、アプリ内のコンテンツを現在ウェブサイトコンテンツと同じように簡単に検索と閲覧できるものを設立しようとしている。
下記、現在テスト中のこの新しいサービスの概要とその影響を紹介してみる。まずウェブそのものの話から始めよう。
ウェブがなかったら
ウェブを利用するのに、閲覧したサイトごとにアプリをダウンロードしなければならない状況を想像してみる。New York Timesのニュースを見るために、ウェブブラウザでサイトを表示するために、アプリをインストールしなければならない。Amazonで何かを購入するためにはAmazonアプリを、FacebookでシェアをするためにはFacebookアプリを、ブラウザにインストールしなければならない。
これは悪夢のような状況だ。検索への影響を想像するとさらに大変だ。毎日、何百万人ものユーザーが、以前は必要だと思ったこともない新しい質問をして回答を求めている。その回答を探すのに、10~20サイトに触れ合う可能性がある。サイトごとにアプリをインストールする必要があるとしたら、現在気軽にできる検索は面倒なカオス状況になってしまう。
この状況はありえたかもしれない。現在のウェブができる前に、オンラインのサービスがその傾向に進みそうな時期があったのだ。AOLがあって、CompuServeがあって、Prodigyがあって、MSNがあった。すべてがお互い連動しないオンラインサービスであり、各サービスのユニークなコンテンツを見るのに、その特定のサービスをインストール(また登録)する必要があった。
ウェブ、厳密に言うとウェブブラウザがそれを食い止めた。ウェブブラウザは誰にでもウェブ上の何でも閲覧できることを可能にしたユニバーサルなアプリ。特定のサイトのアプリをダウンロードする必要はない。好みのウェブブラウザを立ち上げて、何にでもたどり着ける。その上、特定のアプリのインストールが不要で、Googleのような検索エンジンがあなたをどこへでも連れて行ってくれる。
連動していないアプリの世界
モバイルとそのアプリ重視の世界の発展はウェブとは真逆だ。最近まではアプリの間の簡単な移動は不可能だった。New York Timesをアプリ環境で見たい場合はアプリをダウンロードしなければならない。モバイルでFacebookの操作をより簡単に行いたい場合、Facebookアプリが必要。Amazonから購入したい場合、また別なアプリが必要。(その上、iOSの場合、Apple社がコマースアプリから「Apple税金」を取り、Amazonがそれを払いたくないためアプリで購入が不可能な場合もある)。
検索の状況はさらに大変だ。最近までは、Googleでコンテンツを検索する場合、モバイルサーチの結果がモバイルウエブのページを表示していた。多くの場合、そのような結果でも適切だろうが、場合によってはアプリを利用した方がよかった可能性もある。その上、アプリのみのサービスの数が現在は少ないが増加しつつある。それらはウェブサイトがないため、Googleとその他の検索エンジンはそのサービスへとユーザーを誘導しようがない。
「アプリのウェブ」の始まり
ウェブと同様に、アプリ間の移動が可能だったら楽ではないだろうか? Google、Apple、FacebookやMicrosoftのような大企業はそう信じている。そのため、最近の2年間ではGoogleアプリのインデックス、Appleディープリンクとユニバーサルリンク、Facebookアプリリンク、Bingアプリリンクのようなものが発表されている。
Marketing Landでは上記のような取り組みの概要をアプリインデックスとディープリンクのガイドで紹介している。重要なのは、必要な場合にウェブページ内のリンクであろうがアプリ内リンクであろうが、どのようなリンクからでも他のアプリへの移動をより簡単にすることを、これらの企業が目指していることだ。
だがそれ以前に必要な取り組みは多く、連携は完璧にはできていない。各企業にはその企業ならではのシステムがある。GoogleのAppleユニバーサルリンク対応の場合などでは、簡単な改修を行えば各企業のシステムの間の連携が可能になるが、連携はまだ十分ではない。
アプリインストールのハードル
アプリのインストールというハードルがある限り、リンクを作るだけでは不十分だ。インストールしていないアプリにユーザーを飛ばすのは、ユーザビリティ的によくない。そのため、Googleは検索結果以外の場所ではそういう移動を促していない。しかし、Googleが検索でやってきたようなユーザーにアプリのインストールを促すだけではユーザビリティ的によくなっているとは言えない。例えば、1記事を読むためだけにNBC Newsのアプリをインストールしたくはならないかもしれない。
これはまだ理想の形ではない。もしユーザーが検索結果からよく訪問しているサイトのすべてのアプリをインストールする必要があったら、容量が少なめな携帯には悪影響が出るし、本来簡単なタスクにすら時間がかかるようになり、要らなくなったアプリがあふれるカオス状態になってしまう。
アプリストリーミング:ハードルの解決
今回の大きいニュースはここだ。アプリストリーミングの場合、Googleはユーザーが探しているアプリ内のコンテンツを表示し、ダウンロードを必須にしない。一時的な利用に、時間と帯域を使うかどうか悩まなくていい。Googleの予定通りそれが実現される場合、アプリ内の回遊がウェブサイトの回遊と同じようなプロセスになる。
下記、Googleが提供した検索結果からアプリを閲覧する例。
上記の例では、ユーザーがシカゴでホテルを探している。Hotel Tonightアプリのリンクが検索結果に表示されている。アプリがインストールされていないユーザーの場合でも、リンク(streamが書いているもの)をクリックすると、Googleがそのアプリを表示する。ウェブでもアプリでも変わらない、ユーザーにとってはただ通常通りウェブを使っているだけのプロセスだ。
Googleのアプリストリーミング実験
上記はすべてのアプリ向けにリリースされる訳ではない。下記のアメリカのサービスで行われるテストである。
- Hotel Tonight
- Weather Channel
- Chimani
- Gormey
- My Horoscope
- Visual Anatomy Free
- Useful Knots
- Daily Horoscope
- New York Subway
また、これは現在Googleアプリを利用しているAndroid 5とAndroid 6のユーザーであり、言語をアメリカの英語として設定しているユーザーのみが対象だ。また、強いWiFiの接続が必要であり、WiFiがないならストリーミングもない。
iOSでGoogleアプリを利用するパターン、またはAndroidでChromeを利用するパターンは対象外だ。将来はそれらも対象になるかもしれないが、Googleは、現在テスト段階だけだとしている。
そしてこれが気になるという人もいるだろうが、Googleはストリーム内に自身の広告を表示しないそうだ。Marketing LandがGoogleに確認したところ、アプリが実際にインストールされている状況と変わらないものを表示するとのことだ。
アプリ限定のコンテンツを見つける
他にアプリのストリーミングと関連するのは、Googleのアプリインデックスがアプリ限定のコンテンツも発見できるようになったことだ。以前、Googleがウェブ上にあったコンテンツのみを検索対象にしていた。アプリでも表示できるウェブページがあった場合、Googleが裏のリンクを利用して同じコンテンツを持つアプリの部分をピックアップしていた。しかし、アプリ内にしかないコンテンツはGoogleには見えていなかった。
FacebookとHotel Tonightを例とする。FacebookがGoogleアプリインデックスを利用していることが明確になっている。それはユーザーがFacebookのアプリをインストールしていて、Googleの検索結果から特定のコンテンツへのリンクをクリックした場合、アプリが起動され、そのコンテンツが表示されることを意味している。しかし、そのコンテンツに該当するウェブページもある。これはウェブページとアプリの連動だ。
Hotel Tonightにはウェブサイトがなく、そのためGoogleがインデックスできるコンテンツがない。しかし検索しているユーザーに役立つコンテンツがある。Googleアプリインデックスの場合、Hotel Tonightアプリの中身がGoogleに提示され、いわば「アプリページ」が提示される。以前表示されなかったそのアプリ限定ページへのリンクがGoogleの検索結果に表示されるようになった。
そこでアプリのストリーミングが重要になる。アプリをインストールしないとコンテンツを見られないのに、そのリンクが表示されるのはユーザビリティ的によくない。アプリのストリーミングと改善されたアプリのインデックスでアプリ限定コンテンツを見つけるのが可能になることで、検索の結果が包括的なソリューションを提供できる。より多くのコンテンツを見つけて、誰に対してもそのコンテンツを表示することができるようにしているのだ。
これがGoogleアプリインデックスとAppleのユニバーサルリンクの大きな違いだ。Appleユニバーサルリンクはアプリ限定のコンテンツをレンダーできるが、ユーザーがそのコンテンツを見るためにはアプリをインストールしなければならない。しかしGoogleの場合、アプリのインストールは不要なのだ。
グローバルのニーズ増加
Googleによると、アプリ限定のコンテンツは、アメリカではそれほど多くなく、国外ではより一般的だという。
「アメリカでは、ウェブ上にあるPC文化から発展している。中国やインド等の他の地域では、アプリのみのコンテンツが多い。」とGoogleモバイル検索担当者のRajan Patel氏。「全体のトラフィックの中でその割合(※アプリ限定コンテンツの割合)が少ないとしても、Googleはそれに対しての解決を出さなければならない。今後これによる影響が少ないのか、大きいのかはわからないが、アプリ内コンテンツしかないが何百万ものユーザーが使っている素晴らしいアプリがあるのだから、対応しなければならない。」と説明している。
もしかして、ゲームアプリみたいにリンクされるようなコンテンツがないアプリでも、アプリ限定のリンクを検討させるかもしれない。
例えば、私はClash Of Clansをよくやる。この人気なゲーム内にインデックスさせるようなコンテンツがないように見える。リアルタイムに行われる何百万のゲームをどうインデックスさせるべきか?しかし、今後はアプリリンクを利用してリーダーボードを表示させる、またはプレイヤーにリプレイのストリーミングを可能にさせて、誰にでも見られるようにすることなどもできるかもしれない。
アプリ限定のリンクとストリーミングを利用するには
以下に今まで通常だったウェブとアプリ連動のリンクだけではなくアプリ限定のリンクとストリーミングを利用できる条件をまとめよう。
まずは、アプリのデベロッパーが適切なコードを実行していない限り、アプリのリンクが表示されない。また、新しいアプリストリーミングのテスト以外の場合、あなたがアプリのインストールをしていないとGoogleはそのアプリのリンクを表示しない。
Androidでは、ログインしている場合Google Playのアプリインストール履歴からその情報がわかるとのこと。ログアウトしている場合でも、クッキーを利用してアプリインストールの履歴を参照できる。
iOSの場合、Googleがその情報をどの方法で得ているかは明確に説明されていないが、おそらくiOSのどこかの部分でその情報を参照している。情報が明確になり次第、更新する。
アプリ限定リンクとストリーミング:
Android 5 & 6のGoogleアプリ
Android 5または6でGoogleアプリを利用していれば、検索結果にウェブとアプリ連動のリンクも、アプリ限定のリンクも含まれる。アプリ限定リンクでアプリを既にインストールしている場合、アプリが起動され、アプリ内にコンテンツが表示される。インストールしていない場合、強いWiFi接続がある場合アプリがストリーミングされる。WiFiの接続が強くない場合、アプリ限定リンクが表示されない。
ウェブとアプリの連動リンク:
AndroidのGoogle Chrome
Apple iOSのSafari
AndroidでGoogleのChromeブラウザを利用している場合、検索結果がウェブとアプリの連動リンクがアプリを既にインストールしている場合に表示される。 アプリ限定のリンク、またアプリストリーミングは対応していない。
iOSのSafariも同様。アプリをインストールしていることがGoogleにわかっていれば、ウェブとアプリの連携リンクが表示されるかもしれない。しかし、Googleがこれに対応したのは1か月弱前のため(※記事時点から)、多くの開発者がこれを実行していない可能性がある。
限定されたウェブとアプリの連動リンク:
iOSのGoogleアプリ
iOSのGoogle Chrome
限定された少数のアプリの場合、iOSのGoogleアプリとChromeの検索結果ではウェブとアプリの連動リンクが表示される。これらはGoogleにサインインしており、アプリをインストールしている状態がGoogleにわかっていること、が条件になる。Eat24, YouTubeまたはPinterest等の対応されている少数のアプリの場合でも、リンクが結果に表示されない場合もある。私がこの記事のためにしたテストの場合はそうだった。Googleアプリでは対応されているはずのアプリでも、結果が表示されなかったが、Chromeの場合では表示されていた。
もっと知りたいなら
Googleのアプリインデックスとアプリストリーミングをもっと知りたなら、Search Engine Landの「Googleがアプリインデックスを拡大し、アプリ限定のコンテンツを見つけてストリーミングさせる」を参照してほしい。