【海外カンファレンス情報まとめ】Spotlight 2025カンファレンス参加レポート
2025年12月9日

SEOコンサルタントのコガンポリーナが10月のbrightonSEOに引き続き、アムステルダムで開催されたSemrush社主催のSpotlightカンファレンスにも参加しましたのでレポートします。

1日2つのトラックと数多くのラウンドテーブルディスカッションがありましたが、

はじめはいくつかのセッションをピックアップしてまとめて、最後に非常に興味深かったSpotlightカンファレンスの特徴について解説します。

◆AI検索時代の現状

AI検索の現状と今後というセッションでSemrushのAndrew Warden氏 が直近2年のSEO業界の激しい変化について話しました。

brightonSEOでも似たような話題が出ていますが、Googleの検索結果とLLM結果でのオーバーラップが大きく、Googleの検索シェアがまだまだ90%を超えており、SEOは今後も重要とのことです。

ただし、LLMはブランドビジビリティに繋がっており、コンバージョン率も高いというデータが出ています。

そのため、今後のAI SEOは従来のSEO施策とAI向けの施策の組み合わせになり、さらにSEOやLLMだけに集中するのではなく、マーケティングの全体像を見ていく必要性が上がっています。

Warden氏が紹介したデータは、SemrushのAI Visibility Indexという調査をベースにしています。

Edward Cowell氏による「どこでも検索」というセッションの中ではさらに最近の検索トレンドについて話されました。

検索においてはテクノロジーの変化だけでなく、ユーザーの考え方と行動がシフトしており、LLMはもちろん、やはり若い世代はよりSNSを検索エンジンとして活用したり、Eコマースの検索はGoogleよりAmazonで開始することが多かったり、「Googleで上位を取る」のではなく「ウェブ上の様々な媒体で見つけてもらう」ことを目標にすべきとのことです。

そのためには検索エンジンの外でもユーザーニーズや検索行動を把握し、ウェブ上の全体的なユーザージャーニーにおいて良いユーザー体験を提供することが大事です。

Cowell氏はユーザーのLLMの使い方の理解を深めるためには、Open AIの「How People Use Chat GPT」の論文を読むことを推奨しています。

◆LLMの理解について

LLMを理解についてはさらにMarkus Tober氏のセッションでも紹介されました。

「SEOだけやっていれば良い」というわけではなく、LLMで引用されても、必ずしもブランドとしてメンションされるとは限らず、さらに流入に繋がるとも限らないため、ブランドとしてメンションされて引用されて流入に繋がるための工夫は必要です。

LLM最適化がうまくいっている企業とそうでない事例が紹介されました。

LLMでビジビリティを上げるためにサードパーティー媒体を視野に入れる必要があり、英語など海外圏ではやはりRedditが多く引用される傾向にあります。

コガン:最近日本でもLLMでどのようなサイトが引用されやすいかの調査が行われており、例えばAhrefsの調査で日本独自の傾向が見えてきています。まだ日本のデータは少ないですし、英語圏のようなどの業界もRedditが多い傾向ではない可能性が高く、サードパーティー媒体に対して対策する場合はまずは自身の業界でどのようなサイトが引用されやすいかの調査から始める必要があると思います。

◆AI検索の今後

Spotlightの最後はSEOの女王Aleyda Solis氏によるAI検索のロードマップ作りについてのセッションでした。

先ほどの話にもあったように、今もGoogleのシェアはLLMより圧倒的に多く、一部のLLMはGoogleの検索結果を利用しているので、LLMは従来の検索をつぶそうとしているのではなく、拡大しているようです。

SEOは引き続き重要ですが、今後も従来のSEOだけで十分かは状況によりますし、変わってきているAI時代の検索を理解していく必要があります。最近大きく変わってきていることと、今後注目すべきことをまとめて、Solis氏の資料写真と共にXで投稿しました。

他にも面白いセッションがあり、例えばオーセンティックなコンテンツ作り大規模サイトの精査事例コガンのXで紹介しています。

◆Spotlightカンファレンスの特徴

過去にイギリスのbrightonSEOやドイツのSMXなど海外のカンファレンスには多数参加しており、どのカンファレンスも通常のセッショントークの他にアフターパーティーや関連ミートアップがあり、ネットワーキングの機会が設けられていました。今回のSpotlightでもそれらの機会が用意されており、他のカンファレンスよりもネットワーキングを重視していると感じました。

 ◇「マスターマインド」のディスカッション

「メインステージ」と「エンタープライズステージ」に分かれた25件程度のトークとは別に、100件以上もの「マスターマインド」というラウンドテーブルディスカッションが用意されていました。これは10~15人程度が参加する特定なテーマについてのテーブルディスカッションです。このマスターマインドはカンファレンス数か月前から少しずつ公開されていき、早い者勝ちで事前に参加予約が必要でした。どのマスターマインドも非常に人気で、「予約できなかった!」という方も多数いました。

コガンはAll-Access Passというチケットタイプで参加して、3つのマスターマインドに参加できたので、「大規模サイトのテクニカル診断」、「パーソナライズのためのデータ活用」、そして「SEO、UX、コンテンツと開発の連携」についてのセッションに参加しました。

その中で他の参加者が抱えている課題や効果があった施策、使っているツール等、普通のトークではできない濃厚な「ここだけの話」ができたのがとても刺激的でした。

マスターマインドの参加回数制限がない、一番価格が高いVIPチケットを持っていた方の中には通常のトークには一切参加せず、朝から晩までマスターマインドのみ参加していた方もいたようです。

 ◇ネットワーキングの機会

イベントの前日にも当日にもネットワーキングのパーティーやコーヒーミートアップがあって、SEO初心者からAleyda Solis氏のようなレジェンドまで様々な人と交流する機会がありました。その中で今回アメリカ、ロシア、スペイン、オランダやイギリス等、様々な国のSEO専門家と知り合って面白いお話がたくさんできました。

数日前から用意されたSpotlightアプリには自分のプロフィールを設定できて、同じ趣味を持つ参加者を探してランチミーティングを設定したり、自社のツールやサービスの紹介を送ったり、直接話した方と連絡先を交換することもできて便利でした。

余談ですが、とあるツールベンダーがアプリ経由でメッセージをあまりにしつこく送ってきていて参加者の間で悪い意味で話題になりましたので、やりすぎは要注意ですね(笑)

またカンファレンスの受付では色分けされたリストバンドが用意されており、緑は「話したい」、黄色は「人見知りだけど話しても良い」、ピンクは「声かけないでください」という意味でした。黄色の人が多かった印象ですが、このリストバンドがあるだけで席が隣になった人や一人で飲んでいる人に声がかけやすくなって、人見知りでも非常にネットワーキングしやすかったです。

色々な方と話す中で、例えば「新しいお客さんのウェブサイトの内部はSEO的に比較的問題ないからサイトを半年完全に放置して、外部のPR活動だけ頑張ったら、サイトの評価と共に順位も流入もしっかり上がった」など自分がなかなか挑戦しにくい、けれど気になるような戦略の話を聞いたり、Xでプチバズりして仲良くなったNoah Bosmasさんのお客さんへの説明の仕方を聞くことができたり、そのような生の情報はカンファレンスの欠かせない一部でした。

左はバズったXのNoahさんです

今回のSpotlightはセッションでの学び以上に他の専門家との交流からの学びと刺激が非常に多かったカンファレンスで、またぜひ参加したいと思いました。

アユダンテでは月1でニュースレターの配信を始めました