
本コラムはAYUDANTE NEWS 2025年3月号を全編公開でお送りしております。
ニュースレター公開から半年経過したため全編公開でお送りいたします。
本記事の内容は公開時点での2025年3月26日時点での情報となります。
サーバーサイドGTMって何?
このテーマについて、弊社デジタルマーケティングエンジニアの春山勇悟に、小林がインタビューしてきました。
- そもそもサーバーサイドGTMって何ですか?
- サーバーサイドGTMを導入するとどんなメリットがあるの?
- 専用サーバーの準備はどこで行うの?
- サーバーサイドGTMは無料で利用できる?
- サーバーサイドGTMの導入・非導入の理由は?
- サーバーサイドGTM導入でGA4の数値に差が出る?
- GDPRなどのプライバシー規制対応について
- サーバーサイド導入後、ブラウザ側のタグは不要になる?
- さいごに
そもそもサーバーサイドGTMって何ですか?

春山さん、最近「サーバーサイドGTM」という言葉をよく耳にするのですが、正直なところ全然イメージが湧きません。普段使っているGTMとは具体的に何が違うんでしょうか?

わかりました。まずは簡単に説明しますね。
従来のGTM(Googleタグマネージャー)は、ウェブサイトを訪れたお客様のブラウザ上で動いていました。これを「ブラウザ側」と呼びます。
一方、サーバーサイドGTMは、お客様のブラウザではなく、自社が用意したサーバーでタグの処理を行います。

うーん、なんとなく理解できましたが、まだイメージがつかめません。
具体的に「サーバー側」と「ブラウザ側」でタグの処理がどんなふうに分担されるのか、もう少しわかりやすく教えてもらえませんか?

もっとシンプルに言うと、従来のGTMではユーザーのブラウザが全ての処理を担当していました。これは、ユーザーのスマホやパソコンでタグの処理が行われるということです。
一方、サーバーサイドGTMでは、1つのタグ(主にGA4)を、使って必要な情報だけを自社サーバーに送ります。
次に自社サーバー内でそのデータを必要な形に加工し、最後にGA4やGoogle広告、Facebookなどの複数の宛先に一度に転送します。
つまり、処理の負担をユーザーのデバイスから自社のサーバーに移すわけです。


なるほど!つまりユーザー側の端末の負担が減るってことですね!
スマホでいつも450個ぐらいタブ開きっぱなしなので、処理が軽くなるのはめちゃくちゃ嬉しいです。
サーバーサイドGTMを導入するとどんなメリットがあるの?

ユーザー側の負担が減るメリットはよくわかったんですが、企業側から見て「サーバーサイドGTM」を導入すると、具体的にどんな良いことがあるんでしょうか?

大きく分けて3つのメリットがあります。
まず1つ目は、サイトの表示速度が速くなることです。これは、ユーザーのブラウザで処理するJavaScriptのタグが減るため、ページの読み込みが速くなるんです。サイトが軽くなるので、特にスマホなどでアクセスするユーザーにとって体験が良くなります。

ユーザーにとって快適になるということですね。

そうです!2つ目は、セキュリティの向上です。自社のサーバー内で処理するので、タグの改ざんや外部からの攻撃に対して、より安全になります。データの流れを自社でしっかり管理できるようになるんです。

なるほど、自社で管理することでより安心感が増すということですね。

はい。そして3つ目は、より正確なデータ収集ができることです。最近はアドブロッカーを使っている方や、Cookieを制限するブラウザが増えていますよね。

そうですね、最近よくアドブロッカーを使う人が増えていると聞いたことがあります。

そうなんです。サーバーサイドGTMなら、アドブロッカーやCookie制限の影響を受けにくくなるので、より多くのユーザーデータを正確に集められるようになります。以前は「見えなかった」ユーザーも分析できるようになるわけです。

※広告ブロックユーザーは2021年から2年弱で11%増加、9億1,200万人に到達
※引用元: 2023 eyeo Ad-Filtering Report.pdf
専用サーバーの準備はどこで行うの?

「サーバー」サイドって言うぐらいなので、当然サーバーが必要になると思うんですが、そのサーバーって具体的にどうやって準備すればいいんでしょうか?

多くの企業では、Googleが提供している「Google Cloud」の中の「Cloud Run」というサービスを使います。これは、Googleが管理してくれるクラウドサーバーです。

他の選択肢もあるんですか?

はい、他のクラウドサービスやオンプレミス(自社で物理的なサーバーを持つこと)でも可能です。ただ、管理のしやすさやコスト、拡張性を考えると、多くの企業がGoogle Cloudを選んでいます。特別な理由がなければ、Googleが提供するサービスを使った方が連携もスムーズですし、管理も簡単なんです。
サーバーサイドGTMは無料で利用できる?

ちなみに、サーバーサイドGTMって毎月どのくらい費用がかかるんでしょうか?毎月かかるコストが高いと導入ハードルが高いかなと

GTM自体は無料ですが、サーバーの使用料などが別途必要になります。小規模なサイトであれば、月に数万円程度からスタートできます。アクセス数やデータ量が増えれば、それに応じて費用も上がります。

メルマガを見ている方向けに…うちのサイトだといくらくらいかかるか、事前にわかりますか?

はい、Googleが計算ツール※1を提供しているので、おおよその費用感は事前にシミュレーションできます。また、外部の会社に導入や運用を依頼する場合は、その委託費用も考慮する必要がありますね。
サーバーサイドGTMの導入・非導入の理由は?

春山さん!今まで便利な点を教えてくれましたが、他の会社はどんな理由で導入を決めているんですか?逆に、導入をためらう理由も教えてください。技術面も気になります。

導入の主な理由は「セキュリティ強化」と「データ精度の向上」です。特に個人情報を扱う企業や、正確なデータ分析が重要な企業が導入を進めています。
一方、導入をためらう理由としては、「技術的なハードルが高そう」「運用の負担が増えそう」という懸念があります。正直に言うと、サーバーサイドGTMは従来のGTMに比べて技術的な知識が必要です。サーバーの設定やAPI連携など、専門知識がないと苦戦する部分があります。
そのため、技術者が少ない会社では、自社だけで挑戦するより、専門家のサポートを受けた方が安全で効率的です。
それ以前に、実は「サーバーサイドGTMについてそもそも知らない」という企業がまだまだ多いというのが現状です。これが一番大きな課題かもしれません。※2
私たちとしても、サーバーサイドGTMのメリットや導入方法について、もっと多くの企業に知っていただきたいと思っています。この機会に少しでも理解が深まれば嬉しいですね。
※2先日Cookie規制とプライバシー保護に対応する「サーバーサイドGTM導入支援」サービスを開始いたしました。
サーバーサイドGTM導入でGA4の数値に差が出る?

あと気になっていたんですが、「サーバーサイドGTM」を使うとGA4の数値にも影響って出るんでしょうか?
集計の仕組みが変わるなら多少影響が出るのは仕方ないと思うんですが、実際どのくらい影響が出るのでしょうか?納得できる理由が欲しいです!

データの精度は確実に向上します。アドブロッカーやCookie制限の影響を受けにくくなるため、より正確なユーザー数やセッション数が取得できるようになります。特に、Safariブラウザや、iPhoneユーザーのアクセスが多いサイトでは、改善効果がより顕著に表れます。これは、SafariブラウザやiPhoneではCookieの制限が特に厳しく設定されているためです。

つまり、「今まで見えていなかったユーザーが見えるようになる」ということですね。

そうですね、その表現が適切です。今まで取りこぼしていたデータをより確実に取得できるようになるイメージです。
GDPRなどのプライバシー規制対応について

サーバーサイドGTMを導入すれば、GDPRなどのプライバシー規制の心配はなくなりますか?

それは誤解です。サーバーサイドGTMはプライバシー規制を回避するための方法ではありません。あくまでデータの処理場所が変わるだけで、個人データを扱う以上は適切な同意を得る必要があります。

それは困りますね…プライバシー規制への対応はどうすればいいですか?

CMP(同意管理プラットフォーム)と呼ばれるツールを使って、ユーザーから適切な同意を取得することが必要です。実はサーバーサイドGTMを導入することで、このCMPによる同意管理をより適切かつ確実に行えるようになります。
なぜかというと、サーバーサイドでは単一のリクエストで全ての同意情報を一元管理できるからです。従来のブラウザ側では各タグごとに同意確認が必要でしたが、サーバーサイドではすべてのベンダーへのデータ送信を一か所で制御できます。これによりユーザーの同意状態に応じてデータ送信をより厳密に制御できるので、プライバシー規制への対応が強化されるのです。
サーバーサイド導入後、ブラウザ側のタグは不要になる?

サーバーサイドに移行したら、今までのブラウザでのタグは全部なくなるんですか?

完全になくなるわけではありません。Google広告やFacebookなどの主要なベンダーはすでにサーバーサイドタグを提供しているので移行できますが、まだサーバーサイドタグを用意していないツールやサービスもあります。そういったツールは引き続きブラウザ側で実行する必要があります。
現在はサーバーサイドタグを提供するベンダーが徐々に増えてきています。最初は主要なものだけを移行して、対応ベンダーが増えるにつれて少しずつサーバーサイドに移行していくことができます。
さいごに

春山さん、今回は詳しいご説明をありがとうございました!
このニュースレターを読んでサーバーサイドGTMに興味を持った方はどうすればよいのでしょうか?

アユダンテの公式お問合せフォームからご連絡いただければと思います。

また、アユダンテでは「Googleタグマネージャー(GTM)」のサポートも行っています!
詳しい内容は、こちらの『GTMサポート コンサルティングページ』からぜひご確認ください!
次回のニュースレターでは、今回話題にも出てきた「GTMの同意モード」について社内でインタビューを行ってみたいと思います!
※予定は未定なので期待せずにお待ちください
編集後記
第3回となるAyudante News をお届けしましたが、皆さまお楽しみいただけましたでしょうか?ぜひ皆さまの感想を、ハッシュタグ #アユダンテニュース をつけてX(Twitter)でつぶやいていただけると嬉しいです。ご意見やご感想、お待ちしております!以下はニュースレター編集部の後記です
以下はニュースレター編集部の後記です。小林・大内が交互にお送りいたします。
今回は春山さんにサーバーサイドGTMってなんですか?と取材する機会を設けてもらいました!皆さんは知っていましたか?もし少しでも知識が付いたのなら幸いです!
最近ホテルオークラさんのスコーンレシピにはまってしまいいつも作っています。/小林
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