ユニコーンを探せ:クリック率を平均の3倍にする秘訣
2014年04月4日
ライター:Larry Kim

はじめに訳者より

今回初めてWordStreamのLarry Kim氏に許可をいただき、記事の翻訳を掲載できることになりました。
LarryはSEM向けソフトウェアやサービスを提供するWordStreamの創設者で、現CTO。先日開催されたSMXでもセッションを担当するなど今注目のマーケッターです。なかなか過激な表現でSEMをズバズバと切っていくさまは読んでいて小気味よいほどですが、そこには膨大なデータを解析した裏付けがあり、実はとてもエッセンシャルな、示唆に富むアドバイスともなっています。
今回翻訳したのはクリック率にまつわる話題です。Larryは平均的なクリック率で満足していてはいけない、2倍、3倍、そのさらに上を目指すべきだと言い、またそれを実現する方法があると言います。実務でリスティング広告に携わる者にはにわかには信じがたい話ですし、アメリカと日本という国の違いもありますが、どんな内容なのか、読んでみたいと思います。

※この記事はWordStreamのLarry Kim氏の許諾を得て、以下の記事を翻訳したものです。
Going Unicorn Hunting: The Secrets Behind Ads with 3x the Average CTR
Larry Kimツイッターアカウント:@larrykim

Googleアドワーズ広告の平均的なクリック率とはなんだろう?この問いを立てるとき、人はたいてい自分のクリック率を評価する基準が欲しいと思っている。残念ながら、あまりにも多くの広告主がなんらかの平均的なクリック率に満足してそのままにしているのだ。

われわれは最近人気のウェビナーを開催した。あなたのアドワーズのクリック率を3倍にするとんでもないテクニックが詰まったウェビナーだ。信じられないと思うだろう?まったくそんなことはない。事実われわれは、マーケッターが自分たちの広告を改善し、そのプラットフォームで運用される広告の上位1%以内のパフォーマンスを叩き出せるようになる手順をひとつひとつ解説した。

この破格のウェビナーについてもっと情報がほしいというリクエストが多数寄せられてきた。さあどうぞ!この記事はとてつもなく長いので、下の目次を参考に好きなテーマに飛んでほしい。

  1. よいクリック率とは?
  2. なぜ「ユニコーン」が重要なのか?アドワーズはどのように動いているのか?
  3. へえ、じゃあ品質スコアってすごく大事なんじゃないの…
  4. 上位1%の広告。いったい何がそうさせているのか
  5. ユニコーンを探しにいこう
  6. あなたは自分で思っているほど多くの広告を試してはいない
  7. オマケのプチ情報:モバイル広告の最適化
  8. つまり全体としてどういうこと?

まず最初に、とても重要なことをはっきりさせなければいけない。あなたがアドバイスを求めようとしているたくさんの「専門家たち」は、自分が何をしゃべっているかよくわかっていない。

よいクリック率とは?

クリック率についてのブログや記事やポッドキャストはネット上に溢れかえっているが、「よいクリック率とは何か?」という疑問に直接の答えを出そうとする者はいない。クリック率は業種や競合、何を目標とするかによって大きく左右されるからだ。
しかし、ひとつ言えることがある。2-5%のクリック率で満足しているマーケッターは、たとえそれが一般的にはよいレベルとされているとしても、力量不足なのだ。

われわれのウェビナーでは、まず最初に2つの広告を並べて参加者たちにどちらが「勝つ」広告かを確認してもらう。

当然ながら、実に81%以上の人がよりクリック率の高い広告を勝者に選んだ。
しかし私はフェアではなかった、これはひっかけ問題なのだ。実はどちらもよいクリック率ではなく、したがってどちらも勝者ではない。

われわれは競合のデータを見ることができないので、彼らのクリック率が自分たちと似たようなものなのかどうかを知ることはできない。われわれにわかるのは、クリック率が「よい」かどうかは、広告の掲載順位によるところが非常に大きいということだ。平均掲載順位が高い広告は、パッとしない順位にある広告にくらべると必然的にクリック率も高い。

上のグラフは平均クリック率と平均掲載順位の関係を示している。広告費にして年30億ドルに相当する10万件近いアカウントを分析した結果に基づく数値だ。われわれはクリック率について広告主が実際に経験している問題に対して、より大局的に見たとてもいいアイディアを持っている。

さて、掲載順位が2位の広告の平均クリック率が4%だとしよう。これはいい数字?いや、これでは平均だ。あなたが子供だったとき、平均まで成長するという目標をどうやって達成するか、寝ずに夢見ていただろうか?もちろんそうではなかったはずだ。掲載順位3位や4位でも、2-3%は平均値に過ぎない。もし自分のアカウントがこれと同じような状況だとしたら、成長する余地はまだまだある。

平均だって悪くはないが、われわれはいくつかの特定のアカウントで広告主によってどれだけの差があるのかを見てみる必要があった。それによってわかったのは、クリック率は下図に見られるように広告主によって大きく異なるということだ。覚えておいてほしいのは、図中の青い点は個々のキーワードではなく、広告主のアカウントだ。見やすくするためにあまり運用されておらずコストも使われていないアカウントは除外している。

このグラフでは期待される平均クリック率がオレンジ色で示されている。もっと上を目指したい人のために、その2倍(グリーン)、3倍(紫)のラインも併記した。

ここには、ライバルをはるかに上回るパフォーマンスを示している際立ったアカウントが、数は少ないが確かに存在している。これらの際立った広告主の仲間入りをするためには、いったい何が必要なのだろう?

下位の50%にいる広告主は、平均かそれ以下にしか到達できていない。Googleアドワーズの勢力図において上位15%以内に入りたければ、アカウント全体で平均の2倍以上を達成する必要がある(ちなみにわれわれはそういうアカウントをイケてる広告主と呼んでいる)。3倍なら超イケてる広告主ということになるが、それも全体の1/20が達成している数字だ。

さらに高望みをしてはどうだろう?上位1%に入りたければ、標準の6倍のクリック率を達成する必要があるが、われわれはそれを「ユニコーン」と呼んでいる。ユニコーンは希少だが、しかし誓って言おう、ユニコーンは確かに存在している。彼らは生まれ持ってあなたより優れているというわけではない。ただあなたよりコツコツと努力し最適化に努めただけである。

ユニコーンになるために求められることが具体的にわかるよう、掲載順位ごとに必要なクリック率を以下の表にまとめた。

さてそれではユニコーンは何をやっているのか?まずは次のことを理解しなければならない。

なぜ「ユニコーン」が重要なのか?アドワーズはどのように動いているのか?

パフォーマンスを最適化し改善するためには、アドワーズのオークションがどのように行われるのかを理解することが最も重要になる。

アドワーズはイーベイなどとよく似たライブオークションだ。グーグルはそれぞれの広告の掲載順位と1クリックにかかるコストを決めなければならないのだが、それをリアルタイムのオークションで行っている。

Googleは広告ランクを使ってあなたの広告のポジションとクリック単価を決めている。これは上限クリック単価(1クリックに最大どれだけ払えか)と品質スコア(Googleがつけたあなたの広告の品質格付け)の掛け算によって計算される。
(※注:Googleは最近広告ランクをアップデートし、広告表示オプションの期待パフォーマンスを含めるようにしたが、基本原則は変わらない)

下の例を見ると、このライブオークションにおいては以下に品質スコアがあなたの広告のパフォーマンスに影響するかがよくわかる。掲載順位の1位を獲得した広告主は、2番手のライバルより入札価格の上限が2ドルも下回っているのに、品質スコアがはるかに高いために必然的に広告ランクも高くなり、結果として低い上限クリック単価でよりよいポジションを得ることになっている。

Googleは広告がクリックされなければ収入を得ることができないので、もっともうまくいきそうな広告に優先権を与えるのだ。

へえ、じゃあ品質スコアってすごく大事なんじゃないの…

そう、まさにそうだ。

われわれの分析では、平均的な品質スコアは1から10までの中でだいたい5.1というところである。

あなたの広告の品質スコアが平均より高ければ、1クリックあたりのコストを50%まで削減することができる。逆に品質スコアが平均より低ければ、最悪400%も余計にコストがかかることになる。これは痛い。

クリック単価は単なる指標のひとつだ。では実際のコンバージョン単価はどうだろう?数十億ドル規模の広告費全体を見たとき、われわれの分析では反比例する関係を見出した。品質スコアが上がれば、それに従ってクリック単価が低くなるため、コンバージョンにかかるコストも減少するのだ。

では、品質スコアはどのように計算されるのだろう?一般に、クリック率が上がれば品質スコアも上がる。しかし下のグラフを見ると、広告掲載順位によってかなりの差があることがわかる。見てきたように、ページ上部に表示される広告の方が、下部に表示される広告よりもクリックされやすい。

たとえばいちばん下の青い線は掲載順位が1.0~1.5のキーワードだ。品質スコアはクリック率だけでなく、期待されるクリック率を上回るか下回るかによっても計算される。次のグラフは、品質スコアの計算にはその両方のクリック率がいかに重要かをはっきりと示している。

すべては比較の問題なのだ。

品質スコアは抜きん出た掲載順位、低いクリック単価、低いコンバージョン単価を手に入れるカギなのだが、クリック率そのものに基づくというより、広告なりキーワードなりが期待される平均値を上回らなければならない。これが高い品質スコアを獲得するためのカギになる。

上位1%の広告。いったい何がそうさせているのか

では、ユニコーンたちはどうなのか?

これまでわれわれはクリック率の平均を上回ることが上位に食い込む条件だということを学んできたが、トップクラスのさらに上に入りたいなら、もっと必要なことがある。

われわれのサービス「AdWords Performance Grader」でユニコーンを見ると、共通の特徴を持っていることがわかる。

  • アカウントの中のすべてのキーワードが高い品質スコアを持っている
  • 無駄なコストを削減するために除外キーワードを効果的に使用している
  • インプレッションシェアが高いことから、Googleが彼らの広告を表示したがっていることがわかる
  • クリック率がたびたび平均を上回る程度ではなく、はるかに高い、2ケタのクリック率を保持している
  • 高度に絞り込まれたロングテールのキーワードをターゲットとしている
  • 積極的にアカウントを運用し、継続的に最適化と改善をコツコツと続けている

もし平均的なクリック率を上回る広告とキーワードの組み合わせに狙いを定めることができれば、その見返りは非常に大きい。インプレッションシェアが増加し、掲載順位は上がり、クリック単価とコンバージョン単価は下がる。

ユニコーンを探しにいこう

アドワーズにおけるユニコーンがどういうもので、それがなぜ好ましいのか、もうおわかりいただけたと思う。ここからはひとつひとつの特徴を詳しく見ていくことにしよう。そうすればユニコーンの成功例を自分のアカウントでも見習うことができるようになる。

  • ユニコーンのキーワード戦略

アドワーズアカウントの上位1%は高度に商業的な意図を含んだキーワードにフォーカスしている傾向がある。これは驚くにはあたらない、人はすでにその気になっていて購入の意図があるときによりクリックをしやすいのだから。たとえば、「インターネットマーケティングに最適なソフトウェア」とか「ステンレス製の食洗器」といったフレーズが購入の意図を表すキーワードだ。「リンカーンの誕生日」みたいなものはそうではない。

ブランドキーワードもまた広告主にとって自社をアピールする絶好の機会だが、われわれは単にあなた自身のブランドのことだけを言っているのではない。パートナーのブランド、ライバルのブランド、またはあなたがターゲットとしている市場が、買いたいモードになっているときに検索しそうな何かのブランドも含まれる。

うまくいくキーワードタイプの3つ目はローカルのキーワードだ。ユーザーの目的があなたのビジネス、またはライバルのビジネスを見つける場合だ(例:「サンディエゴの個人トレーナー」)。これらも高いクリック率を獲得する傾向がある。ローカル視点のユーザーは購買につながる意図を強く持っていることが多い。

情報収集系のキーワードはできれば避けよう。このタイプのキーワードは、たとえば「食洗器とは?」とか「シカゴはどこにある?」のような疑問形のフレーズであることが多い。こういう検索をするユーザーはウィキペディア的な情報を求めているのであって、購買の意図を示してはいない。この手のキーワードは結局低いクリック率しか獲得できず、コストを無駄に使ってしまう。

  • キーワード挿入機能には注意する

ユニコーンのポジションにつきたいのなら、キーワード挿入機能を多用しないことだ。キーワード挿入機能を使うと、ある構文を使って広告を作り、その構文に従ってGoogleが自動的に代替キーワードを見出しや説明文に挿入してくれる。

キーワード挿入機能は役に立つ機能だが、それもある程度までの話だということが下のグラフを見るとわかる。

赤線はキーワード挿入機能を使った広告、青線は使わなかった広告の数を表している。赤線は上位15%までの広告でよく使われている。しかし、上位5%からユニコーンのポジションに入ろうとすると、そのエリアでは赤線が青線を下回っていることに気づくだろう。

キーワード挿入機能を使った広告は壁に突き当たってしまうようだ。キーワード挿入機能は、多少素早いリターンを得られる一つのツールとして持っておくのはよいが、依存しすぎてはいけない。

  • 広告表示オプションは特効薬?

このところGoogleはほとんど毎週のように新しい広告表示オプションをリリースしているが、この広告表示オプションを使った場合、品質スコアにはいったいどれくらいの影響があるのだろうか?これはユニコーンになる手助けをしてくれるのだろうか?

このグラフはその影響を示したものだが、広告表示オプションは大変革をもたらすようなものではないことがわかる。サイトリンクを使った広告は使わないものより多少パフォーマンスがよいが、驚くようなことではない。広告表示オプションはクリック率を多少押し上げてはくれるが、役に立たない広告を救済してくれるわけではない。広告表示オプションによる押上げは控えめなものであり、クリック率を2倍とか3倍にしてくれたりはしない。キーワード挿入機能と同じで、こちらもあまりこれだけに頼りすぎていてはユニコーンのポジションに到達することはできない。

  • ほとんどの広告はクズだ。感情に訴えかける広告を作ろう
  • 検索結果のページはだいたいこの図のようになっていて、退屈で同じような広告が並んでいる。だからこそ掲載順位がモノを言うのだ。唯一の差別化要因は広告がどの場所に出るかという一点しかない。なんてつまらないんだ。

    でも待ってほしい。ユニコーンハンターのあなたにとって、これは大変なチャンスだ。

    検索結果に表示される、大量の退屈で血の通っていない似たような広告を見た瞬間、それがブレイクアウトして際立つ存在になれるチャンスにほかならない。これを「アドワーズ・フィーバー」と呼びたいと思う。

    新しい選択肢というのはえてして雑多な集まりの中から抜きん出てくるものだが、ここではそれが「感情に訴えかけるトリガー」だ。

    • スイスアーミーナイフ式ブレインストーミングで感情に訴えかける広告を作る

    マーケティングの世界で尊敬を集めているペリー・マーシャルは、スイスアーミーナイフと呼ばれるブレインストーミングの方法論を考え出した。これは聡明なきっちりと構築された方法で、説得力のある広告文をブレインストーミングによって作成する。たとえば顧客、顧客が好むこと、好まないこと、仲間、敵、といったさまざまな存在を取り出す。そしてあなたのブランドがそれらの存在とどうつながっていてどう関係するかを確認し、そこから広告文を組み立てていくのだ。

    これはシンプルでよくできたブレインストーミング法である。これを使い、上で列挙した概念をミックスしたり組み合わせたりすれば、より説得力のある広告文を作り出す手助けになる。たとえば、次のように。

    これがこれ以上はないユニコーン広告のサンプルだ。これならクリック率30%超、検索結果にずらりと並ぶ平凡な離婚弁護士の広告の中でも目立ってくれる。

    • ユニコーンの推定個体数を知る

    われわれはまだユニコーンハンティングの途中だが、それでもここまでですでにユニコーンを見つけるのに十分な装備を身につけたに違いない。しかしまだひとつだけ欠けたピースがある。「努力」だ。

    ユニコーンがたくさんいれば特別でも何でもない。実際、ユニコーンは100アカウントに1つしかないのだ。初めてのトライでユニコーンを見つけられる可能性はほとんどない。平均で100回は別の広告を試さなければ、あなたのユニコーンを見つけることはできない。

    より多くの広告を作成しテストすれば、平均的なクリック率の2倍、3倍、いや6倍をも上回る広告に巡り合う確率は高くなる。

あなたは自分で思っているほど多くの広告を試してはいない

だけどラリー、私のアカウントではもう何千もの広告が走っているのよ!これ以上広告を作るなんて絶対にいや!

確かにそうかもしれない。しかし請け合おう、あなたは自分で思っているほど多くの広告を試してはいない。確実なのは、その何千もの広告は、この記事で紹介したような洞察やプロセスを使って作り出されたものではないということだ。

次の例を見てほしい。赤線で囲った2つの広告を見分けることはできるだろうか?

これは記事用に作ったサンプルではなく現実の広告だ。広告主は上の広告の見出しの”Book”の後ろにカンマを付け加えて、これをテストのためのバリエーションだと言っているのだ。実際、この広告主は上図のような細かい6つのバリエーションを何度も何度もテストしている。

秘密を教えよう。ハードルは、特に中小企業の場合、恐ろしく低い。平均的な中小企業のアドワーズアカウントはたった18の広告しか運用していない。今月中、今年中に広告を100に増やすことはできないかもしれないが、一生懸命に頑張って40個、50個の広告を試すことができれば、それだけでほとんどのライバルよりかなりよくやっていると言えるだろう。

  • アカウント中の5%の広告が表示回数の85%を占めている

もっといいニュースがある。パフォーマンスの悪いものは処分すればよい。そういう広告はたくさんある。アカウントを見渡すと、上位5%の広告が全体の85%の表示回数を占めていることがわかった。つまりすべての広告グループで100個の広告を試すようなことはしなくてもよいのだ。

そのかわりに、優先度の高い広告グループを2,3個選び、そこに全精力を注ぎ込もう。頭がおかしくなるくらいに何度も何度も、そのパフォーマンスの優れた広告グループの中で100個の広告をテストしよう。

オマケのプチ情報:モバイル広告の最適化

モバイル広告は言うまでもなく重要だ。今年(2014年)の検索のうちほぼ50%はモバイルからの検索ということになりそうである。モバイル広告に限っては、私が今まで言ってきたことをすべて無視してほしい。

われわれの調査では、モバイル広告のクリックの実に3倍のコンバージョンがモバイル広告からの通話から生み出されていたのだ。モバイル広告をテストする際に確認する指標は、クリック率やコンバージョン率ではなく、コールの割合を検証のベースとしなければならない。

繰り返す。コール率だけを見て、Click-to-callボタンをクリックさせるためにできることをすべてやろう。

つまり全体としてどういうこと?

よくここまで来たね、おめでとう!話を要約しよう。そして、足取り軽く自分のアカウントへ戻ってライバルをやっつけるあなたを見送りたいと思う。

  1. 平均的なクリック率を超えるキーワード=成功
  2. 平均的なクリック率を超えないキーワード=惨事
  3. アカウントのうちパフォーマンスの悪い下位1/3を削除し、浮いたコストをリマーケティングに配分しよう。下位1/3など、低クリック率・低インプレッションシェアのゴミなのだ。あなたを引きずり倒す重いぜい肉は捨てよう。

やりすぎかな?アドワーズアカウントの1/3を削除したりしたら上司はキレるかもしれない。しかしこれは、今までゴミのような広告に費やしていた予算を最大限に活用する方法なのだ。

下図を見るとわかるように、多くの業界において、Googleディスプレイネットワークの平均クリック単価はGoogleの検索広告よりも大幅に低い。

同様にディスプレイ広告(特にリマーケティング)と検索広告のコンバージョン率を比較してみると、自動車や旅行など業界によってはディスプレイの方がはるかに高くなるものもある。

よりコストがかかっている検索広告の下位1/3を削除し、その分のコストを単に平均的なパフォーマンスのディスプレイとリマーケティング広告にシフトするだけで、アドワーズの成果をより効果的にスケールさせる素晴らしい道が開けるだろう。

ユニコーンの人生はとてもすてきだ。われわれは分析の結果を業界でセグメントしてみたが、あえてその結果はここには示さなかった。なぜかというと、公平に均等にどの業界にもユニコーンは存在していて、広告主の企業規模や予算の多寡にも関係がなかったからだ。つまり、あなたもアドワーズユニコーンになることはできる。

訳者まとめ

パフォーマンスの悪い広告群の下位1/3などはごみくずだ、ほとんどの広告は退屈で代わり映えのしないカスだと言いたい放題なのですが、その過激な表現を取り除いてみれば、内容はSEMの基本事項といえると思います(ただ一部、モバイル広告の最適化など日本とは状況が違う事柄も含まれています)。

長い記事なのでポイントを要約します。

  • 掲載順位の高い広告はクリック率が高い
  • 掲載順位を上げるためにはキーワードの品質スコアが重要
  • パフォーマンスの高いアカウントには次のような特徴がある
    • 全体的に品質スコアが高い
    • 除外キーワードを効果的に活用している
    • よく絞り込まれたロングテールキーワード
    • CVに直結するユーザーの意図を具体的にキーワードに反映させている
    • 地域情報を活用する
    • ウィキペディアタイプの情報収集系キーワードを避ける
    • 便利なオプションに頼りすぎない(広告表示オプション、キーワード挿入機能など)
  • ブレインストーミングで顧客を中心に必要な要素を列挙してキーワードを洗い出す
  • CVに直結する具体的な意図(感情)に訴える広告文を作成する
  • 広告文を100回テストしキーワードと広告文のベストな組み合わせを見つける

こうして最適化と改善を続けていくことが、クリック率を平均で3倍、6倍にし、100に1つしかない高パフォーマンスアカウント、すなわちユニコーンになることを可能にするというわけです。

いかがでしたでしょうか。決して簡単なことではありませんが、とはいえキーワード戦略の部分などはすぐに実行に移すことができそうです。できることからコツコツと。ユニコーンははるか雲の上だとしても、イケてるリスティング担当は目指したいところです。

(訳/三浦麻実)