検索広告の基礎:意図した「検索語句」に対して広告を表示させるためのポイント(テンプレート付)
2024年09月9日
ライター:釜 周平

検索広告では、さまざまな指標を見ることができ、さまざまな設定を行うことができます。近年はAIの発展により、以前より簡易的な対応を行っても一定の効果を出すことができます。

しかしAIを活かすためには、意図的に重要性が高いデータを渡していく必要があり、「何が重要なのか」「どのようにデータを渡すのか」を理解しておく必要があります。

今回は検索広告において重要度が高い要素の1つである「検索語句」に焦点を当てて説明していきます。

  1. 検索語句とは
  2. 意図した検索語句に対して広告を表示させるために必要なこと
  3. 意図した検索語句に対して広告を表示させることができたか確認する方法
  4. さいごに

検索語句とは

まずは「検索語句」とは何か確認していきます。

検索語句とは、ユーザーが Google 検索や検索ネットワークのサイトで検索を行うときに入力する語句のことです。

引用元:https://support.google.com/google-ads/answer/2472708?hl=ja

※Yahoo!検索広告では「検索クエリ」と表記されていますが、本ブログではすべて「検索語句」と表記します

よく検索キーワードと混同して語られますが、検索語句とは別の項目です。検索キーワードは以下のように説明されています。

キーワードとは、適切なターゲット ユーザーに広告を表示するために、Google 広告をご利用の広告主様が広告グループに設定する語句のことです。

引用元:https://support.google.com/google-ads/answer/2472708?hl=ja

検索キーワードは広告のターゲティング設定の一部であり、ユーザーが実際に入力した検索語句とは必ずしも一致しません。検索キーワードごとのパフォーマンス指標は確認できますが、検索語句と異なることがあります。

検索語句は実際にユーザーが検索した語句であり、なんのために検索を行ったのか、なにが求められているかの判断材料にできます。

運用型広告に限らずマーケティングにおいて、当然のごとくユーザー理解が重要であり、ユーザーの意図を理解するのに役立つ検索語句は非常に重要な指標の1つであると言えます。

意図した検索語句に対して広告を表示させるために必要なこと

それでは重要度が高い検索語句に対し、広告を表示させていくためには、どのような対応が必要となるのでしょうか。

広告運用に携わる方ではじめに回答することが多いのは、「検索キーワード」の設定かと思います。もちろん、検索キーワードの設定は重要です。ターゲットとなる検索語句が設定されていなければ、広告は表示されません。

しかし検索広告において意図した検索語句に対して広告を表示させていくためには、検索キーワードの設定だけでは不十分で、「広告」との関係性も合わせて考えていくことが必要です。検索語句と広告の関連性が低い場合、検索キーワードを設定していても広告は表示されづらく、配信を伸ばすことが難しくなってしまいます。

詳細は割愛しますがGoogle 検索広告のオークションでは、検索意図と一致する広告が検出されるようになっており、いくら検索キーワードを設定しても関連する広告がなければ、広告が表示されることはありません。

オークションの仕組み
①ユーザーが検索を行うと、その検索内容と一致するキーワードが設定された広告がすべて検出されます。
②検出された広告のうち、別の国をターゲットとする広告やポリシー違反に基づいて不承認となっている広告など、対象外の広告は無視されます。
③残った広告の中で広告ランクが十分に高いものだけが表示されます。広告ランクとは、入札単価や広告の品質、広告ランクの最低基準、ユーザーの検索状況、広告表示オプションやその他の広告フォーマットの見込み効果に基づいて算出されるスコアです。

重要なポイントとして挙げられるのは、たとえ競合相手が自分よりも高い入札単価を設定していても、キーワードと広告の関連性が高ければ、低い入札単価で相手を上回る掲載順位を獲得できる可能性があるという点です。
オークションは Google 検索が行われるたびに繰り返されるため、オークションの結果はその時点での競合状況に応じて毎回変わる可能性があります。このため、ページ上の広告の掲載順位が変動したり、広告が掲載されなかったりすることが、ごく普通に起こります。

引用元:https://support.google.com/google-ads/answer/142918?hl=ja

実際には検索キーワードが一致しているにも関わらず、検索語句との関連性が一切ない広告はまず作成されていないとは思いますが、「検索語句」と「広告」の関連性が重要であることを改めてご認識いただければと思います。

上記のように広告を作成し配信すると、「松山市 注文住宅 耐震性」で検索した際には広告②が表示されやすく、「松山市 ローコスト住宅」と検索すると広告③が表示されやすくなるでしょう。

検索語句と広告の関連性が重要視されている傾向が見受けられ、検索キーワードは変えなくても広告文を変えるだけで、検索語句の傾向が変化していくこともあります。

意図した検索語句に対して広告を表示させることができたか確認する方法

ここまで「意図した検索語句に対して広告を表示させるために必要なこと」について説明を行ってきましたが、改善していくためには「検索語句」、「広告」の関係性をレポート結果で見ていく必要があります。

そこで今回は、広告が意図した検索語句に表示されているか確認するための方法を紹介します。良ければテンプレートも公開するので、ご活用ください。

テンプレート:検索語句×広告レポート

意図した検索語句への広告の配信結果を確認するには「検索語句」と「広告」を並べて実績を見ていく必要があるかと思います。しかし管理画面上の「検索語句」や「広告」タブからは掛け合わせの実績を見ることはできません。

実は[レポート エディタ]を使用することで、「広告」と「検索語句」を選択すると、組み合わせごとの実績を確認することができます。

※アセット単位ではなく広告単位のためご注意ください

ただ[レポート エディタ]からダウンロードすると「検索語句」と「広告」が掛け合わせて表示されるためデータ量が膨大であるため実績判断が難しいです。そこで、膨大なデータを見やすく処理するための方法としてテンプレートをご紹介しました。

このテンプレートでは、特定のフレーズが含まれた検索語句で表示された広告の結果を見ることができ、検索語句に対して意図的に広告の表示を伸ばせているか確認できます。

先ほどと同じように注文住宅を例として挙げると、ユーザーが「耐震」を含めて検索した際に、どの広告で表示が伸びているか確認できるのです。

ユーザーの意図が反映されている検索語句であれば、特定の広告に偏るケースが多くなります。そのため偏りが少ない場合は、もしかすると検索意図に適した要素を含みきれていないのかもしれません。

偏っていれば問題ないというわけではないですし、必ずしも一部の広告に配信が偏るわけではないでしょうが、検索広告を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

さいごに

検索語句は検索広告を行う上で非常に重要な要素です。AIが発展したことで運用者が介入する領域が減っていくとも言われていますが、まだまだ考えるべき点は多く、良質なデータを提供する重要性は今後さらに高まるでしょう。

そうなった際に漠然とAIに任せて配信していくのではなく「どうすれば意図した検索語句に広告が出しやすくなるか」の理解を深めておくことは必要となるかと考えています。

今回取り上げたことは、あくまでも取り組みの1つを切り取っただけなので、他にもさまざまな要素が絡んでくるかとは思いますが、これからの広告運用の参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人
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釜 周平
デジタル広告コンサルタント
地方のインターネット広告代理店に数年勤務した後、アユダンテに入社。
前職の代理店では不動産、金融、アプリのインストール促進など幅広い分野での広告運用を経験。
普段は愛媛県に在住したままリモートで勤務。
好きな食べ物はラーメン。
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