
UcarPAC株式会社(以下、ユーカーパック)は、独自の査定システムとオンラインオークションを組み合わせ、中古車流通の透明性と効率性を高めるプラットフォームを提供しています。全国8,500社以上の買取業者が参加し、ユーザーにとって安心かつ高い価値を実現する車買取体験を支援しています。近年では、AIによる相場予測機能を備えた「ユーカーパックアプリ」をリリースし、データとテクノロジーを駆使したサービスの進化にも注力しています。
本記事では、プライバシー規制の強化や広告ブロックの影響により、広告やGoogle アナリティクスの見えにくくなっている計測ロスの課題に対し、サーバーサイドGTM(以下sGTM)とStapeを活用した計測基盤の見直し支援の取り組みと、その結果として実現した最適なデータ取得および広告成果の可視化・最適化の向上についてご紹介します。
ご依頼された経緯とお客様の要望
近年、ITP(Intelligent Tracking Prevention)をはじめとするプライバシー規制の強化により、広告の最適な計測が難しくなり、コンバージョン計測やターゲティング精度の低下が課題となっています。
ユーカーパック様の広告運用を担当しているアユダンテでは、こうした環境変化の中でも広告成果をさらに高めていくためには、計測基盤の見直しが必要だと考えました。
そこで、広告コンバージョンを適切に計測し、ターゲティング精度の向上を目的として、sGTMの導入をご提案しました。
施策のポイントと内容
■ポイント1
Google Cloud(Cloud Run)でのsGTM導入と1st Party Cookieの有効期限の延長
まずは基本構成としてGoogle Cloud(Cloud Run)を用いてsGTMを導入し、Cookieの有効期限の見直しを行いました。
通常、広告流入と判定されたユーザーのCookieは、ITPなどの影響により1日で失効してしまうケースがありますが、sGTMを活用することで、これを7日間まで延長することが可能になります。

ユーカーパック様においては、同一オリジンアプローチによって、有効期限をさらに7日以上に延長しています。
同一オリジンアプローチについての詳細は以下のコラムをご参照ください。
https://ayudante.jp/column/2026-02-26/13-00/#a04
しかし、導入前後でGoogle広告経由のコンバージョン数を比較したところ、期待していたような大きな改善は見られませんでした。
ユーザーの行動を確認すると、広告経由の多くが当日、もしくは1日以内にコンバージョンしている傾向があり、この点が結果に影響していると考えられます。
こうした状況から、単純なCookieの有効期限の延長だけではなく、計測自体に別の課題がある可能性についても検討を進めました。
■ポイント2
Stape導入による計測環境の見直しと改善
計測自体の課題について検討を進める中で、そもそもGTMがブロックされ、タグ自体が発火できていないのではないかという可能性が浮かび上がりました。
一部の広告ブロッカーや特定の環境下では、通信のURL(ドメインやパスなど)をブロックの判定対象としており、昨今では広告だけでなく、GTMも対象となっているケースがあります。
そこで、Stape(*1)を導入し、Custom Loader(*2)機能を活用してGTMの読み込み方法を見直しました。
具体的には、GTMのコードスニペットをStapeから発行されるCustom Loader対応版に書き換え、GTMの読み込み先URLを変更しました。

※コードはサンプルです。詳しくはコラムを参照してください。
https://ayudante.jp/column/2026-03-11/13-00/
このようにGTMの読み込み先を変更することで、ブロック判定の影響を受けにくい構成としました。
その結果、これまで把握しづらかった計測漏れの実態が明らかになり、計測ロスの削減につながりました。
ポイント1で行ったGoogle CooudでのsGTM計測では見えにくかった課題に対して、Stapeの導入が有効な打ち手となりました。
▼補足
*1 Stape:sGTMの構築・運用を効率化し、計測の質向上やデータコントロールを実現するホスティングサービスです。
*2 Custom Loader:GTMの読み込み元をGoogleのドメインではなく自社ドメインに変更する仕組みです。ブラウザのトラッキング防止機能の影響を受けにくくなり、計測ロスを防ぐ効果を期待できます。
■ポイント3
Stapeのアナリティクスレポートを活用した影響可視化と検証精度の向上
Stapeが提供するアナリティクスレポートを活用することで、これまで把握しづらかった計測環境の影響を可視化しました。

※画像はサンプルです。
具体的には、広告ブロックの影響(上記グラフの青色箇所)や、ITPによって制限を受けているリクエスト数(上記グラフのオレンジ色箇所)などを定量的に把握できます。
これにより、「マーケターにとってどの程度の計測不全が発生しているのか」を具体的な数値として捉えることが可能になりました。
また、こうした影響度合いと施策後の成果をあわせて確認することで、改善施策の効果をより正確に評価できるようになっています。
データをもとに状況を把握できるようになったことで、新たな仮説立てや検証の視点も広がり、継続的な改善につながる基盤を整えることができました。
施策後の成果
今回の取り組みにより、計測ロスが削減され改善成果が確認されました。
Google広告経由のコンバージョン数が従来のGTM計測と比べ約5%回復しました。
Google アナリティクス(以下GA)においても、同様にユーザー数は約13%、主要イベント数も約16%の回復が見られました。

sGTM導入による計測ロス削減の効果
計測ロスが削減されたことでGoogle広告の自動入札、リマーケティングの精度向上やGAでの取りこぼしていたユーザーの可視化が期待できます。
今回の取り組みで活用したStapeの機能は一部にとどまっており、今後はさらに機能を活用しながら計測基盤の高度化を進めていく予定です。
具体的には、重複コンバージョンの排除によるデータ精度の向上や、査定・成約といったオフラインコンバージョンの統合にも取り組んでいきます。
これらを実現することで、オンライン・オフラインを統合したユーザー行動の把握が可能となり、広告運用やマーケティング施策の最適化につなげていきたいと考えています。
お客様の声
- ご担当者様の声
- 広告計測の精度が落ちていることは感じていたものの、原因も影響度も掴めずにいた中、アユダンテ様にsGTMの導入をご提案いただき、計測の土台を見直すことができました。期待した改善が見えにくい場面でも「Cookieの延長だけでは不十分かもしれない」と原因を深掘りし、Stapeの導入で広告ブロックによる計測ロスを可視化してくださったときは、課題の輪郭が初めてはっきりした思いでした。
- 結果としてGoogle広告のコンバージョン数は約5%、GAのユーザー数も約13%回復し、計測の精度が上がったことで広告予算の配分を確かなデータに基づいて判断できるようになりました。計測基盤の整備をゴールにせず、その先の広告運用の最適化まで伴走してくださるアユダンテ様だからこそ、安心して次の一歩に踏み出せています。今後は査定・成約といったオフラインコンバージョンの統合にも取り組み、オンライン・オフラインを跨いだユーザー行動の把握から、さらなる広告最適化につなげていきたいと考えています。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
ご依頼いただいたサイトURL:https://ucarpac.com
ユーカーパック様を支える担当スタッフ
担当スタッフからのコメント
■春山
sGTMは技術的な検証や環境ごとの制約を考慮する必要があり、導入して終わりではなく、実際の計測状況を確認しながら最適な構成を探っていくことが重要です。今回のプロジェクトでは、ユーカーパックの矢部様、清水様に非常に積極的かつ迅速にご対応いただいたことで、検証をスムーズに進めることができました。
標準的なsGTM構成だけでは十分な改善が見えにくい中、Stapeという新しい選択肢についても前向きにご検討・ご協力いただけたことに深く感謝しております。その結果、これまで把握しづらかった計測上の課題を可視化し、広告や分析に活用できるデータの精度向上につなげることができました。
今回の取り組みは、今後さらに計測基盤を高度化していくための重要な一歩になったと感じています。引き続き、ユーカーパック様のマーケティング活動をより正確なデータで支えられるよう、尽力してまいります。
■村松
本事例の公開にあたり、日頃よりご協力いただいているユーカーパック様に、改めて感謝申し上げます。
今回の取り組みは、計測面での新しいアプローチとして興味深く拝見しました。
計測精度の向上によって、広告や分析の前提となるデータの信頼性が高まったことは、今後の施策検証や最適化においても大きな価値があると感じています。また、これまで把握しづらかった計測状況やユーザー行動を、より正確に捉えられるようになった点も印象的でした。
今後、さらなるデータ精度の向上や活用が進むことで、より本質的な広告成果の最大化につながっていくことを期待しています。



