本コラムはAYUDANTE NEWS 2025年5月号から一部抜粋してお送りしております。全文に関しては毎月月末に配信しているニュースレターのバックナンバーからご覧ください。
AI時代のGoogle検索にどう対応する?
このテーマについて、先月4月24日に行われた、弊社アユダンテとDemandSphereとの合同セミナー「SEOも検索広告も単独では勝てない ~ AI時代のGoogle検索にどう対応する? ~」から、その一部をメルマガ用に再構成してお送りいたします!
講師は、DemandSphereカントリーマネージャーの室屋 武尊氏、アユダンテからは2名、 SEOコンサルタントの江沢真紀、デジタルストラテジーディレクターの杓谷 匠です。
- 検索順位の上位=流入の増加はもう成立しない!
- ゼロクリックが増えて大変! いえ、それは10年前からの話です。
- ゼロクリックが増えて大変! いえ、決してこわくないですから冷静に
- AI Overviewも生成AI検索も従来のSEOは変わらない
- AI時代だからこそ、広告とSEOは一緒に取り組む必要がある
- SEOと広告の統合診断サービスSERPs MAX
- AI時代だからこそ、インデックスとレンダリングに注目!SEOでも広告でも重要(ニュースレター限定)
検索順位の上位=流入の増加はもう成立しない!

私たちが提供するSEOモニタリングツール「DemandMetrics」は、検索結果画面を解析しています。毎日検索クエリを検索エンジンに投げて、検索結果画面のソースコードを全部解析し、約500項目ほどのデータ(例:検索順位やピクセル距離、AIオーバービュー、強調スニペット、テキスト、広告)を分析しています。
今日はじめにお伝えしたいのは、検索順位が高ければ流入が増える、という単純な図式はもう成立しないということです。
現在の検索結果画面は広告や強調スニペットが大量にあるので、「オーガニックのリンクはどこにあるんだ!」と言いたくなる状況です。
でも、これがSEOの現実なんです。
2016年に、右横にあったリスティング広告が、オーガニックの上に移動して表示位置を押し下げたんですよね。
正直文句を言いたくなったのですが、杓谷さん、検索がこんな画面になった当時、Google に在籍されていましたよね?

そうですね、当時あの瞬間Googleにいました。確かにSEO側の視点だと、広告は邪魔というか「なんてことしてくれるんだ」と思えますよね。
私が言う事ではないかもしれませんが、失礼いたしました(苦笑)。
Googleの広告は、予測クリック率や関連性などから算出した品質スコアのアルゴリズムを導入し、ユーザー視点を重視しています。
また、広告があることで、インターネット全体のエコシステムがよくなっている面もあります。ある意味、必要なガソリンとしてご容赦いただければと思います。
ゼロクリックが増えて大変! いえ、それは10年前からの話です。

Googleの検索結果に、「AI による概要」、通称 AI オーバービューが出現するようになりました。「ゼロクリックが増えて大変!」という声も出ていますが、実はこの状況は今にはじまった話ではありません。10年以上前からあった話です。
2012年にナレッジグラフ、翌年にアンサーボックスが導入されています。もうずっと前から、AIオーバービューのようなものが私たちを悩ませてきたのです。


上記の3つの画面は、同じ検索画面ですが、順位ごとのCTRは大きく違います。
左は検索結果画面を見て満足できるので、ゼロクリックで検索行動が終了します。
真ん中の画面は、ユーザーが広告をスキップするかどうかで CTR が変わります。
右の画面では、横スクロールもありますし、ニューストピックが様々で興味が別れます。ここでの CTR の変化は「分散」と言います。
AI Overviewがない時代から、ずっとこの状態ですし、上位なら必ずクリック率が高いなんて言えません。そしてこれが強調したい点ですが、検索クエリごとに、ユーザーのクリック行動は変わります。
ゼロクリックが増えて大変! いえ、決してこわくないですから冷静に

大量のデータを見ている立場から言えば、「AI オーバービューでクリック数が大幅減」みたいな記事は「煽りっぽい」と受け止めています。
何がどのように脅威なのか、データで語るべきだと思います。
ということで、AI オーバービュー出現の純粋な効果が観測できたケースを紹介したいと思います。


検索順位に変化がなく、強調スニペットもない中で AI オーバービューだけが出現しました。
矢印のあたりの日付で AI オーバービューが出現し、クリック数が減少しているのがわかります。検索順位は変わっていないのに、表示距離は 400ピクセルから1000ピクセルに悪化しています。
順位だけを見ていると流入減少は理解できませんが、ピクセルによって説明できます。表示位置のピクセル計測は、順位よりも厳密にビジビリティがわかりますし、クリックと強い相関があるからです。
流入が減少したのは確かですが、私が作成したピクセルと CTR のモデルで説明可能です。ですので、クリックが減ったのは AI オーバービューが凄い性能だからというわけではなく、単純な押し下げ効果だと言えます。
結局それがどのようなインパクトをもたらすのかも重要です。このサイトの場合、該当キーワードにおいて、1日のクリック数が 10 が 5 に減ったという程度の変化です。流入の総量にはまったく影響が見られませんでした。
AI Overviewも生成AI検索も従来のSEOは変わらない

AI Overviewの結果が増えても、従来のSEOは大事ですし、やることはあまり変わらないと思います。
そもそもAI Overviewの前から10年以上、ゼロクリック時代です。
検索する人は、必ずしもAI Overviewの結果だけで行動は終わりません。
個別には様々な影響がありえると思いますが、流入やコンバージョンが大きく損なわれることはないでしょう。
自分のサイトに関連する検索クエリの状況は、クエリごとサイトごとに大きく違います。データできちんと確認することが重要です。
その他の AI検索についても当社の調査を紹介します。昨今、ChatGPT や Perplexity などが新たな検索エンジンとして注目されています。
当社の研究では、ChatGPT や Perplexity の検索結果の多くが、Google や Bing のインデックスを参照しており、オリジナル性がないことが明らかになっています。
たとえば、ChatGPT の場合、51.7%が Google と類似した結果です。14.3%が Bing と類似しています。34%は Google と Bing のミックスのようです。
AI 検索のオリジナルのインデックスは無いようです。従来通りの SEO をすることが AI 時代でも重要であることが明らかになりました。
AI オーバービューが登場し、不安を煽る声もありますが、心配しすぎないでほしいです。Google は今後もサイトへ送客し続けますし、AI のアシストが入ることで流入の質が高まると見込まれます。
コンピューターに処理しやすいサイトを構築・運営するという SEO の本質は変わらないでしょう。
AI時代だからこそ、広告とSEOは一緒に取り組む必要がある

AI オーバービューのように、画面上部を占有するスニペットは今後も登場するでしょう。
しかし広告の優先度も依然として高い。ビジビリティを最大化するためには、広告もSEOも両方やりましょうということだと思います。

SEOと広告は、同じ検索への対応なんですが、現場の担当者は、実際には別々に分析して、別々に取り組むことが多いと思います。
そもそも同じ検索結果画面ですから、オーガニックと広告は、分析も対策も、横断的に行っていく方が効果的です。
さらにAI Overviewが出るようになり、SEOだけで対策を考えるのは、より難しくなってきています。SEO対策だけでは解決できませんので、広告で対策をする必要があります。
ここから、SEOと広告それぞれの課題を見ていきましょう。


上記の表のようにSEOの課題は、たとえオーガニックで1位にいても、実際の流入にはつながらないケースが出ています。
検索結果画面は、ここから激しく変化していきます。ある程度、定点観測で検索クエリやそのカテゴリごとに自社の状況を診断しながら、臨機応変に対応していくことも必要となります。
広告課題に着目すると、長期的に広告費用を抑えるため、SEO対策をしたいというニーズがあります。
その逆に、SEOで流入獲得に限界があるエリアに、より広告を投資していくといった方向もあります。
このように、本来同じ検索結果ですから、SEOと検索広告は両者を分析して、全体で対策をしていくべきです。広告だけでなく、SEOも投資のメリハリがつきます。全体として予算の抑制につながります。また、全体のコンバージョンを増やしていくことができますので、効率的でバランスの取れた検索エンジン対策ができます。
SEOと広告の統合診断サービスSERPs MAX

アユダンテが提供している「 SERPs MAX」という診断サービスは、SEOと広告を横断で分析する統合診断サービスです。
「SERPs MAX」は、検索語句をキーにしてGoogleサーチコンソールの検索語句と検索広告の検索レポートを紐づけて、各検索語句ごとに広告の表示状況がどうなっているかを、わかりやすく分類し可視化するサービスです。
SERPs MAXは検索語句を下記のように上位表示の有無に応じて4つに分類し、分析を行っています。


SERPs MAXの診断結果をもとに、いくつかの打ち手が考えられます。
予算の効率化という観点もあるでしょうし、全体のコンバージョン数の増加という観点もあるでしょう。
予算の効率化という観点であれば、SEOですでに上位表示されたクエリの、広告配信を調整するという対策が打てます。
その逆に…

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