2024年7月23日12時20分より、シニアデータソリューションコンサルタントの中村が「日経クロストレンドフォーラム2024」のセッション「強化されるCookie規制を乗り越えるデータ活用戦略」に登壇しました。ここでは、その内容の一部をご紹介します。
当日の午前中、「Google Chromeが3rd Party Cookie廃止を撤回し、新たなプライバシー制御機能をChromeに追加する」というニュースが世界中を駆け巡りました。これまで3度にわたって延期されてきた3rd Party Cookie廃止が取り止められたことで、Webマーケティング担当者の中には安心した方もいるかもしれません。
しかし、この発表は、Cookieに頼らない対策が不要になったことを意味しているわけではありません。Googleは引き続き、代替策として「プライバシーサンドボックス」の開発を進めており、プライバシー保護を強化する姿勢は今後も変わらないと考えられます。
本講演の内容は、4部構成となります。内容の抜粋を説明いたします。
詳細は下記動画よりご覧ください。
規制や計測の変化
ユーザーのプライバシーに対する不信感は、インターネットの黎明期から存在していたかもしれません。しかし、GDPR(EU一般データ保護規則)やCPRA(カリフォルニア州プライバシー権法)をはじめとする規制強化により、企業の判断だけでプライバシーが守られる時代は終わり、デバイスやOS、ブラウザによる機能制限が現実的なものとなっています。これらの規制や計測機能の制限が、デジタルマーケティングにどのような影響を与えるのかが重要な課題です。
今後もこの規制や計測機能の制限は、長期的に続くと予想されます。そのため、まずはこれらの規制がどのような背景から生まれたのか、そしてどのような対応が求められるのかを理解することが重要です。規制に対して抜け道を探すような対策を取るだけでは、根本的な問題は解決しません。
ユーザーが抱くプライバシーへの不信感を取り除くことこそが、ブランド価値の向上に繋がります。そしてその上で、規制に対応した適切なマーケティング戦略を模索していく必要があります。
Cookie同意バナー
計測と広告の最適化という領域に対して、Googleはいくつかのソリューションをもっています。本講演では、Google同意モードにフォーカスして説明をしておりますが、そもそもCookie同意バナーがどのような目的でどのように運用されているかをパターンを整理して説明しております。プライバシーポリシーと同意バナーはセットで議論されます。各企業において徐々に整備がされていることが分かります。
詳しくは、下記動画をご覧ください。(該当箇所より再生が開始されます)
Googleの同意モードの導入
Cookie同意バナーを設置すること自体が目的ではありません。Cookie同意バナーは、ユーザーにCookieの使用を拒否する権利を提供するものです。これにより、ユーザーの行動計測に大きな影響を与える可能性がありますが、ユーザーにとっては不要な情報を企業やメディアに提供しない選択肢が得られることになります。このような仕組みを提供することで、ユーザーのプライバシーに対する不安を軽減することが期待できます。
一方で、ユーザーの同意情報に従った正確な計測も重要です。Googleタグマネージャーを使って、GA4や広告タグ、マーケティングツールを同意ステータスに従って適切に管理しましょう。また、失われたデータをできる限り復元することも大切です。例えば、GA4では適切にGoogle同意モードが実装されている場合、機械学習を活用して一部のデータを補完することができます。
最後に
規制や計測制限への対策として、Cookie同意バナーやGoogle同意モードの導入についてご説明しました。さらに、弊社ではサーバサイドGTMの導入や拡張コンバージョン計測、1stパーティデータの安定した収集など、さまざまな計測ソリューションもご提案しています。単にユーザー行動を計測するツールを導入してデータを集めるだけでは、十分な価値を引き出せる時代ではなくなりました。
これからは、ユーザーのプライバシーを守りながらデータを計測し、機械学習を活用して失われた情報を補完しつつ、データを最大限に活用できる環境を整えることが大切です。