先日、Microsoft 広告主催の「Accelerate Roadshow Tokyo 2025」に参加してきました。イベントでは最新のプロダクト情報や、Microsoft 広告がAI時代において「会話型AI×広告」をどのように進化させようとしているのかが語られました。
本記事では、Microsoftが発表した最新のプロダクト情報と、Copilotがもたらす広告体験の進化について、広告主にとって注目すべき情報をまとめてご紹介します。
- AI時代におけるMicrosoft 広告の革新の中心はCopilot?
- Copilotが広告効果に与える影響
- Copilot 広告とは?
- Copilot×広告の新たなソリューション
- クリエイティブ制作を支援する「Ads Studio」
- Microsoft 広告が見据える未来の広告体験とは?
- まとめ
AI時代におけるMicrosoft 広告の革新の中心はCopilot?
生成AIの進化は、もはや一過性のトレンドではなく、マーケティングの根幹を揺るがす革新となりつつあります。AI時代においてMicrosoft 広告の革新の中心にあるのが、MicrosoftのAIプラットフォーム「Copilot」です。
Copilotは、ChatGPTのような自然言語AIを基盤に、Microsoftの各種製品に組み込まれた生成AIです。現在は、Word、Excel、Outlookといった業務ツールだけでなく、BingやMicrosoft 広告の管理画面内にも展開されており、Accelerate Roadshow Tokyo 2025では「ユーザーとAIをつなげるインターフェース」と表現されました。
=Copilotの主な特徴=
・音声入力対応
多くの生成AIがテキストで返答する中、Copilotは音声で応答できる点が大きな特徴です。音声入力を利用するユーザーも増加傾向にあり、今後は音声によるインターフェースの重要性がさらに高まっていくと考えられます。
・モバイルでの利用が約30%と高水準
スマートフォンからも利用でき、いつでもどこでもアクセス可能です。
・高収入・高学歴層が多い
・Z世代を中心に利用者が急増 Z世代(年齢:18~29歳)
Z世代は全体の30%以上を占め、利用時間も長い傾向があります。
=Copilotの利用状況=
・Bingのデイリーアクティブユーザー数:1.8億人以上
・Copilotのチャット利用回数:前年比で2.5倍に増加
・音声入力のデイリーアクティブユーザー数:2024年10月の機能強化後、3か月で2.5倍以上に増加
Copilotが広告効果に与える影響
Microsoftの調査によると、Copilot 広告(Copilot上に会話の流れに沿って表示される広告)は、従来の検索広告と比べて高い成果を上げています。
=従来の検索広告との比較=
・CTR(クリック率):69%向上
・CVR(コンバージョン率):76%向上

Copilot 広告とは?
Copilot 広告の最大の特徴は「会話の流れに沿って自然に広告が表示される」点です。
現状はテスト段階で、日本では4月からテストが開始されています。

=対応プロダクト=
Copilot 広告の対応プロダクトは以下の通りです。
・テキスト広告(DSA、RSAなど)
・Performance Max(PMAX)
・ショッピング広告
・マルチメディア広告
Copilot×広告の新たなソリューション
・Ad Voice
「なぜこの広告が表示されたのか?」をユーザーに説明するための機能です。
Copilot 広告は会話の内容にマッチした広告が自然に表示されますが、この機能により、広告が会話とどのように関連しているのかをユーザーが理解しやすくなります。
結果として、広告がより関連性の高いものとして受け取られやすくなります。

・ダイナミックフィルター(米国でテスト中)
ユーザーの検索意図に応じて自動生成されるフィルターにより、検索結果を絞り込むことができるため、関連性の高い商品を提示することができます。この機能により、ユーザーはよりスムーズに目的の商品にたどり着きやすくなります。

・ショールーム広告(米国でテスト中)
ブランド名がトリガーとなり、Copilot内に広告が表示される新しいフォーマットです。広告をクリックするとチャット画面が右に移動し、左側に広告のリンク先サイトが表示されます。チャットの内容に応じて左側の広告枠も動的に変化しながら、商品を紹介することができます。

赤枠のショールーム広告をクリックすると、以下のようにチャット画面が右に移動し、左側に広告のリンク先サイトが表示されます。

チャットの内容に応じて、左側の広告枠も動的に変化します。

クリエイティブ制作を支援する「Ads Studio」
Ads StudioはMicrosoft 広告の管理画面上で利用できる、AIによるクリエイティブ制作支援ツールです。
=現在利用可能な機能=
・静止画の背景の生成
背景を切り替えて、画像のバリエーションを増やすことができます。
・アセットのパフォーマンスレポート
Ad Studioで作成したクリエイティブのパフォーマンスレポートが確認できます。
この機能により、クリエイティブの作成からパフォーマンスの確認まで同じ画面内で行うことができるため、PDCAを効率的に回しやすくなります。

=今後リリース予定&パイロット版機能=
・動画の生成機能(リリース予定)
静止画を動画化するなどの機能が追加予定です。
・プロンプトによる生成機能(リリース予定)
素材なしでもプロンプトからクリエイティブを生成可能になります。
・ブランドキット(パイロット版)
ロゴを登録するだけで、ロゴを使用したクリエイティブが自動生成される機能です。

Microsoft 広告が見据える未来の広告体験とは?
ユーザーの情報収集がAIとの自然な会話形式へと移行しつつある中、Microsoftが目指しているのは、AIがユーザーのパーソナルアシスタントとして、商品探しから購入までを一貫してサポートする新しい広告体験の実現です。
■ ブランドエージェント
ユーザーがCopilotにブランドに関する質問をすると、そのブランドのAIエージェントとCopilotが会話し、最適な情報を回答するという新しい広告の形。
■ Copilotショッピング(仮)
Copilot上で商品検索から購入、決済までを完結できる機能で、これによりCopilot上での商品探しから購入がよりスムーズになります。
まとめ
ユーザーの情報収集の手段は、検索だけでなく生成AIとの会話へと広がりつつあります。こうした変化を踏まえると、今後の広告は検索結果だけでなく、生成AIとの対話の中でどのように露出するかが、ますます重要になってくるでしょう。
Microsoftは、いち早くCopilotに広告を組み込むことで、AI時代のマーケティングに対応しようとしています。Copilot 広告はまだテスト段階ですが、今後の展開を見据えて自社のマーケティングにどのように活用できるかを想像しておくことで、他社より一歩先を行くマーケティングにつながるのではないでしょうか。その一つの情報収集として、本記事をご活用いただければ幸いです。