2024年5月22日に「“分析の前に、大切な話をしよう” ~Googleアナリティクス4有料版を使ったデータ活用法~」と題してセミナーを行いました。その一部についてご紹介させて頂きます。
冒頭に、COO山浦直宏より、この3年強のセミナーはすべてウェビナーによる開催でしたが、今回のセミナーから、会場を利用した開催を始めたというご挨拶をさせて頂きました。本セミナーの内容は、4部構成となり、GMPコンサルティング事業部の山浦、藤田、中村が担当し、当日は多くの方々に会場に足を運んで頂きました。
分析の前に、大切な話をしよう
マーケティングに関わる業務の中で「データ」という言葉が登場すると、多くの方は「データ分析」という言葉を思い浮かべると思います。
データを活用する上で「取る」「見る」「使う」という3つの基本ステップがありますが、データ分析はデータ活用ステップの一部でしかありません。「データ活用」という領域において、重要なことは分析だけではないという事ですね。
施策やアクションというデータの利用目的を明確にすることで、どのようなデータが必要か洗い出します。目的から、必要なデータを洗い出すというプロセスがないと、適切な計測設計、実装は出来ません。Googleアナリティクスのレポート画面を開くと、直ぐにページビュー数などが確認できますが、この情報だけで分析ができますでしょうか。目的なきデータ収集は、分析やその後のステップである施策アクションに結びつかないことがよくあります。
セミナーの冒頭にて、データ分析はどのようにすると良いのでしょうか?サービスの課題を解決する施策はこれです!という話からスタートするのではなく、データ活用のステップにおけるとても重要なプロセスである「データを取る」話をしていく必要があると山浦からメッセージを投げ掛けました。
データ計測/分析基盤としてのGA4
分析の前にデータ計測、集計が大事であるという説明を踏まえて、藤田がデータ基盤としてGA4がどのように活用できるかをより具体的に説明を続けました。
このセクションで重要なポイントとして、以下の3つが挙げられます。
- 会員IDのようなデバイスを跨って横断したユーザ行動を追えるIDの計測
- 商品IDや申込IDといったマスターデータ、トランザクションデータとの連携
- 計測、分析、施策が可能なデータマートの構築
複数のプラットフォーム(ネイティブアプリや、ラップトップ、スマートフォンブラウザなど)からユーザーはサービスにアクセスを行います。複数のプラットフォームを跨ったユーザー識別ID(会員ID)の計測は必要不可欠となります。
また、データを計測、集計する事が目的にならないように、予め施策や分析でデータをどのように利用するかを想像出来ている必要があります。どのようなデータをどのような構造で集計するかを設計・構築します。藤田は事例をいくつか用いて、「施策と改善効果」と「必要なデータ」について説明をしました。施策を行う手段として、集計したデータに対して機械学習の活用が多く、ROASやLTVの最大化を目的としたML(マシーンラーニング)の活用により、デジタル広告やサイト内のレコメンド、クリエイティブの最適化に用いて成果を出しています。
Cookie同意による影響とGA4/GTMでの対応
次のセクションでは、少し趣向が代わり、Cookie同意バナーによる計測の影響について中村から説明がありました。このセクションはユーザープライバシーを考慮したデータ計測についてとなります。
世の中は、プライバシーに対してとても敏感になってきていますという話からスタートしました。ユーザープライバシー保護の観点が醸成され、規制の強化や計測の仕組みの変化が迫られています。
データ収集と利用に関する規制や制限は、マーケティング活動にどのような影響があるのでしょうか。サイト訪問者数や広告経由のコンバージョン数の正しい計測、リマーケティングやユーザーの興味、属性などのシグナルを活用したオーディエンスターゲット配信が困難になってきます。Googleはこれら計測の変化、影響に対して、いくつかのソリューションを準備しています。その1つとして、Google同意モードについての解説を行いました。
- Cookie利用の同意バナーのパターンについて
- CMPとGoogle同意モードの違いと役割
- 同意モードを導入する前に決める事
- 2つの新しい同意ステータスについて
- 基本と高度な同意モードについて
- Cookie利用の同意を得られなかった時の取得情報
- Cookie利用の同意を得られず損失したデータの補完
- 同意モードの導入効果
前半の藤田のパートである、「目的に従いデータを適切に計測していきましょう」という話からスタートし、後半の中村のパートでは「規制や計測の変化に伴うデータの損失をモデリングで補完していきます」という話に繋がります。
デバイスの種類が増え、スマートフォンの登場により、ユーザーは常にオンラインに繋がっているからこそ、収集できるデータは膨れ上がります。しかし、一方でプライバシー保護の観点から計測の制限は行われ、データ集計の仕組み上、ユーザーの行動が紐づかない、コンバージョン計測が出来なくなってきています。
解決策として、機械学習の活用が必要になり、取得できるデータを計測し可視化をする時代から、限られた実測データを元に予測、分類、補完を行い統計的に処理した情報を活用していく事が必要になってきていると感じました。
LookerStudio Proとは
Looker Studioは強力なBIツールです。Goggleアナリティクスをはじめ色々なデータソースと接続し、表、グラフを表示しレポートを管理、共有することができます。
Looker Studio Proは有償サービスですが、今まで運用する上で困っていた点について解決策を持っています。
- チームコンテンツ管理(退職者のレポートを管理)
- ワークスペース内の管理者権限
- レポートのメール配信
- レポートの通知機能
- SLAの適用
等についての説明がありました。業務上データを取り扱う際に、データガバナンス、権限の管理も重要度が高いトピックスになります。利便性と統治・管理の両方を満たしたプロダクトになると感じました。
最後に
データ活用は時代とともに変化をしておりますが、本日前半で話した内容「分析の前に必要なこと」「活用、施策の目的からデータ計測を設計する」という視点は普遍的な考え方だと思います。分析は1つのプロセスであり、実現をしたい目的から逆算をしてデータ設計、計測をする視点はとても重要で必要な考え方だと改めて感じました。
徐々に会場を使ったカンファレンス、セミナーが増えてきております。データ活用に関して、感想や情報共有という形から皆さまの相談を実際に聞く機会を増やしていきたいと思います。